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【mobidec 2001】
ケイ・ラボラトリーの真田社長が語るケータイJavaの難しさ

 モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)と翔泳社の主催による携帯電話向けのコンテンツやアプリケーションの開発者を対象とした技術カンファレンス「mobidec 2001」。29日午後はJava関連の内容のセッションが続いた。ここでは、ケイ・ラボラトリーの真田哲弥社長による講演の模様をレポートしたい。


日本と海外との温度差

真田哲弥社長

ケイ・ラボラトリー
真田哲弥社長
 真田氏はまず、シーメンスが近日発売予定のGSM方式のJava対応端末「SL45」の実機を披露しながら、海外のJavaケータイ事情について語った。同氏によると、ケイ・ラボラトリーでは、この端末向けに全世界の天気予報が参照できるJavaアプリケーションを提供しているほか、様々な海外メーカーに対してケータイJavaについてのプレゼンテーションを行なってきたという。

 「この端末(SL45)は日本円にして8万円もするが、果たして売れるかどうか…」と語る真田氏。「ノキアやモトローラなど、日本以外の国のほとんどのメーカーがJava対応の携帯電話に興味を示している。しかし、研究こそしているものの、実際にJava対応の端末を市場に投入しようとしているところは少ないのではないかと思う」というのが、同氏がそれらの海外メーカーとの交渉の中で得た感触だという。

 携帯電話事業者についても、「韓国やフィンランドの一部の事業者を除き、コンテンツ開発に力を入れようとしているところはない。そもそも彼らにはJavaなどの技術についての知識がない」と、日本とそれ以外の国々との間にある温度差について説明した。


携帯向けJavaアプリ、開発時の注意点

SL45

 シーメンスの「SL45」上で天気予報アプリのデモ
 続いて真田氏は、同社が開発・提供している様々なJava技術を紹介しながら、Javaアプリケーションを開発する上で重要なポイントについて解説した。

 同氏は「最初、携帯電話のJava対応について、ほとんどの人が注目したのは、動きのあるリッチなコンテンツが提供できるというところ。しかし、現状の端末スペックを考えると、端末に新しい機能を追加して使い勝手を向上させられたり、通信コストやサーバーへの付加を軽減できたりするところのほうが重要なのではないかと思う」と語る。

 「パソコンの世界は、コスト削減等の理由もあり、全てをブラウザー上で行なえるようにする方向に進んでいる。携帯電話の場合はその逆で、ブラウザーだけでは入力しづらいとか、操作しづらいとかいった制約がある。これをいかにして改善できるのかが、携帯電話向けのJavaアプリケーションを開発する上でのポイントとなる」というのが同氏の持論だという。


iアプリ上でFlashアニメを動かす

 最後に真田氏が語ったのは、同社の今後の戦略について。

 同氏は「アプリケーションを動作させる環境として、必ずしもJavaが携帯電話に向いているとはいえない」とした上で、同社が独自に開発を進めているバーチャルマシン「Kamiya」の特徴を紹介した。「同じアプリケーションをKamiya向けに作れば、バイトコードのサイズはJavaの1/10程度になる。KVMの上にKamiya VMを載せることもできる。KVMにはクラスローダーがないが、Kamiya VMではそれが可能。VMのサイズもKVMが400~500KBなのに対し、Kamiya VMは50KB程度」といったところがKamiyaの特徴だという。

 同社ではこのほか、Macromedia Flashのデータを独自に開発したコンバーターに通すことで、iアプリとして携帯電話上で動作させられる「Kare-F」という技術も開発中。同技術について真田氏は「近いうちにこの環境を提供できるはず。アライアンス等の問題もあるが、年内には実現可能だと思う」としている。

 携帯電話向けの技術開発を専門に行なうケイ・ラボラトリー。会場からの「PDA向けの技術開発は行なわないのか?」との質問に対し、同氏は「PDA向けについては考えていない。その理由の一つは台数の問題で、もう一つは技術的なリミテーション(制約)があるほうが参入が難しく、競争が緩やかだということ。逆に、時計やUIMカードなど、もっとリミテーションのきつい方向に行きたい」と語り、講演を締めくくった。


・ ケイ・ラボラトリー
  http://www.klab.org/

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(湯野 康隆)
2001/08/29 21:13

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