5月11日~14日にかけて、東京ビッグサイトで「ビジネスシヨウ TOKYO 2004」が開催されている。賑わい見せるボーダフォンやNTTドコモのブースでは、携帯電話に搭載された非接触ICや赤外線通信を利用したサービスを紹介。今回は2004年のビジネスシヨウで展示されている近距離通信を使ったサービスを紹介しよう。
■ ボーダフォン、非接触IC対応携帯の試作機を展示
ボーダフォンのブースでは、端末に搭載されたメモリカードスロットを利用して、複数のICカード技術をサポートする携帯電話のプロトタイプが展示された。「J-SH53X」と名付けられた非接触IC対応端末は、シャープ製の「J-SH53」をベースに開発された携帯電話。端末のメモリカードスロットに、SDカードサイズの非接触ICカード機能搭載フラッシュメモリーカードを装着して利用する。
試作機は日立の協力を得て開発され、JICSAP2.0、ISO 14443 Type Bの各仕様に準拠したカードが用意されている。ボーダフォンブースでは、電子チケットや電子マネーのほか、ロックされたドアを解錠したり、パソコンのロックをJ-SH53Xで解除するセキュリティ関連のサービスが体験できる。
しかし、交通分野での利用を想定されているJICSAP2.0や、金融・公的分野などでの利用が見込まれるISO 14443 Type Bには対応しているものの、現状の試作機では、JR東日本のSuicaやビットワレットのEdyで導入されているFeliCaはサポートしていない。国内で多くのユーザーを抱えるFeliCaに対応していないことについて、ブースの説明員は、「ユーザーから要望があることは認識している。当然Suicaなどにも対応させたい。現在各社と話し合いを行なっている」とした。
なお、製品化の時期については「早くても来年」と語っており、商用サービスが行なわれるにはもう少し時間がかかりそうだ。
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メモリーカードスロットで非接触ICを実現
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試作機の仕様
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電子チケットサービス
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電子マネーのデモ
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ドアの解錠
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パソコンのロックを非接触ICで解除
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赤外線通信を利用した宅配便用ロッカー
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このほか、同社のブースでは、携帯電話の赤外線通信機能を使った各サービスも紹介されていた。
赤外線通信対応の携帯電話とVアプリを利用して、対応するレジスターでVISAやJCBなどのクレジットカード決済が行なえるサービスでは、レジで商品のバーコードを読み取って、Vアプリで決済するまでの一連の作業をデモンストレーション。「赤外線を使って簡単にお金が払える」とアピールしており、同社では年内にも商用化したい考えだ。
さらに、赤外線コーナーでは、フルタイムシステムが携帯電話の赤外線通信機能を利用した宅配便用のロッカー「フルタイムロッカー」を展示していた。コンビニや駅などに設置されたロッカーに宅配便が届けられると、メールで通知され、携帯電話で電子キーをダウンロードして利用料を支払った後、赤外線通信などでロッカーを解錠する。現在商用化に向けて検討中とのこと。
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赤外線通信でクレジット決済を可能に
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年内にも商用化される見込みだ
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■ ドコモ、FeliCa携帯を使ったサービスをアピール
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Edy対応の業務用ゲーム機
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ドコモのブースでは、FeliCa搭載端末を使った各種サービスがデモンストレーションされた。
セガ アミューズメントが運営するアミューズメント施設「クラブ セガ 大崎」では、電子マネー「Edy」で支払いが行なえる業務用ゲーム機器のトライアルが行なわれている。ドコモブースでは、EdyアプリをインストールしたFeliCa携帯電話でゲームをプレイし、貯まったポイントをセガモバの情報端末で携帯電話側に戻して、今度はポイントを使ってゲームをプレイするデモが行なわれた。
また、空港で搭乗券の発券をFeliCaを使って行なうデモンストレーションなども紹介。これまでQRコードや赤外線通信に対応していたCmode対応の自動販売機は、新たにFeliCaプレビューサービスもサポートしていた。説明員は、「QRコードと赤外線通信ではいまいち普及していなかったCmodeが、FeliCa搭載端末の普及で拡大するのではないか」と期待をのぞかせていた。
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読み取り機の前に端末をかざすだけで利用できる
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セガモバの情報端末
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搭乗券を発券
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Cmodeの自動販売機もFeliCaをサポート
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Edyに対応するam/pmでも利用可能
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人目を惹いていた大きなQRコード
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なお、ドコモブースでは、DoPa網に対応した通信モジュール「DoPaユビキタスモジュール」なども参考出品されていた。DoPa網を使った通信モジュールはこれまで、各メーカーが提供してきたが、今回出展されたモジュールは、ドコモブランドとして発売されるもの。性能は従来のものと大差はないが、説明員は「サポートの充実。価格はまだわからないが価格安」などの特長をアピールしていた。
このほか、5月1日より開始された国際ローミングを結ぶ海外キャリアのユーザー向けの音声通話サービスなども紹介されており、対応機種となるモトローラ製3G端末「A835」も手に取ることができた。
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参考出品された「DoPaユビキタスモジュール」
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海外ユーザー向け音声通話サービス用のモトローラ製3G端末「A835」
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■ マキテック、小型Bluetoothハンズフリーキットを展示
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Bluetoothヘッドセット「ブロードウォッチ」
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近距離通信の分野で国内でも注目されているBluetooth機器関連では、マキテックのブースで携帯電話用の小型ワイヤレス・ヘッドセット「ブロードウォッチ HS-6023S」が展示されていた。
「ブロードウォッチ」は、わずか9gのBluetooth搭載ヘッドセットを含む携帯電話向けのハンズフリーキット。Bluetoothを搭載する東芝製のA5504Tに対応するほか、イヤホンジャックに小型のBluetoothアダプタを接続することで、各キャリアの端末でハンズフリー通話が可能となる。
パッケージは平型イヤホン端子用とピンジャック用の2タイプが用意される。7月1日より家電量販店などで販売される予定で、価格は18,000円。
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パッケージには、平形かピンジャックタイプのBluetoothアダプタが同梱される
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側面部のボタンで着信が可能
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イヤホン部分
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耳に引っかけるタイプでも利用できる
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■ NTT東日本、電子透かしを使ったモバイル広告サービスを紹介
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NTT東日本ブース
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NTT東日本のブースでは、ポスターなどをカメラ付き携帯で撮影することで、URLやメールアドレスなどが取得できる広告サービス「パ写ワープ」が紹介された。
「パ写ワープ」は、商用化に向けて現在トライアル中の広告サービスで、NTTサイバーソリューション研究所のモバイル電子透かし技術「サイバースカッシュ」を利用したもの。ユーザーが街頭のポスターやパソコン上の画面、スクリーンなど、対応する画をカメラ付き携帯で撮影して、メール送信すると、URLやメールアドレスなどが得られる。QRコードでは、ポスターなどに2次元コードを表示させなければならないが、同サービスでは、電子透かしの入った商品画像などを撮影することでURLなどが取得できる。
iアプリ版では撮影から画像の転送まで自動的に行なわれ、簡単にサイトアクセスが行なえる。NTT東日本では、ソリューション提供のほか、顧客データを収集しダイレクトメールの配信など様々なビジネスモデルを検討しているとのこと。幕張メッセで行なわれたアーティストのコンサートで、スクリーンに電子透かし入りの画像を表示し、その場で着メロをダウンロードするといった試みも行なわれたという。
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「パ写ワープ」のコーナー
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まだら模様の部分にデータコードが入っている
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■ URL
ビジネスシヨウ TOKYO 2004
http://bs.noma.or.jp/
「J-SH53X」ニュースリリース(PDF形式)
http://www.vodafone.jp/japanese/release/2004/040506.pdf
フルタイムシステム
http://www.fts.co.jp/
セガ プレスリリース
http://sega.jp/release/nr031215_1.html
マキテック
http://www.makitech.co.jp/
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(津田 啓夢)
2004/05/12 18:51
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