【特別企画】

ラジオ聞きまくり野郎スタパ齋藤が試す!
新世代マルチメディア放送「i-dio」とは?

 ここのところ、よくラジオを聴くワタクシ。仕事中に、作業中に、運転中にと、イロイロな番組を楽しんでおります。トークも楽しいんですけど、新たな音楽との出会いが愉快♪ おっ、誰このアーティスト! サイコーじゃん!! 的な。そういうコトを「タダ」で経験できるのもラジオの素敵なトコロ♪

 でも、残念なのがラジオの音質。高品位なデジタルサウンドに慣れた身としては、ラジオから流れる音楽について「もっとイイ音で聴けたらなあ……」と思いがちです。同じラジオ放送をインターネット経由で同じ時間帯に配信する「IPサイマル放送」も聴きますが、これもやっぱり音質的には物足りないですな。

 ラジオみたいにタダで、新しい音楽をたくさん聴けたりする、こー、なんか、放送みたいなのって、ナイんでしょうかね? とか言っていたら、インプレスの中の人が「じゃあ『i-dio』なんてどうです? グランドオープンして番組も充実してきましたし、音はスゴくイイですよ~」と。

 は? アイ……ディオ? あーアレか、アナログTV時代の1~3chで使われていた電波帯域で、えーと、なんだっけ、デジタルの放送を始めるとかいう。もう始まってるんですね。じゃあ試しに使ってみよっと♪

この小さいチューナーとスマホだけで音声や映像などを楽しめるんですか

 i-dioは、新しいマルチメディア放送ですな。音声や映像など各種情報をデジタルで送っていて、専用の受信機を使えば放送をスマートフォンアプリで楽しめます。また、同じ番組をネット経由で送信するIPサイマル放送も行われていて、これもアプリで受信できます。もちろん、どちらも「タダ」で♪

 放送なので、チャンネルという概念があります。既に10近いチャンネルが放送を開始しています。このチャンネルも今後、順次追加される予定だそうです。

 電波での放送エリアは関東・甲信越(東京マルチメディア放送)、東海・北陸(中日本マルチメディア放送)、近畿(大阪マルチメディア放送)、九州・沖縄(九州・沖縄マルチメディア放送)の4地域。まだあまり広くはないんですけど、ものスゴい勢いで放送のためのアンテナを増設しまくっているので、放送エリアは急速に拡大していくと思われます(詳しくはコチラ)。

将来的には全国7エリアで放送が開始されます

 ちなみに、IPサイマル放送なら広範囲で放送を楽しめますが、データ量がけっこー多いので、Wi-Fi経由でネット接続して利用するのが無難かも、です。

 あと今後の展開としては、2017年には96kHzのハイレゾサウンドでの放送へとアップグレードする予定だそうです。また、ヘッドフォンの2ch再生で最大11.1chのサラウンド音場を再現できる「DTS Headphone:X」にも対応予定。なんかスゴそ~ですな!

 i-dioは、前述のとおり「放送」です。電波にデジタルデータを乗せて送信。空中にパケットをバラまいているようなイメージで、そのパケットにナニを入れるかはアイデア次第です。「AAC 320Kbps」で音楽をガシガシ流しても電波帯域に余裕があるほどなので、イロイロな利用法が考えられ、それを実現できるってわけですな。本格的なIoT時代には、各端末がi-dioの電波を受信することでアップデートするようなことも可能でしょう。

 と、能書きはこのくらいに。さて、実際にi-dioを使ってみましょう♪

2つの受信モードでi-dio放送を満喫!

 無料で多彩なデジタル放送を受信できるi-dio。利用に必要なのは、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末(AndroidもしくはiOS)と、各種受信アプリです。「i-dioのチャンネルはアプリで受信するもの」ってわけですな。

 また、i-dioの受信アプリには2つの受信モードがあります。具体的には「インターネット受信モード」と「i-dio放送受信モード」で、各種受信アプリ内でこれらモードを切り換えられます。

インターネット受信モードとi-dio放送受信モードの切り替えは、設定画面で行います

 まず「インターネット受信モード」ですが、これはi-dioをインターネット経由で受信するモード(IPサイマル放送を受信)。端末がネットにつながれば受信できます。ただ、チャンネルによっては送信されてくるパケット量が多いので、3G/LTE回線で長時間受信するとパケット通信料が心配。ある程度通信速度の速いブロードバンド回線+Wi-Fi接続で利用したいモードです。

インターネット受信モードでWi-Fiに接続していない場合は、3G/LTEで受信します。パケット代に注意!

 余談ですが、たとえば自宅にブロードバンド回線+Wi-Fiアクセスポイントがあるなら、まずこの「インターネット受信モード」でi-dio放送を楽しんでみるのがオススメです。前述のようにi-dio放送は無料ですし、後述のアプリも無料。今すぐ「i-dioの楽しさ」をチェックできますヨ♪

インターネット受信モードに対応するエリア(2016年6月現在)

 さて、もうひとつの「i-dio放送受信モード」ですが、これはi-dio専用チューナーを使うモードです。i-dioは「電波による放送」なので、受信のための専用チューナーが存在します。スマートフォンやタブレットを専用チューナーにWi-Fi接続してi-dioの放送を楽しむのが、「i-dio放送受信モード」というわけです。なお、チューナーはi-dioの放送波を受信するわけですが、同時に受信したデータをスマートフォンやタブレットに送るためのWi-Fiアクセスポイントとしても機能します。

i-dio放送受信モードを楽しむには専用チューナーが必須ですっ

 ちなみに、i-dioのチューナーを内蔵したスマートフォンとして「i-dio Phone」もあります。今後、i-dioのユーザー増えてくれば「i-dio Phone」のような「i-dio対応チューナー搭載機器」が増えてくるかもしれません。

i-dio対応のSIMフリースマートフォン「i-dio Phone」

 さて、実際に使う手順ですが、まず「インターネット受信モード」の場合。受信アプリをインストールして、アプリの受信モードを「インターネット受信モード」にするだけで放送を楽しめます。現在のところアプリは、「i-dio」「TS PLAY」「Amanekチャンネル」の3種類が配信中です。もちろん、どれも無料。

 それから「i-dio放送受信モード」。まずi-dio専用チューナーのWi-Fiアクセスポイントに、スマートフォンなど端末を接続します。次いでアプリを「i-dio放送受信モード」にすれば受信できます。i-dio専用チューナーは、窓際などi-dio放送波を良好に受信できる位置に置くようにしましょう。

専用チューナーを窓際に置くと、i-dio放送の受信感度があがります

3つのアプリはどんな感じ?

 i-dioは基本的に電波による放送ですが、「アプリでチャンネルを楽しむ」というトコロが「これまでの放送」とちょっと違うトコロです。アプリの機能の違いで、チャンネルや番組の見えかたや聞こえかた、あるいは役立ちかたが違ってくることも多々。てなわけで、実際に3つのアプリを使い、その印象を書いてみましょう。

早速「TS PLAY」「Amanekチャンネル」「i-dio」の3チャンネルを試しますっ!

 まず使ってみたのが「TS PLAY」アプリ。i-dioでは複数のチャンネルがありますが、そのうちの「TS ONE」チャンネル専用の受信アプリです。「TS ONE」チャンネルは「AAC 320Kbps」で音楽を流している高音質チャンネル。実際に聴いてみると……。

まずは「AAC 320Kbps」で音楽を配信するアプリ「TS PLAY」から

 もうビックリです! イキナリ高音質! 「デジタル地上波放送としては最も高音質」だそうですが、確かにそうです。試しにスマートフォンの出力をアンプにつないでみたり、Bluetoothスピーカーにつないでみたり、あるいは高品位ヘッドホンを使ったりして聴いてみましたが、イイ音っ♪ 音楽をシッカリと堪能できます。

 この「TS ONE」チャンネルでは、もちろんトーク番組なんかもあるわけですが、トークの声もイイ音です。ちょうど小林克也氏の番組をやっていたんですが、改めてその「声の良さ」を痛感。音楽もトークもスゴく高音質で楽しめました。

音楽番組はもちろん、トーク番組もラインアップされています

 ちなみに、曲が流れると同時に、画面上にアルバムアートワーク画像や曲情報のテキストが表示されたりします。また、気に入った曲があれば「クリップ」として曲名などを保存できます。その曲をネット通販で購入したり、SNSでつぶやいたりすることも可能です。

クリップした曲はリストで確認できます

気に入った曲をSNSで友人とシェア!

 次に使ってみたのは「Amanekチャンネル」アプリ。「Amanekチャンネル」を快適に楽しむためのアプリです(ほかのチャンネルも受信できます)。「Amanekチャンネル」はクルマ向けのチャンネルで、いわば「ドライバーのためのデジタルラジオ放送」というイメージです。

車で視聴するには「i-dio 車載対応Tuner Box」が必要です

 実際に使ってみると、まず流れる曲の多くがドライブ向けで、明るめ&元気イイ系だったり、テンポが良かったり、おなじみの曲だったり、全体的に楽しい感じ。音質も良いので、いい音楽とともに楽しいドライブができると思います♪

 また、GPSにより現在位置を把握し、必要に応じて走行エリアのリアルタイム天気予報を読み上げてくれたりもします。それから道やエリアに関する情報を読み上げてくれることも。たとえば先日、地元の「知っているツモリ」のエリアについて、いつお祭りがあるとか、地名などの由来がこうだとか、ちょっとした豆知識を授けてくれました。こういう情報も「Amanekチャンネル」の楽しさのひとつです。

 さらに、こういった情報はクリップとして保存でき、あとからテキストで読み返すことができます。曲のクリップも可能で、曲に関するデータを確認することができます。

画面右下のクリップアイコンをタッチすると情報を保存できます

曲の場合は、アルバム名やリリース時期などが表示されます

 流れる音楽も読み上げられる情報も、ドライバーにとってイイ感じ。現在走っているエリアに関する情報を読み上げてくれるあたり、とくに「大きく進化したカーラジオ」という印象です。

 最後に「i-dio」アプリを使ってみました。コレはi-dioの全放送を受信できる総合アプリですな。このアプリで各チャンネルをつまみ食いする感じで視聴しましたが、やはり音楽系のチャンネル・番組がイイ感じです。まず音質がとても良く、音楽専門チャンネルもありますので「今日はこのチャンネルをBGMに」という感じでも楽しめます。

「TS ONE」のほか、「Classic」「Masterpiece」「Jazz」の4つの音楽チャンネルがあります

 また、番組のトークにおいても、音質がよく人の声がよく通りますので聞きやすいです。それと、個人的な印象ではありますが「多くの番組が上品」という感じ。もっと言えばトークの「品」が良いように感じられますが……そのあたりはゼヒ実際に聴いてみてください。

 動画が流れるチャンネルもあります。アニメありゲーム実況ありファッションありで、なかなか楽しめます。

アニメやファッション、映画の予告編などが配信されています

 ちなみに、i-dioのチャンネルは現在合計9チャンネルありますが、ひとつのエリアでそれら全放送を受信できるわけではありません。i-dioは日本全国を7エリアに区切ったエリア別放送なので、エリア毎に受信できるチャンネルが決まっています。とは言っても、現在各エリアとも最低6チャンネルは受信できます。

タダで高音質でコンテンツたっぷりで! イカスぜ i-dio !

 i-dioを使い始めてから、とてもイイ感じで日々i-dio放送を楽しめているワタクシです。とくに音楽! i-dioは音楽番組が多く、音質もイイので、音楽をたっぷり楽しめます。個人的には「i-dio Selection」という3つの24時間音楽流しっぱなしのチャンネルがお気に入りで、「タダなのにこんなにたっぷり音楽流してくれて感謝!」みたいな気分です。

「Classic」「Masterpiece」「Jazz」の3つのチャンネルを満喫中!

 そしてやはり、再三書きますが、音質の良さ。スマートフォンなど端末をスピーカーやヘッドホンにつないで音を聴きたくなるレベルなので、実際そうして使っています。音質の良いヘッドホンに接続して放送を聴くと、「こんなに高音質&多量の音楽、ホントにタダでいいの?」とか再度感謝してしまいます。

「TS ONE」で流れる音楽の音質の良さには脱帽ですな

 i-dio放送を楽しむには「インターネット受信モード」と「i-dio放送受信モード」があると前述しましたが、使い方によっては「インターネット受信モード」を積極的に利用するのもアリだと思います。「インターネット受信モード」ではインターネット経由のパケット通信でi-dioのIPサイマル放送を受信しますので、パケット料金がかかります。とは言っても短時間の利用なら、パケット定額内のデータ通信量に収まると思います。

 たとえば、前述の「TS ONE」で音楽を聴くと、だいたい1時間で230MBくらいのパケット量(4時間で約1GB)になります。ので、インターネット回線に接続して聴くといった使いかたが現実的かもしれません。i-dioはイヤホンを装着してジックリと聴いても十分高音質なので、使いかたによっては「日々の生活が想像以上にうるおう」と思います。

 てな感じのi-dio。いきなり充実感のある新世代マルチメディア放送ですし、今後の発展(2019年までには全国で安定した受信環境が整う予定)にも期待を持てるサービスですので、ぜひ一度お試しを。使わないと損、とも言えますな♪

【各種アプリのダウンロードはコチラ!!】

「TS PLAY」

「Amanekチャンネル」

「i-dio」