高速データ通信サービス 実使用CHECK

ULTRA SPEED対応ルーター「007Z」を試す


007Z

 携帯各社の通信サービスで高速化が図られる中、ソフトバンクモバイルでは今年2月から新サービス「ULTRA SPEED」(ウルトラスピード)を提供している。下り最大21MbpsのHSPA+方式と、それを二重化して下り最大42MbpsとするDC-HSDPA方式を用いたデータ通信サービスで、2月には法人向けデータ通信端末が登場した一方、個人ユーザー向け端末はなかなか提供されてこなかったが、ついにこの7月、モバイルWi-Fiルーター「007Z」が発売された。

 「007Z」は、ZTE製のモバイルWi-Fiルーター。IEEE802.11 b/g/nに対応しており、簡単に無線LAN(Wi-Fi)機器と接続できるWPS機能をサポートする。取扱説明書を見ると、ニンテンドーDSやPSPなどゲーム機との接続方法に多くのページが費やされている。携帯ゲーム機を外出先で使うユーザーに向けた製品、ということで、Wi-Fi接続のセキュリティ方式の初期設定はWEPとなっており、パソコンやタブレット、スマートフォンなどで利用する場合はWPS/PSKといったセキュリティ方式に変更してもいいだろう。

 他社のモバイルWi-Fiルーターでは、バッテリーカバーを開けるとSSIDやパスワードの初期設定値が記されていることもあるが、「007Z」のそうした情報は、パッケージに同梱されたシールに記されているので、そのシールは紛失しないように注意したい。

背面左側面
左側面にmicroSDカードスロット右側面。左からWPSボタン、接続/切断ボタン、電源ボタン。接続/切断ボタンを5秒以上長押しすると自動接続モード/手動接続モードを切り替えられる
バッテリーは1900mAhバッテリーの下にSIMカードスロット

 

 さて気になるのはサービスエリアと利用料だが、まず料金については、11月末までに申し込めば月額3880円と、他社の安価なプランと同じ形となり、手を出しやすい状況だ。一方、通信速度については、理論値では、WiMAXとも張り合えるところもあるが、今回は他キャリアのAndroidスマートフォンを接続して、「Speedtest.net Mobile」というアプリで計測してみたところ、最も速いときで下り6.61Mbps(大手町)、上り3.23Mbps(新宿西口)、最も遅いときで下り1.55Mbps(大手町)、上り1.54Mbps(大手町)となった。

 データ通信サービスは繋がらなければ話にならない、と評価する方もいるだろうが、「ULTRA SPEED」は、ソフトバンクモバイルのネットワークに加えて、同社が借り受けるイー・モバイルのネットワーク(下り最大42Mbps)も利用できる。同社サイトでそれぞれのネットワークのサービスエリアマップが公開されており、都市圏の屋外はおおむねカバーされていることがわかる。ただ、このマップ、拡大縮小はできず、おおまかにエリアを把握する程度に留まる。ソフトバンク網(メインエリア)とイー・モバイル網(サブエリア)を見比べると、郊外ではイー・モバイル網のほうが充実しているようだが、東名阪や札幌、福岡、仙台におけるメインエリア・サブエリアの違いは小さいように思える。

東京・大手町、高層ビル脇の歩道にて(ディスプレイ周辺を補正して明るくしています)

 では、実際に街へ出てみるとどうか。たとえばケータイ Watch編集部がある東京・市ヶ谷周辺の屋外は確かにメインエリアで繋がるが、屋内はメインに繋がったり、サブに繋がったりする。ビジネス街の大手町や繁華街の新宿(西口周辺)では、屋外はほぼメインエリアだが、ビル内はサブエリアになることがそれなりにあった。また、東京の北隣に位置する埼玉県に入ると、県境すぐの住宅街では、屋外であってもサブエリアばかり、という状況だった。

ケータイ Watch編集部(東京・市ヶ谷)のあるビル内にて大手町の地下鉄プラットフォームにて

 現段階では、まだメインエリアのほうが狭い(6月末時点の人口カバー率は75%)ようだが、実際利用してみると、サブエリアに接続できれば、インターネットは問題なく利用でき、ストレスを感じることはない。都市部であれば、ほぼ問題なく利用できるのではないだろうか。さて、そのときどちらのネットワークに繋がっているか、気になる場合は、「007Z」のディスプレイを見ればわかる。ソフトバンク網であれば「DATA MAIN」、イー・モバイル網であれば「DATA SUB」と表示されるのだ。建物から出た場合など、たまに圏内ながら「Disconnect」(切断中)となったまま、接続されないことがあった。設定上は、自動接続/手動接続を選べるのだが、その時々で接続/切断するならば、側面にある、電源ボタンの隣にあるボタン(WPSボタンとペアになっているボタン)を1~2秒押せばいい。このボタンは一見すると役割がわからないので、取扱説明書を読んで覚えておきたいところだ。

 他社と比べても、遜色ない使い勝手となっている「ULTRA SPEED」と「007Z」という印象だが、通信量制限があるのは注意したいポイント。類似の規制は他社でも存在するが、「ULTEA SPEED」向けプランの「データフラットプラン for ULTRA SPEED」は、前々月の月間パケット通信量が3000万パケットを超えた場合に当月1カ月間、通信速度が制限されることがある。一方、「データフラットプランS」は、24時間ごとのパケット通信量が300万パケットを超えると、当日21時~翌日2時の通信速度が制限されることがある。

パソコンからアクセスした管理画面通信量を確認できる

 通信量は「007」の管理画面で確認できるのだが、この管理画面へのアクセス手段として、取扱説明書にはパソコン向けのユーティリティソフトが紹介されている。ここはぜひ携帯ゲーム機やタブレットなどからの確認方法も欲しいところ。もちろんIPアドレスをブラウザに入力してアクセスすることもできるが、そのIPアドレス(初期設定で 192.168.3.1 )を取扱説明書上で見つけるのは、なかなか難しい。たとえばメールで通知するなど、ソフトバンクモバイルには、こうした部分のサポートにも期待したい。

 




(関口 聖)

2011/7/28 14:14