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Cerevo、Webと繋がる“鍵”「Hackey」発売、9980円

 Cerevoは、Webサービスと連動する錠前型のスイッチ「Hackey」の販売を開始した。同社オンラインストアでの価格は9980円(税抜)。スイッチのON/OFFで専用サーバーを介してWebサービスに情報を送ったり、逆にWebサービスから情報を得たりする。対応サービスとしてIFTTTやZapirのほか、年内にはヤフーのmyThingsが利用できるようになる。

 Hackeyを使うことで、たとえば、帰宅してHackeyのキーをひねれば、外にいる家族へ帰宅したことを知らせたり、スマート電球を点灯させたりできる。またホテルのフロントに設置して、ボタン1つでタクシーの配車を依頼する、といった使い方も実現できるという。

myThingsにHackeyチャンネルが年内にも設置される見込み
Hackeyのスイッチをひねると、その情報をトリガーにしてアクションが実行される
将来的な利用イメージとして就寝時に使うと、自宅の鍵が閉まり、消し忘れの照明もオフにするというもの
こちらも将来的なものとして、家庭内で不足したものがあれば、スイッチ一つで注文、というもの。Amazonの「Dash Button」と同じ使い方だ

 Cerevo代表取締役の岩佐琢磨氏は、活用例としてイベントやスマートロックとの連携を挙げる。たとえば渋谷のような繁華街のさまざまな場所にHackeyを設置しておき、参加者にHackey用の鍵が配られるも、1つのHackeyをONにできるのはそのうち1人だけ……といったイベント。あるいはこのところ続々と登場するスマートロックが玄関ドアだけではなく窓など宅内に複数設置されている場合も外出時にHackeyを1回ひねるだけでボタンを押すと家中の鍵が閉まる、といった使い方だ。

岩佐氏

 3月に米国のイベントにあわせて発表されていたが、今回、国内での発売日が正式に案愛された大きさは直径56mm、高さ51mm。重さは60g。LEDのカラーは5色。鍵ユニットは直径16mmのパネルマウント型スイッチと互換性があり、押しボタンへ交換することもできる。この場合、分解が必要なため保証対象外となる。

 ON/OFF(あるいはゼロかイチか)という二段階のスイッチとして動作する。鍵のパターンは100種類あり、パッケージにはそのうち1種類のキーが同梱される(スペア付き)。仮に200個、同じ場所にHackeyがあれば、1つの鍵で動かせるHackeyが2台はある、ということになる。

 設定はダッシュボード(Hackey専用の管理サイト)で行う。鍵を挿してひねるとWi-Fi経由で専用サーバーへデータが送られる。そのデータをもとに、連携するWebサービスのAPIを介して、アクションが実行される。専用サーバーとのやり取りを行った段階でHackeyのLEDが点灯してアクションを実行したことを通知する。現時点では、myThingsであればHackeyでスイッチを入れると、Twitterへ投稿したり、メールを送ったりするなど、複数のアクションを同時に実行できるという。

indiegogoで割安に?

 同社では、クラウドファンディングサイト「indiegogo」を通じて、海外のユーザーも「Hackey」を購入できるようにする(受付ページ)。既に受付は開始されており、今後21日間、応募を受け付ける。期間中、特別価格で販売され、最も安いメニューでは、先着256名が1台59ドル(約7100円)で購入できる。

メニュー受付人数
59ドルでHackey1台256名まで
79ドルでHackey1台256名まで
169ドルでHackye3台
(1台あたり約6800円)
64名まで
699ドルでHackey12台
(1台あたり約7000円)
8名まで

「オープンなほうが成立する」

 スイッチをひねるだけ、というシンプルな動作に絞った「Hackey」は、シンプルゆえに活用できそうな場面が多岐にわたる可能性がある一方、用途が今ひとつ、想像しづらいと感じる向きがあるかもしれない。

 Cerevoの岩佐氏は、Cerevoそのものがグローバル市場に向けたニッチ製品の提供を目指しており「ニッチと呼ばれることはむしろ嬉しい」と語りつつ、Hackeyの柔軟性は、市場として潜在的な可能性が高いためだと語る。

岩佐氏
「たくさんのメーカーズ(個人でものづくりをする人)、ハードウェア分野の起業家と話す中で、こういう製品を使いたいという声があった。また既存のユーザーにシステムインテグレーター、広告会社、広告を検討する企業といったところから問いあわせが多かった。(そうした声から)限られた用途だけ、というよりも、少しオープンな形にしたほうがマーケットとして成立しそうだと。作ったからにはいろんなところに使って欲しい。システムインテグレーターにいろんなところへ組み込んで欲しい。何にでも使える鍵、ある種のツールとして製品化することにした」

 同氏によれば、販売目標はないものの、まずは1000台生産したとのこと。その程度はすぐ売り切れると岩佐氏は推測し、今後も一気に10万台という形ではなく、長い期間にじっくりと売れていく製品になるのでは、と語り、Cerevoとしては2~3年という期間でその成果を見ていきたいという。もともとCerevoが取り扱う製品も毎月50台売れるものの、既に販売期間が3年に及ぶ、といったものが増えてきているのだという。旬の期間が短いデジタル家電というよりも、ホームセンターのような場所で長く販売されるような製品なのだという。

 確実にマーケットがあるものの、その規模が読めないなかでは、小ロットを長期間、扱える同社にとってはひとまずクイックスタートを重視して動いている。Hackeyは、法人での利用がメインとの見通しも立てているののことで、積極的に取り組む姿勢。最も大規模な営業部隊を抱えることはなく、ヤフーのmyThingsと連携することでHackeyの魅力を今後拡げられれば、とも語っていた。

関口 聖