ニュース

東京ゲームショウ開幕、スマホ向けに「攻殻」全天球映像やYouTubeのゲーム実況

 17日、幕張メッセで「東京ゲームショウ2015」が開幕した。出展されるタイトル数を見ると1年前と同じく、スマートフォン向けコンテンツがiOS/Android向けでそれぞれ250点程度となり、相当の割合を占めている。具体的な注目タイトルについては、僚誌「GAME Watch」でもお伝えしているが、本誌ではスマートフォン向けでユニークな取り組みを紹介しよう。

「攻殻機動隊 新劇場版」のVR映像、スマホ向けにも

 Production I.Gが「攻殻機動隊 新劇場版」の全天球映像を楽しめるブースを出展している。

 この映像は、「攻殻機動隊 新劇場版 Virtual Reality Diver」と題され、2015年冬、約10分間の映像としてスマートフォンアプリで配信される予定。Gear VRや「ハコスコ」のようなVRゴーグルを使うことで楽しめる。価格は480円。

 東京ゲームショウ2015のブースでは、ドームシアターとして約3分間の予告編映像を楽しめる。予告編では主要キャラクターの1人である草薙素子の全身義体を示す場面や、電脳へダイブする場面、そして多脚戦車らしき兵器と戦うさまが、視界全てを覆って再現される。ちなみにブース前には、「攻殻機動隊ARISE」に登場した車両「ロジコマ」の大型模型を展示。ARISE版の“草薙素子”も姿を見せていた。

YouTubeがゲーム実況機能

 ゲームプラットフォームとして、モバイルが最前線の1つとなり、ゲームコミュニティで人気の「ゲーム実況」をスマートフォンでも実現できるよう、YouTubeのスマホアプリにゲーム実況機能が搭載される。17日の基調講演で明らかにされた。

 時期は近日とされ、具体的な日程は示されなかったが、新機能では、Androidスマートフォンでゲームをプレイしながら、YouTubeでライブ実況をしたり、実況動画を作成したりできるようになる。スマホのインカメラで自撮りしつつ、ヘッドセットなどの音声も同時に収録、配信できる。このほか、ゲーム実況に特化した「YouTube Gaming」も日本語版が提供されることになった。

 同じパートの基調講演には、Amazon傘下のTwitchや、ニコニコ動画の担当者も登壇。各社いずれも、国内外における動画サービスの大手プラットフォーマー。基調講演では、ゲーム関連動画が多く投稿され、高い人気を得ているジャンルの1つと紹介された。またニコニコ動画では、ゲームの実況動画で最も古いものが2007年に投稿された、とのことで日本のユーザーが先進的な取り組みをしてきたと指摘。ドワンゴ取締役COOの横澤大輔氏は、ユーザー視点で制作されるゲーム実況は「素材として不完全でツッコミの余地がある」として、そうした点が、実況するユーザーとそれを視聴するユーザーとの間でコミュニケーションを生み出すと解説する。

ドワンゴの横澤氏
横澤氏が指摘するユーザーによるコンテンツの面白さ
Amazon App Store for Androidのディレクターであるジョナサン・ナガオ氏

 また、月間1億人に閲覧され、1日あたりのユーザー滞在時間が106分というTwitchでは、ゲーム開発側が開発中のタイトルの様子を配信。それを見たユーザーが何かしら意見を出すと採用されることもある。こうした取り組みで、たまたま視聴しただけのユーザーであっても、ファンになってくれるとのことで、熱心なファン層の拡大にも動画配信が役立つ、とする。

Twitchの利用数
Twitchを通じてゲーム開発状況を中継する試みも

Gear VRを使った新しい体験

 Oculusのブースには、サムスンの「Gear VR」も用意されており、VRでニコニコ動画を楽しめるアプリが用意されていた。撮影禁止だったが、短時間ながら実際に体験してみたところ、視界の中央にニコニコ動画の画面が浮かび、コメントが全天球で流れる様は、サイバースペースへの高い没入感を得られた。

THETAの新モデル
モニターでも紹介

 同じくGear VRを使った新しい試みとして、リコーが全天球撮影できるカメラ「THETA」の写真を楽しめるアプリを披露した。THETAでは全天球での動画も撮影できるが、今回のデモでは写真を楽しめる形。アプリそのものの商用化はまだ未定で、動画への対応も検討中という。

ピコカセットの仕組み

 14日に発表され、本誌記事もソーシャルメディアなどで話題になったのがスマートフォンのイヤホンジャックに差し込んで、ゲームを楽しめるようにするという「ピコカセット」だ。

 往年の家庭用ゲーム機を彷彿とさせるギミックで、「イヤホンジャックでアプリのデータを転送できるのか?」と思われた方がいたかもしれない。仕組みとしては、イヤホンジャックでゲームアプリ本体のデータを伝送するわけではない。装着すると「ピコカセット」に電力が供給され、内蔵マイコンが起動する。マイコンからイヤホンジャックを通じて、スマホアプリにIDが受け渡され、そのIDをもとにコンテンツをサーバーからダウンロードする、という流れだ。

 ピコカセットは、シロクとBeatroboが共同で進めるプロジェクト。もともとBeatroboでは、同じ仕組みを使って、楽曲配信を行う「PlugAir」を提供しており、これまでに倖田來未のファンクラブ限定での楽曲配信も行っていた。

TGS初出展の「クラクラ」や、巨大ブースのスマホゲームも

 スマートフォン向けゲームを提供する各社のブースが居並ぶなか、東京ゲームショウに初めて出展したのは「クラッシュ・オブ・クラン」のSUPERCELL。ブースでは、試遊台が設置されたほか、東京ゲームショウ限定で、5人対5人という集団プレイを楽しめるようになっていた。

 またスマホ向けソーシャルゲームである「グランブルーファンタジー」は巨大なブースを構える。グリーブースには、さまざまなゲームの試遊台、ならぬ試遊スマホが並べられていた。

 会場の一角には、NTTドコモによる携帯電話の充電スペースも用意されている。一般公開となる週末には、こうしたサービスも利用しつつ、最新ゲームを体験できるだろう。

関口 聖