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タクシー共通配車アプリ「スマホdeタッくん」がバージョンアップ

8社1万1000台で都内シェア55%に拡大、空車表示や黒塗り指定、英語版も

 東京ハイヤー・タクシー協会は、タクシー共通配車アプリとして提供している「スマホdeタッくん」の最新バージョンの提供を開始した。バージョンアップによる機能追加の対象になっているのはiOS版とAndroid版で、アプリの利用料は無料。バージョンアップと同時に、機能は共通で英語版の提供も開始された。

 また同協会では、「スマホdeタッくん」の仕組みを利用した新たな取り組みとして、アイホンと連携して集合住宅の中のインターホンからタクシーを呼べるようにする連携や、ブログウォッチャーとiBeaconの活用で基本合意したことも発表されている。

タクシー無線8社が参加、1万1000台に拡大

 「スマホdeタッくん」は、タクシー無線6社が参加し、東京23区と武蔵野市・三鷹市エリアに対応したタクシー配車サービス。2014年1月から提供されているが、今回のバージョンアップと同時に2社の参加が発表され、合計8社が参画するシステムになった。2015年1月現在で約9600台のタクシーに対応しており、3月までに約1万1000台に拡大する予定。これにより、「スマホdeタッくん」で配車の対象になるタクシーのシェアは、都内法人タクシーで55%にまで拡大するとしている。

アプリ「スマホdeタッくん」バージョンアップ

 アプリ「スマホdeタッくん」は、バージョンアップにより、車両の色として「黒」のタクシーを指定できるようになる。また、EV、HVなどのエコカーの指定にも対応した(色・エコカー指定は日本語版のみ)。

 アプリで乗車場所を指定する際には、乗車場所から半径1km圏内の空車のタクシーが表示されるようになる。近い順に最大10件が表示され、乗車を希望している場所が配車されやすい場所かどうかを確かめることができる。タクシーは地図上にてタッくんアイコンで表示され、進行方向も分かるようになっている。

 ユーザーインターフェイスが刷新され、アプリ起動後、すぐに地図画面が起動するようになった。これまでトップページとして表示されていた使い方やQ&A、履歴などのメニューは、サイドメニューの中に用意されている。

 タクシーの配車を依頼した後は、車両が半径500mに接近すると通知されるようになっていたが、バージョンアップにより、半径50mに接近した際にも通知されるようになった。

 サーバー側では、配車を行う際の選択ロジックも改善された。タクシーの進行方向が新たに認識できるようになっており、乗車場所を通り過ぎたタクシーは優先度を下げ、乗車場所に向かって進んでいるタクシーを優先するように改善された。これにより、配車時間が短縮されるという。

 外国人観光客の増加や2020年の東京オリンピックの開催をにらみ、英語版の提供も開始された。機能は日本語版と基本的に同じ。到着した車両を判別できるよう、車両の色や行灯のイラストが表示されるほか、仮に言葉が通じなくてもユーザーとドライバーがお互いを確認できるよう、配車したタクシーの無線番号がアプリにも表示されるようになっている。

神奈川、埼玉、千葉にも拡大を検討

 28日にはバージョンアップ内容の説明や、1周年を迎えて、今後の取り組みを説明する発表会が開催された。発表会では、今後、アプリの宣言活動として、都内にあるタクシー乗り場や、羽田空港のデジタルサイネージを活用して、アプリをPRしていくよう検討していることが明らかにされたほか、サービス対象の多摩地区への拡大に加えて、今後は神奈川県、埼玉県、千葉県にもサービスを拡大できるよう進めていく方針が明らかにされた。

 アイホンのインターホンとの連携は、集合住宅向けのブラウザ搭載型インターホン「VIXUS」から、画面をタップするだけで配車を依頼できるというもの。「VIXUS」は都内を中心に約1万5000台が稼働しているという。

 ブログウォッチャーとの取り組みについては、iBeaconなどを活用し、「タクシーの車内で有益な情報を受け取れる」といった概要が示された。現時点では基本合意のため、詳細は今後改めて案内される予定。

 提供から1年でアプリのダウンロード数は4万件弱とし、直近1カ月でのアプリを利用した配車は約5000件。同協会の担当者は「正直にいって、非常に少ないと思っている」とした上で、現在のアプリのユーザー層についても「ITを駆使している20~30代のビジネスユーザーが多いの実態。コアユーザーである年配の人にも拡大していきたい」とユーザー層を拡大していく方針を示している。

 乗車料金の支払いアプリで済ませるといった決済への対応も、将来的には考えているとしたほか、タクシー無線グループの選択といったことも、ユーザーの声に応じて検討していく方針。ワゴンタイプのタクシーについては、台数が少ないため、配車の依頼に応じられないケースが多いとして現在は選択できないとした上で、台数が増加すれば選択配車が可能であるとした。

東京ハイヤー・タクシー協会 会長の川鍋一朗氏
国土交通省大臣官房審議官の若林陽介氏
東京タクシーセンター 専務理事の渡辺英雄氏
東京ハイヤー・タクシー協会 副会長の樽澤功氏
東京ハイヤー・タクシー協会 環境・車両資材委員会 委員長の根本克己氏
川鍋会長のほか、国交省の若林氏や漫談家の青空遊歩氏、デジタルハリウッド大学大学院 教授の三淵啓自氏を迎え、ITを組み合わせた今後を語る「タクシーフォーラム」も開催された

太田 亮三