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CAは来春、その次は262.5Mbpsへ、ドコモ加藤社長が示す“少し先の未来”
(2014/9/30 19:04)
NTTドコモは30日、2014年冬~2015年春にかけてリリースする新製品および新サービスの発表会を開催した。スマートフォンのほか、子供向けの腕時計型端末などを取り揃え、サービス面では心拍数を計測できるウェアとフィットネスアプリの連携などを提供する。プレゼンテーションを行った代表取締役社長の加藤薫氏は、「少し先の未来を、皆さまの毎日に」というメッセージを掲げ、ドコモが日々の生活に進化や新しさをもたらす存在になる、とアピールする。
会見の冒頭には、通話定額を含む新料金プランの契約数が900万件を超えて、9月29日付けで937万件に達したことが明らかにされた。
今回の“生活を変えるサービス”
このところ、ドコモは「スマートライフのパートナー」を掲げて、新機種の投入だけではなく、実にさまざまなサービスに取り組んできた。これまでに日用品や服飾品を用意する通販サービス、出前注文を展開しているほか、有機野菜などをあつかう“らでぃっしゅぼーや”の子会社化など、通信サービスだけではなく、それ以外の分野にも注力して、“スマートライフ”の実現を目指している。
そうした日々の生活を変えていくサービスとして、今回、案内されたのが、心拍を計測できる“hitoeウェア”と組み合わせたフィットネスアプリ「Runtastic for docomo」、行動支援型サービス「iコンシェル」の機能拡充、そして子供向けの腕時計型端末「ドコッチ」だ。
その1つであるフィットネス関連のサービスは、どういった内容なのか。一般に、心拍数を計測しながら運動すると、自分の体にとって、ダイエットに適した運動なのか、あるいはハードに鍛えてアスリートのように機能向上をはかる運動なのか、その強度をコントロールしやすいとされる。心拍数を計測できる腕時計型端末や、胸に巻くベルトなども既にあるが、hitoeウェアは身に着けるだけ、という手軽さとともに、より正確に心拍数を計測できることが大きな特徴だ。ドコモではひとまず、ユーザーの健康増進をサポートするサービスとして提供していく考えで、今後はサッカーやラグビーのようなスポーツへの活用も検討される。さらに加藤氏は「トータルにおける健康管理に進出したい」と述べて、食事中や睡眠時など、常に身に着けて体調を管理できるツールとして発展させていく考えを示す。
iコンシェルの機能強化は、「わかってくれる」「おしえてくれる」「してくれる」という3つの要素がポイントとして、シチュエーションにあわせて的確に提案するサービスとして提供される。そして「ドコッチ」は、大人と同じモノを持ちたい、あるいはオモチャとして喜んでくれる子供に向けたデバイスであり、なおかつ、まだ携帯電話を持たせるには早いと考える保護者にとってもマッチするデバイスであり、ドコモによる安心・安全をもたらすサービスの一環、という位置付けだ。
初公開の「262.5Mbps」、CA対応スマホは2015年度
ドコモが提供するサービスの下支えとなるのは、もちろん通信インフラ。そして他社に対する差別化ポイントとしても、ネットワークの品質や性能は、各社が競い合う部分だ。
最近、携帯各社が進めているのは、LTEの次にあたる技術「LTE-Advanced」の1つである、キャリアアグリゲーション(CA)だ。すでにauでは商用サービスを開始しているなかで、ドコモもかねてよりキャリアアグリゲーションを導入する方針を示していたが、今回、初めてその時期が明言された。そしてその次のステップも明らかになった。
加藤氏のプレゼンテーションによれば、ドコモがキャリアアグリゲーションによる下り最大225Mbpsのサービスを提供するのは2015年3月。このとき、対応機種となるのは、今回発表されたモバイルルーター2機種だ。
そして、キャリアアグリゲーション対応のスマートフォンは、2015年度の早い時期に投入する意向も囲み取材の席上、加藤社長とともに出席したドコモの担当者から明らかにされた。
下り最大225Mbpsというサービスは、1.7GHz帯(150Mbps)と800MHz帯(75Mbps)という組み合わせ、あるいは1.5GHz帯(112.5Mbps)と2GHz帯(112.5Mbps)という組み合わせのどちらかを利用する形。
これはLTEのカテゴリー6という規格だが、さらにドコモでは、そのカテゴリー6のサービスの拡充を今後検討していく。まずは東京・丸の内のドコモラウンジ店内で、下り最大262.5Mbpsを体験できるコーナーを設ける。このサービスは、1.7GHz帯/20MHz幅(150Mbps)と800MHz帯/15MHz幅(112.5Mbps)を組み合わせるもの。体験コーナーの設置時期は未定で、さらに商用化の目処も未定だが、一足早く、未来のサービスを体験できるスペースとして用意されるのだという。
【お詫びと訂正 2014/10/2 13:21】
記事初出時、225MbpsのサービスがLTEカテゴリー4としておりましたが、正しくはカテゴリー6です。お詫びして訂正いたします。
新機種群の価格帯は?
先に発売された、iPhone 6、iPhone 6 Plusでは、3キャリアが“下取りプログラム”を競いあう場面もあった。最新機種を値頃感のある価格帯で購入できるかどうか、気になるところだが、今回、Androidスマートフォンの発表にあたり、ドコモでは特にそうしたプログラムについて発表は行っていない。そうした点を問われた加藤氏は「iPhoneとは、お客さまの層や数が違う」とコメント。
端末価格については「条件によって違う」としつつも、キャンペーンの適用で、実質負担額が1万~4万円前後になるとの見通しを示す。機種によってはさらなるキャンペーンの適用で、「実質0円というものも実現できると思っている」と語った。
今回発表されたラインアップのうち、スマートフォンはほぼ年内に出揃う予定。これについては「今回はできるだけ前倒しして、ボーナス商戦に向けて提供することにした」と述べる。
なお、消費増税後の過去半年間の動向について質問された加藤氏は、「ある種、フィーチャーフォンからスマートフォンへの勢いはちょっとこう、ピタッというところに着ていますが、タブレットが順調に売れている」と回答していた。
通話可能な「Gear S」、特別プランを検討
サムスン製の腕時計型端末「Gear S」は、音声通話が可能なプラン。この機種向けの料金プランはどうなるのか。担当者は、「現時点ではFOMAの音声通話プランで利用する、という形」としつつ、時計型ということもあって、何らかの料金プランを検討していることを明らかにした。
ミラー型ナビ、販路はカー用品店
ユニークな商品として、発表会では、パイオニアからLTE通信モジュール搭載のミラー型カーナビが発売されることが紹介された。販路としては「今考えているところだが、どうしても電源がいる。既存のものとの関係があるので一定の考慮が必要。カー用品店での販売と思っていただいていい」と説明した。
光回線とのセット割、「何もわかっていない」
NTTの提供する光回線の卸サービスを利用することで、携帯電話と固定回線のセット割がいつ実現するのか。囲み取材の終わり際、その点を問う声が記者から挙がる。
しかし加藤氏は「いや、何も。条件も何もわかってませんから。(年末に間に合うのか? という問いに)どういうことになるのか」とだけ述べて、口をつぐむ。