ジャンボ機「747」の“鼻”を使ったNFCポスター、沖縄でO2O実験


 ヤフー、大日本印刷(DNP)、日本航空の(JAL)3社は、沖縄の観光情報や特典を提供するスマートフォンアプリ「JAL沖縄」の提供を開始した。あわせて3社では、那覇空港にNFCリーダーライターを備えたポスターを7月26日より設置、かざすとアプリをダウンロードできる環境も整えている。

ジャンボジェットのパーツを使ったNFCポスター

 那覇空港に設置されるポスターは、NFCおよびFeliCaに対応したリーダーライター(DNP製のプチポルタ2)が備わっている。かざすと、スマホアプリ「JAL沖縄」を紹介するページのURLが示され、ダウンロードできる。

 このポスターは、一見すると分かるとおり、丸みを帯びたお椀状のパーツが付いている。これは、昨年退役したボーイング747-400の先頭部分、いわば“鼻”の部分にあたるパーツだ。かつては、実際にジャンボジェットの一部として空を飛び、JALが開催した子供向け航空教室などでも用いられていた。通常は高さ10数m、空港の建物で言えば3階程度の高さにあり、一般ユーザーは触れられない部分だが、今回、那覇空港では、実際に触れられる状態で設置される。

 子供の好奇心をくすぐり、保護者がポスターにスマートフォンをかざしてみる、という流れを作るため、このパーツが選ばれた。企画を進める中では、タイヤやエンジン、窓といったパーツの利用も検討されたが、誰もが安全に触れられるパーツとして、先端部分が選ばれたのだという。

 設置は7月26日~9月30日まで。アプリはAndroid 2.2以降のスマートフォンやiOS 4.0以降のiPhone、iPod touchで利用できるがNFCポスターはNTTドコモのGALAXY NEXUS、GALAXY S II LTE、GALAXY Note、auのGALAXY SII WiMAX、AQUOS PHONE SERIE、ISW16SHのほか、おサイフケータイ対応機種で利用できる。

かざしたところDNPのプチポルタ2を備える
ボーイング747-400の先端部分カーボンファイバー製だ

クーポン冊子をアプリで提供

サイトへアクセスしたところ

 NFCポスター経由でダウンロードできるアプリ「JAL沖縄」は、JAL機内で配布されているクーポン冊子のアプリ版。店舗の情報、地図などは、ヤフーの「Yahoo!ロコ」が利用されている。

 昨年、JALを利用して沖縄を訪れた人は約17万組。今夏も同等の利用数になるとJALでは見ており、今回の実験をオンラインとオフラインを繋ぐ、いわゆる“O2O”の取り組みと位置付け、利用傾向を見ていく方針。ただ、送客効果の測定などは今後検討されるとのことで、まずは、NFCなど「かざしてスムーズに情報を得られる」という手順の認知度を高めることを目指す。QRコードのような仕組みと比べると、コストはかかるが、今回は「かざすだけ」という手順でスムーズに利用できることを目指して、NFCとFeliCaを利用することになった。

 JALのクーポン冊子は、いわゆる広告モデルで展開されており、今回もその延長線上にある。ただ、紙の冊子は、「春夏号」「秋冬号」と半年ごとの発行になっていた。雨の日でも営業していることをアピールしたり、積極的に店舗の取り組みをユーザーへ伝えたい店舗にとって、リアルタイムに情報を発信できる仕組みは、かねてよりJAL側に要望が寄せられていた。特典の数は、試験中の段階で数十件用意され、今後本格的な観光シーズンに向けて、さらに増える見込み。沖縄本島だけではなく、JALが就航する石垣島や宮古島などの店舗の特典も用意されている。

(関口 聖)

2012/7/24 18:09