iOS 5とiCloud、10月12日リリース


 米Appleは、日本時間10月5日早朝(現地時間10月4日)に北米で発表会を開催し、iPhoneシリーズの最新モデル「iPhone 4S」を発表するとともに、iOSの新バージョンiOS 5やクラウドサービス「iCloud」などの正式リリースについて発表した。iOS 5とiCloudはともに10月12日にリリースされる予定。

 iOS 5とiCloudは6月に開催された開発者向けイベント「WWDC」にて発表されたもので、開発者向けにベータ版が提供中だったが、今回、正式リリースが発表された。

 iOS 5はiOSの最新バージョンで、既存のiPhone/iPad/iPod touchユーザーに向けてパソコンのiTunes経由で配信される。なお、iOS 5の新機能として、OS自体をiPhone単体でWi-Fi経由アップデートさせるという機能があるため、以後のアップデートにはパソコンが不要になる可能性がある。

 iOS 5の新機能としては、新着情報の通知機能の強化・変更、SMS/MMSと統合されたメッセージングアプリ「iMessage」、定期購読型電子書籍用プラットフォーム「Newsstand」、位置情報ベースでの通知も可能なTodoリスト「リマインダー」、Twitter投稿への標準アプリによるサポート、カメラアプリのUI強化、写真管理アプリへのレタッチ機能追加、ブラウザへの新機能追加、パソコンなしでの利用のサポート、Wi-Fi経由でのパソコンとの同期などがある。

 iOS 5はiPhone 4Sおよび同時発表のiPod touchが標準で搭載しているほか、iPhoneは3GS以降、iPadは全モデル、iPod touchは第3世代および第4世代が無料でアップデートすることが可能となっている。

 

iCloud

 iCloudはiOS 5およびMac OS X(Lion)の利用者向けのクラウドサービス。従来提供されていたMobileMeの後継サービスとの位置づけになるが、基本サービスの利用は無料に変更された。

 iCloudではIMAP形式のメールサービスが提供されるほか、連絡先やカレンダー、ブックマーク、リマインダーといったPIMデータを、複数のiOS機器やMac OS Xの標準アプリのあいだでプッシュ同期させることができる。カレンダーと連絡先については、Windowsとも同期が可能で、対応推奨環境としてはWindows 7/Vista上のOutlook 2010/2007があげられている。また、各機能はパソコンのWebブラウザからも利用できる。

 PIMデータに加え、アプリや写真、各アプリ上のデータなどもプッシュ同期が可能となっている。ただし写真は「Wi-Fi経由で」とアナウンスされていることから、比較的容量の大きいデータについては、3G回線経由での同期はできない可能性が高い。

 このほかにも、従来はパソコンのiTunesが必要だったiOS端末データのバックアップが、パソコンなしでiCloud上に直接保存できるようになった。従来から提供されている紛失時向けのリモート探索・ロック・ワイプ機能はiCloudでも提供され、許可し合った人同士で位置情報を知らせ合う「友達を探す」機能も追加されている。

 iCloudは、無料サービスでは5GBのストレージが提供され、そのストレージにIMAP形式のメールデータや各種PIMデータ、バックアップデータなどを保存する。写真についてはストレージを消費せず、最新の1000枚のみが保存される。ストレージ容量は有料オプションで追加することが可能で、10GBが年間20ドル、20GBが年間40ドル、50GBが年間100ドルとアナウンスされている。

 iCloudの新機能「iTunes Match」については、米国で10月末より開始される旨も発表された。iTunes Matchは年額24.99ドルのオプションサービスで、パソコン上に保有している音楽と同じ曲をクラウドからダウンロードできるようになるというもの。日本におけるサービスについてはアナウンスされていない。

 発表会ではアップル自身が提供する新サービスとして、グリーティングカードをiOS端末から編集し、郵送するというサービス「Cards」も発表された。こちらは10月12日よりアプリが提供される予定。日本での展開についてはアナウンスされていないが、米国外へのカード送付も可能となっている。また、同じ発表会でiPod touchとiPod nanoの新製品も発表された。iPod touchはiOS 5を搭載して発売され、iCloudの各種機能にも対応する。

 




(白根 雅彦)

2011/10/5 07:08