富士通製「らくらくホン」が累計2000万台へ、記念キャンペーンも


大竹しのぶさん、辰巳琢郎さんを囲んでの記念撮影の模様

 富士通は15日、NTTドコモ向けに供給している携帯電話「らくらくホンシリーズ」の累計販売台数がまもなく2000万台に達することを記念し、キャンペーンを実施すると発表した。旅や家族のエピソードを写真付きメールないしデコメールで募集するという企画で、賞品総額は1000万円。同日の記者発表会では、「らくらくホン」のCMに出演中の大竹しのぶさんが出席。関連サイトでナビゲーターを務める辰巳琢郎さんとともにトークショーを行った。

 

らくらくホンで作成した写メール&デコメを募集、スマートフォンのモニターも

キャンペーン「らくらくホンメールコンテスト!」の概要

 キャンペーンの名称は「らくらくホンメールコンテスト!」。応募にあたっては、富士通製らくらくホンを使用していることが条件となる。また、作品の受付などを行う旅行・カルチャー情報サイト「らくらくニッポン探訪」への無料会員登録も必要。

 募集部門は、文章と写真のセットをメール形式で投稿する「写真付きメール部門」と、「デコメ部門」の2種類。写真付きメール部門への投稿作品は、原則すべて「らくらくニッポン探訪」に掲載される。

 入選した作品にはJCBギフトカードがプレゼントされる。特賞は10万円分で、写真付きメール部門では15名、デコメ部門では5名が選出される予定。なお、入選基準は合計5種類で、もっとも下位となる入選でも5000円分のギフトカードを写真付きメール部門で300名、デコメ部門で100名に送る。

 キャンペーンの実施期間は9月15日10時から11月30日17時まで。特別審査員として大竹しのぶさん、辰巳琢郎さんも選考にあたる。選考結果は2012年1月中旬に発表される予定。

 同時に、スマートフォンに興味があるらくらくホンユーザー向けにモニター募集を行う。貸与される機種はF-12Cで、約2カ月の期間終了後はそのまま進呈される。月々の通話料・通信料は参加者負担。募集人数は100名で、応募者多数の場合は抽選。手持ちのらくらくホンからの機種変更、12月に東京・大阪で行われる勉強会への参加、2回のレポート提出も条件となる。募集の締切は10月31日。


写真付きメール、デコメールをそれぞれ募集スマートフォンのモニターも別途募集する

 

大竹しのぶと辰巳琢郎がトークショー、旅の思い出語る

トークショーの模様

 キャンペーン概要を発表した15日の記者発表会では、大竹しのぶさんと辰巳琢郎さんによるトークショーが行われた。大竹さんはらくらくホンのテレビCMに8年連続で出演。キャンペーン告知用のCM撮影にも事前に臨んでおり、「いつもの(なじみの)スタッフと一緒に、和気あいあいと楽しく撮影できました」と感想を語った。2000万台という数字については「日本人の5人に1人は持ってる計算になるし、凄すぎて信じられなかったです」と、率直な心境を披露した。

 新作CMを見たばかりの辰巳さんは「大竹さんがだんだん若返っているというか…。以前のCMではわざと“老け作り”してたんじゃないですか?」とユーモア混じりに感想を語ると、大竹さんも「ありがとうございます」と返していた。

 大竹さん出演のCMは、この8年間で12作品20タイプ制作された。「大竹しのぶ=らくらくホン」のイメージが芸能界でも浸透したらしく、「和田アキ子さんから直接、どんな携帯電話を買えばいいか聞かれたりもしました」というエピソードも紹介。また「以前、防水機能が強化されたときに、水をかけても大丈夫っていうことをハワイのプールでやればいいじゃない、と言ったんですが、まだ実現してません」と、こちらもジョーク混じりに語っていた。

 辰巳さんは「本にしてもCDにしても2000万という数値はやはり凄い。大竹さんがらくらくホンのCMに初めて出演されたときの印象も鮮烈で『これはいくな』と思ったものだが、それでもまさか2000万台とは」と賞賛の言葉を寄せた。

 辰巳さんは現在、ニフティと富士通が共同運営している「らくらくニッポン探訪」のナビゲーターを務めており、月2回ほどのペースで写真付き紀行文も寄せている。この際にもらくらくホンを活用しており、特にカメラ画質の良さが気に入っているという。

 また、旅の思い出を問われた大竹さんは、昨年秋の家族旅行で松島に行った際、携帯電話を紛失してしまったと話す。「タクシーに置き忘れたことはほぼ間違いなかったんですが、運転手さんに(電話で)聞いてもないと言われてしまって…。でもGPS機能を使って探したら、やはりタクシーにあることが分かりました」と、携帯電話の機能をかなり使いこなしていることを伺わせた。


終始にこやかな大竹さん辰巳さんは「くいしん坊!万才」出演時の思い出も披露。当時の交流が、今も活きているという

 

らくらくホンの魅力とは? 開発者が説明

富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏

 大竹さんと辰巳さんのトークショーに先駆けて、富士通とNTTドコモの幹部による挨拶およびプレゼンテーションも行われた。

 主催者代表挨拶でまず壇上に上がった富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏は、富士通製らくらくホンシリーズの累計販売台数が2000万台突破目前であることを挙げ、関係者への謝意を示した。その上で「世の中には“らくらく”という言葉が溢れている。今日、新聞を読んだだけでもらくらくシューズ、らくらくタクシー、らくらく体操教室という言葉があった。(2001年誕生の初代モデル以来)らくらくホンは“らくらくの先駆け”であり、富士通の原点であるもの作りの技術がギッシリ詰まった自信作」と語った。

 佐相氏はさらに「らくらくホンはいまや国民的携帯電話へと成長させていただいた。今後もさらにご愛顧いただき、弊社で掲げている2011年度の携帯電話販売目標700万台超を達成すべく、総力をあげる」との決意も示している。

NTTドコモ プロダクト部 担当部長の山口文久氏

 NTTドコモからは、プロダクト部 担当部長の山口文久氏が来賓として登壇した。山口氏は、1999年7月リリースの松下通信工業製「P601es」からスタートした、らくらくホンの歴史を振り返りつつ、「当時、シニア層にとって携帯電話は難しい、使いにくいという指摘があったため、ここにユニバーサルデザインの考え方を持ち込んだ」と開発のきっかけを説明する。

 富士通にとってのらくらくホン初号機となるのが2001年9月発売の「らくらくホンII」。この発売開始から10年が経過、これまでに全16機種がリリースされた。メインターゲットであるシニア層の携帯電話普及率もこの10年で向上。山口氏は「2001年は50%ほどだったが、2011年現在は80%を超えている。これは富士通をはじめとした開発パートナーの力あってこそ」と具体的な数値を上げ、らくらくホンシリーズの寄与の大きさを指摘する。半期単位の人気機種ランキングを見ても、らくらくホンシリーズは常に上位に食い込んでいるという。

 ハードウェア面では富士通の協力を仰ぎつつ、ソフトウェアやサービスの面での強化もNTTドコモとして進めた。文字が大きくて見やすい「らくらくiメニュー」や、端末内の歩数計情報や端末の開閉状況を遠隔地のユーザーに自動通知する「つながりほっとサポート」、さらに電話サポート窓口も専用に設けた。

 山口氏は「端末やサービスそのものの強化だけでなく、その取り組みをお客様にお伝えしていくことも重要。両輪で進めていきたい」とし、今後も富士通と協力しながら、シニア層のコミュニケーションをより豊かなものにするというビジョンを示した。


この10年でシニア層の携帯電話普及率は大幅に向上。らくらくホンの寄与は大きいと考えられる販売ランキングでも常に上位に入っている
富士通 執行役員常務の大谷信雄氏

 続いて、富士通の執行役員常務である大谷信雄氏から、らくらくホン開発の内側、2000万台キャンペーンの狙いが説明された。NTTドコモとして、これまでのらくらくホン全18機種は、7月の時点ですでに累計販売台数2000万台を達成している。これに対し、富士通では18機種中、16機種を開発しており、その累計が9月末にも2000万台達成する見込みであることから、今回のキャンペーンを実施したという。

 大谷氏はらくらくホン独自の開発プロセスとして、徹底したユーザー志向を挙げる。「2700名の一般ユーザーパネル、視覚障害者グループなどから頂戴した声を単に製品に反映させるだけでなく、その声を元に作成したプロトタイプを必ずお見せしている」と大谷氏は明かす。

 また、老眼の人でも見やすい文字フォント、周囲の騒音を関知して受話音声を調整する「はっきりボイス」機能などを積極的に搭載。一方で、新機種にモデルチェンジしても、キーのレイアウトはほとんど変えていない。これは機種変更しても操作方法を覚えなおす必要がないというだけでなく、周りでらくらくホンを買った友人・知人に操作を説明しやすくする狙いもあるのだという。

 らくらくホンが進化する中で、もっとも大きな技術的チャレンジは、大谷氏によると防水・防塵仕様。「らくらくホンをお買いになる方のうち、農業や漁業に携わっている方が実は多い。畑や漁に携帯電話を持っていく人にとって、泥や海水の付着は一番の悩みだった」(大谷氏) その後、ドコモとの協力の下、防水・防塵を実現。「らくらくホン6」のテレビCMでは、水田の中に落としても洗えるというメッセージを直接表現しており、その注力ぶりを伺わせた。

 今回スタートした写真・デコメール募集キャンペーンは、やはりユーザーリサーチの結果を元に、実施が計画された。らくらくホンユーザーが使ってみたい機能を聞いたところ、通話、メール送信、カメラ撮影に続き、デコメールや写真付きメールの送信を上げる声が多かったからだ。

 あわせて、シニア層がスマートフォンへ興味を持ち始める傾向も浮かび上がっているとし、F-12Cのモニター募集を実施。利用者の声をここでも集め、次の施策に繋げていきたいという。


モデルチェンジを経てもキーレイアウトはほとんど変更していない初号機開発当初に掲げられた「しんせつ・かんたん・見やすい・あんしん」の開発コンセプトは現在も継承されている

発表会の会場では、らくらくホン歴代モデルを振り返る展示も行われた懐かしの富士通製らくらくホン初号機「F671i」の見本も



(森田 秀一)

2011/9/15 18:52