ドコモと東京海上、「医療保険」と「1日自動車保険」を提供


 NTTドコモは、東京海上日動火災保険と協力し、ドコモプレミアクラブ会員向けに7月21日より「ドコモ 医療保険」を提供する。また、「ドコモ ワンタイム保険」では1日単位で契約できる「一日自動車保険」を10月より提供する。

 両社は15日、都内で会見を開催し、NTTドコモ代表取締役副社長の辻村 清行氏、東京海上日動火災保険 専務取締役の上月 和夫氏から説明が行われた。

医療保険

サービス概要

 「ドコモ 医療保険」は、5200万人が加入するドコモの会員組織「ドコモプレミアクラブ」会員が利用できる医療保険。いわゆる団体保険で、「ドコモプレミアクラブ」を1つの団体として、そこに所属するユーザーに対して、値頃感のある価格設定で提供される。

 入院保険金と手術保険金が支払われる「ベーシックプラン」、ガン・脳卒中・急性心筋梗塞への補償を厚くした「三大疾病重視プラン」、女性特有の病気への補償を手厚くした「女性疾病重視プラン」の3種類のプランが用意される。いずれも入院保険金、、入院手術金が用意されるほか、「三大疾病重視プラン」では重度入院一時金と先進医療保険金が、「女性疾病重視プラン」では女性形成治療保険金と先進医療保険金が用意される。

 料金は年齢層によって異なり、20歳~24歳であれば、ベーシックプランは月額820円、三大疾病重視プランは月額1120円、女性疾病重視プランは月額1170円となる。また45歳~49歳であれば、ベーシックプランは月額1090円、三大疾病重視プランは月額2270円、女性疾病重視プランは月額1710円となる。

 ドコモの健康支援サービス「i Bodymo」も契約していると、歩数やジョギングなどにあわせて、別途ドコモポイントが付与され、月間最大150ポイントを得られるようになっている。また24時間365日、無料で緊急の医療相談などに応じる窓口「メディカルアシスト」が用意される。

 契約はiモード向けの専用サイトから行え、医師の診断所や書類の郵送は必要ない。月々の掛け金は携帯電話利用料と合算して支払える。契約期間は1年間で、その後は1年ごとの自動更新となる。

 両社では、医療保険への加入の意志があるものの、加入のきっかけがない人にとっては、いつでもどこでも携帯電話から契約できることがメリットになるとする。また、「i Bodymo」との連携により、健康を維持することが目的の1つになるとして、社会問題となっている医療費高騰の抑制にも繋がるとの期待もあるという。

3つのラインナップi Bodymoとの連携、メディカルアシストの提供

 

1日自動車保険

 10月から提供される「ドコモ ワンタイム保険(1日自動車保険)」は、友人や親族の自動車を借りるユーザーに向けた、1日単位の自動車保険。東京海上日動火災保険では、年間契約のペーパードライバー向け保険を提供しているものの、1日単位の自動車保険は業界初としている。

 対人・対物補償と運転者や同乗者に対する補償を行う「車両補償なしプラン」が1日500円、さらに借りた車両への補償も加わった「車両補償ありプラン」が1日1000円となる。レッカー搬送が利用できる「ロードアシスト」、事故発生から24時間サポートする「事故現場アシスト」が利用できる。対象車両は主な自家用車だが、契約者本人や配偶者が所有する自動車は対象外で、友人・家族から借りた場合の補償という位置付けになる。

 東京海上日動火災保険の上月氏は、若年層の車離れが話題になる一方で「若年層の免許の取得率は、85%でほぼ横ばい」と指摘。またドコモの辻村氏も「免許を取得しながら自動車を保有していない人は1000万人いる」とする。自動車を保有していなければ保険にも加入しないことが多く、保険に入っていない状態での自動車事故は年間10万件以上、発生しているとのことで、「1日自動車保険」はこうした状況への解決策としても期待されている。

 また、自家用車向け保険の97%に年齢条件が設定され、30歳以上限定の契約が8割存在し、若年層が手軽に利用できる保険がないことも大きい。身近な人との自動車の貸し借りで、万が一、事故が発生すると、運転者ではなく車の保険を適用すると等級が下がってその後の保険料上昇に繋がったり、運転年齢条件に合わず保険適用外になったりする。一方、「1日自動車保険」は運転者が契約するため、自動車の保有者への影響を抑えられる。

 なお、東京海上日動火災保険では、12月より、同じ内容の保険を別ブランドで発売する方針。

1日自動車保険の概要開発の背景
想定される利用シーン商品詳細

 

ケータイの付加価値に

ドコモの辻村氏

 ドコモと東京海上日動火災保険では、昨年3月に包括的業務提携を行うと発表し、「ドコモ ワンタイム保険」を提供してきた。これまでに5万件の契約があり、若年層もさることながら、30代~40代の利用が想定以上にあり、今回は医療保険も提供されることになったという。またドコモの辻村氏は「ゴルファー人口が1000万人とのことで、そのうち1~2割が年単位の通常のゴルフ保険に入っている」と分析し、「ドコモ ワンタイム保険」で提供するゴルファー保険などでは、まだ市場開拓の余地があるとする。

 こうした保険サービスをドコモが手がける背景について、辻村氏は「携帯電話から利用できる保険サービスは、従来の保険との競合関係にあるのではない」と述べ、生活の場面や個人のライフスタイルにあわせて提供する新たな性質を持つものとして、携帯電話をコミュニケーションツールとして提供するだけではなく、さまざまな場面で活躍する、生活に欠かせないツールに拡大することを狙うと説明した。

東京海上日動火災保険の上月氏

 なお、「ドコモ 医療保険」「ドコモ ワンタイム保険」のどちらもiモード向けサービスで、スマートフォンには非対応だが、今年度中にもスマートフォンに対応すべく、検討が進められるとのこと。iモード端末からスマートフォンへ機種変更しても医療保険の契約は継続されるが、iモードの解約、電話回線自体の解約が行われると、医療保険も解約となる。

 これまで提供されてきた「ドコモ ワンタイム保険」は、旅行やスポーツ、レジャーを行う際に契約するよう、オートGPSでユーザーの現在地にあわせて保険契約を案内するなど、携帯電話ならではの機能が用意されていた。一方、「医療保険」「1日自動車保険」は、いつでもどこでも契約の手続きは行えるものの、位置情報とは縁が薄く、携帯電話そのものが保険契約を促進するような役割を担うのが難しい。そこでドコモでは、「医療保険」についてはプレミアクラブ会報誌、「1日自動車保険」はドコモからの請求書などで、ユーザーへの認知を高める。特に「医療保険」については、意識しつつも加入の機会がないユーザーが少なくないとのことで、携帯電話の通信機能を活かし、スピーディかつ簡素な手続きがメリットになると言える。

 両社では今後も、従来の保険サービスでは提供されていない、新たな保険の開発を目指す。たとえば自転車保険についても、ニーズが高まっていることは認識しており、検討を進めているという。ただし、近日リリースするような状況ではないのこと。

これまでの両社の取り組み新たな商品の開発も

 




(関口 聖)

2011/7/15 17:36