アップル、iPhoneの位置情報収集にコメント


 アップルは、「ここ最近に寄せられた疑問に対する回答」として、iPhoneの位置情報に関するコメントを発表した。

 アップルの発表は、10の疑問に答える形となっている。それによれば、アップルはiPhoneを使って、ユーザーの位置情報を収集したこと、あるいは今後収集する計画はないと断言している。また、技術的かつ複雑でユーザーに説明しづらく、混乱を招いたともしている。

 ただし、iPhoneから、ユーザーの周辺にある無線LANスポットと基地局鉄塔(Cell tower)の情報は収集していた。これは、iPhoneがスピーディかつ正確に現在地を計測できるよう、活用されている。GPS衛星だけでは数分かかる位置情報の取得だが、こうした仕組みによって数秒以内に現在地を把握できる。無線LANスポットや基地局のデータベースは、位置情報を付け、匿名かつ暗号化された形で何千万台ものiPhoneからアップルへ送信することで生成されている。

 アップルでは、こうしたデータベースを“クラウドソースデータベース”(crowd-sourced database)と呼んでいる。この“クラウドソース”のデータは、そのままでは巨大すぎるとして、最適化した形でiPhone上で利用される。一時的に利用されるキャッシュデータは、保護されてはいるものの、暗号化は施されていない。パソコンにiPhoneを繋ぐと、iTunesにバックアップされる。iTunesで暗号化されるかどうかは、ユーザーの設定次第だという。アップルでは、キャッシュデータのバックアップについては、中止する方向でソフト更新を今後提供する方針とのこと。収集されたデータから、ユーザーを特定することはできないとしている。

 アップルは、重ねてこれはiPhoneの位置情報ではなく、あくまで無線LANスポットと基地局の情報だと説明。iPhone上で1年分のキャッシュデータを蓄積していたのは不具合であり、7日分以上のデータの蓄積は不要としている。またiPhoneの位置情報機能をオフにしても無線LANスポットと基地局の情報を送信しようとする動作も不具合とのこと。

 アップルでは、今後の目標として、iPhone向けの交通関連機能の改善が計画されており、匿名化した道路情報の収集も行っていることを明らかにした。

 収集した情報については、アプリ開発者に対して、デバッグ用に匿名化したものが提供されている。アップルの広告ネットワークシステム「iAd」は、ユーザーに適した広告配信のため位置情報を利用できる。

 アップルは、「個人情報の保護は重要と考えている」としており、iPhoneでは、位置情報利用時にまずユーザーに対して許諾を求める、と説明している。今後数週間以内に提供予定というソフトウェア更新では、iPhone上の無線LANスポットと基地局のデータを削減し、バックアップを行わないようにする。また、位置情報機能をオフにしたおきにはキャッシュを全て削除するようにする。

 

(関口 聖)

2011/4/28 13:08