ソフトバンクモバイルが2010年度の接続料を開示、約25%値下げ
ソフトバンクモバイルは、2010年度に適用する接続料を改定し、前年度より約25%値下げすると発表した。
接続料(アクセスチャージ)とは、携帯電話事業者間でやり取りされる費用で、A社のユーザーがB社ユーザーの携帯電話へ電話をかけると、A社は、B社が設定した価格で接続料を支払う。エンドユーザーには直接関わりがなく、料金を設定する際の要因の1つに過ぎないが、ここ数年は、適正な利潤とコストを反映した価格設定になるよう議論が進められ、総務省によるガイドラインも制定されたが、ガイドラインの適用対象および公表する義務はNTTドコモとKDDIのみに科されている。
今回、ソフトバンクモバイルでは、公表義務がないものの、議論が盛んだった2009年(2008年度適用分)に続き、2年ぶりに接続料の改定を公表。昨年4月1日まで遡って適用される料金は、区域内(同社指定の同一区域内)が前年度より25.3%値下げとなる1秒0.127円、区域外が25.4%の値下げとなる1秒0.147円となった。
同社では、この接続料は今年度より適用となるガイドラインの考え方にのっとって算出したとしている。ソフトバンクモバイルの渉外担当者によれば、総務省で接続料関連の議論が行われた2008年度は開示したものの、2009年度分は公表義務がないこともあり開示していなかったところ、昨今、接続料に関して注目度が高まったとして、公表することにしたという。もともとガイドラインに近いモデルで算定していたため、今回ガイドラインに従ったとはいえ、大きく計算モデルを変更してはいないが、同社が「ネットワーク外部性追加料金」と呼ぶ費用は今回から接続料の対象外となった。
「ネットワーク外部性追加料金」は、同社が新規ユーザーを獲得する際、キャンペーンや割り引きなどで費やされるコストを反映したもの。同社ユーザーが増えることで同社のみならず、他社も通話の機会が増え、収益増に繋がることから、接続料に含まれていた。もともと英国で示された考え方とのことで、J-フォンがボーダフォンに買収されたときから導入されていたが、発祥の地である英国でも対象外となりつつあることから、接続料の対象外にした。今回の下げ幅約25%のうち、約7%分がネットワーク外部性追加料金で、残り18%分はiPhoneなどでデータトラフィックが増加し、音声データのトラフィックの割合が減ったことが要因。なお、ソフトバンクモバイルではデータ通信分の接続料は開示していない。また他社とやり取りした後の接続料は、収入のほうが多いことは事実としているが、その金額は明らかにしていない。
携帯電話の接続料は、NTTドコモが例年より1カ月早く、今年1月に最大35.6%の値下げを発表した。またKDDIも2月に接続料の値下げを発表している。
2011/3/4 13:09