「SH」の携帯事業をけん引、シャープの松本氏逝く


松本雅史氏。写真は2009年8月の発表会のもの

 シャープは、同社の元代表取締役副社長である松本雅史氏が10月23日、胆嚢癌のため逝去したことを発表した。同氏は、携帯電話の「SH」の生みの親とも言える人物。

 松本氏は、1971年にシャープに入社し、1991年にはFAX部門の技術責任者として活躍した。1998年からは、現在も同社の携帯電話部門が拠点を構えている東広島に移り、通信事業本部 パーソナル通信事業部長として、PHSから携帯電話に事業をシフトさせ、同社の掲げる「オンリーワン商品」の創出に努めた。

 2003年に取締役、2004年に常務取締役の通信システム事業本部長として活躍し、2005年には代表取締役 専務取締役 情報通信事業統轄に就いた。この年、シャープの携帯電話「SH」は、国内トップシェアを初めて獲得した。

 2006年には、代表取締役副社長 商品事業担当 兼 情報通信事業統轄に就任。2009年には携帯電話部門を離れ、代表取締役副社長執行役員 AVシステム事業統轄として、AQUOSなどのAV事業を担当していたが、2010年8月末に健康上の理由でシャープを退いていた。

 松本氏は、「SH」の携帯電話において、現在では当たり前の機能になっている「カラー液晶モデル」や「カメラ付きモデル」を生み出してきた。携帯電話メーカーとしては後発ながら、シャープを国内トップメーカーまで成長させた。現在同社は、NTTドコモやau、ソフトバンクとマルチキャリアに端末を投入しており、国内シェアの首位を維持している。また、中国などへの海外進出も果たしている。

 



(津田 啓夢)

2010/10/27 17:31