地図をなぞって検索、ヤフーのグルメアプリ「Sketch-a-Search」
ヤフーは、地図をなぞって検索したい場所を指定し、飲食店を探せるiPhoneアプリ「Sketch-a-Search(スケッチ ア サーチ)」を公開した。App Storeでダウンロードできる。iOS3/4対応で、利用料は無料。
「Sketch-a-Search」は、アプリ上の地図をなぞって探したいエリアをぐるりと囲むと、その中の飲食店を探し出せるアプリ。現在地周辺の飲食店を検索できるサービスは数多く存在するが、その多くは、半径○m以内といった条件で導き出され、場合によっては線路をまたいで遠いスポットが案内されたりすることもある。「Sketch-a-Search」では地図をなぞって探したいエリアを指定することで、ユーザーが求める検索結果を導きやすくしている。
利用時には、アプリを起動し、探したいエリアに地図を移動させてから、中央にある緑のボタンをタップすると、なぞって範囲指定できる。なぞり終わると、すぐ検索が開始され、飲食店一覧がアプリ下部に表示される。「検索条件」から和食や洋食など飲食店の「ジャンル」、あるいは個室の有無などの「特徴」、そして「予算」と3つの条件で絞り込むがことができる。飲食店情報は、ヤフーが保持するデータになるという。検索結果をタップすると、店舗の詳細情報が参照でき、電話をかけることもできる。iPhone版に続き、今後はAndroid版などの提供も検討されているとのこと。
今回の「Sketch-a-Search」は、ヤフーの実験的なコンテンツの1つと位置付けられている。もともと「Sketch-a-Search」は米Yahooが開発したアプリで、今春から提供されていた。一方、日本のヤフーではWebサービスとして「yubichiz(ゆびちず)」を提供。当初はiPad版、8月にiPhone版を提供してみると「地図を触って操作する」ということがユーザーから評価され、新たなアプリを模索。近いタイミングで公開された米国発の「Sketch-a-Search」を提供することにした。
「地図に触れて操作する」というスタイルは、これまで拡大縮小やスクロールが主だった。その他の使い方を提案するアプリとなる「Sketch-a-Search」だが、米国版は地図データにGoogle Mapsを利用していたため、ローカライズの過程でヤフーの地図サービスで用いているデータを採用し、パフォーマンス向上も図られた。さらに検索条件についても、日本ならではの要素を反映させた。また、3種類の検索条件指定を、5つ、6つと条件を増やすことも技術的には可能だが、数あるグルメアプリの中でも“すぐに店を見つけたい”というニーズに応えるアプリとして開発されたことから、条件指定は3種類になったという。
また「Sketch-a-Search」は、ヤフーが開発を進める「Yahoo!地図SDK2.0」と、グルメAPIを組み合わせて開発された。「Yahoo!地図SDK2.0」は、近い将来、一般公開を目指している開発ツールとのことで、一般の開発者がヤフーの地図情報をベースにしたアプリケーションを開発できるようになると見られる。
今回の「Sketch-a-Search」は、「地図に触れて操作」することで実現する新たな体験を提案するアプリとなるが、実際に利用してみると、身近な場所でこれまで接点がなかったスポットを発見した気分になるなど、アプリがある種のエージェント(仲介人、代理人)のような役割を果たしてユーザーの行動を促進したり、導いたりする場面もある。SDKの一般公開により、地図情報の“単なる表示”だけに留まらない、新たなユーザー体験をもたらすアプリの登場も期待できそうだ。
2010/10/25 18:50