らくらくホン7向け専用スタンド同梱の「FMVらくらくパソコン3」


「FMVらくらくパソコン3」のCMに出演する大竹しのぶ

 富士通は、シニア・初心者向けPC「FMVらくらくパソコン3」2モデルを発表した。らくらくホン7で撮影した写真を手軽にPCへ転送するための専用スタンドが標準同梱される。7月29日からPC取扱店および直販サイト「WEB MART」で販売する。27日開催の報道関係者向け発表会には、女優の大竹しのぶが登場。製品のデモンストレーションを行ったほか、CM撮影時の様子などを語った。

ワンタッチで写真転送できる「らくらくホン7専用スタンド」を同梱

 FMVらくらくパソコン初代モデルは2008年に登場。今回発表の機種は3世代目で、デスクトップ型の「ESPRIMO FH/R3」(直販サイト価格16万円前後)、ノートPC型の「LIFEBOOK AH/R3」(同14万円前後)の2機種がラインアップされている。

 両機種共通の強化点として、「らくらくホン7専用スタンド」を標準で同梱した。らくらくホン7(別売)で撮影した画像を赤外線通信でらくらくパソコンへ簡単に転送するための周辺機器で、PCとの接続にはUSBケーブルを利用する。らくらくホン7以外の従来モデルとの接続には対応していない。

 らくらくホン7をスタンドにセットすると、転送を確認するメッセージがPC側に表示されるので、あとは画面上でワンタッチすれば自動的にコピーが開始される。PC側にコピーした画像は、カレンダー上に表示されほか、初歩的な編集作業も行える。なお、初回設定時のみ、らくらくホン7の暗証番号設定が必要となる。

 このほか、タッチパネル液晶、ボタン色分けや大きな文字表記で使いやすさに配慮した「らくらくキーボード」、左右ボタンの違いをエンボス加工で強調した「はじめてマウス」などの機能は前モデルから引き続き採用した。

 一方、サポート体制も充実させており、製品購入から1年間はらくらくパソコン専用電話窓口を無料で利用可能。付属説明書などのの文字表記なども大きくしている。


デスクトップ型「ESPRIMO FH/R3」。光学センサー方式によるタッチパネル操作が可能。20インチワイド液晶、Celeron T3300採用ノートPC型「LIFEBOOK AH/R3」のタッチパネルは感圧式。15.6インチ液晶、Celeron 900採用

らくらくホン7専用スタンド(USB接続)を標準同梱。黒い部分は赤外線の送受光部スタンドにらくらくホン7を設置した状態。USB経由での充電も可能だが、カタログなどでは特にアピールしない計画という

キーボードの表記は、文字サイズを大きくするなど工夫されている「メニュー」ボタンを押すとこの画面に必ず復帰するため、操作がわからなくなった場合などに便利

大竹しのぶが登場、らくらくパソコン3の魅力アピール

トークショーの模様

 CMキャラクターの大竹しのぶは、製品発表会後半のトークショーに登場した。CM撮影時の様子について「非常にスムーズに撮影できたのですが、(共演する)ワンちゃんが、画面中ではいい子に見えるけど、実際には大変でした。ヤンチャで可愛いけど、撮影スタッフ全員とも私よりワンちゃんを見てました」と苦笑い。また、撮影当日は誕生日で、スタッフは歌で祝ってくれたという。CM放送は8月1日からスタートする。

 大竹は、メールや音楽の取り込みなどでPCを普段から利用しているという。今後は、映画のチケット予約やレストラン検索などにも挑戦したいと話している。壇上では、らくらくパソコン3に実際に触れ、検索に挑戦。タッチ操作をミスして、発表会会場となったホテルとは別系列のホテルチェーンを検索画面に表示してしまって照れ笑いするシーンもあったが、「タッチ操作は(直感的で)絶対に便利」と評価していた。

トークショー中にもらくらくパソコン3を体験らくらくホン7で撮影した画像を、その場でPC転送するシーンも

 また、らくらくホン7専用スタンドでの写真取込機能も試した大竹しのぶは、「娘は暑中見舞いも年賀状もパパパッと作ってしまうけど、私はまだそこまでできていないので頑張りたい」とコメント。「できあがったら、らくらくホン7の発表会で知り合いになった高橋尚子さんにも送りたい」と笑顔で語った。

 最後に「知り合いのお寿司屋さんがらくらくパソコンを使いはじめたんですが、最初は『できない』と言っていたメールの送り方などを徐々に学んで、少しずつ世界が広がっていく様子をみて非常に素敵だなと思いました。人生を楽しむことに役立ててもらえれば」と語り、PCに苦手意識がある人にこそ触れてほしいとアピールした。

らくらくホンの成功事例をPCにも応用

(左より)富士通の齋藤氏、佐相氏、大竹しのぶ、大谷氏

 発表会冒頭、富士通 執行役員副社長の佐相秀幸氏が挨拶した。60歳以上の約75%が携帯電話を利用しているにも関わらず、PC利用者は50%前後にとどまるという統計値を例示した佐相氏は「デジタルデバイド層への答えが、らくらくパソコンだ」と説明。中でも、各種調査で明らかになっている、インターネット接続および文字入力の難しさを解消すべく、さまざまな配慮を行ったという。

 また、佐相氏は「累計販売台数1800万の実績を誇るらくらくホンと、PCを連携させることで、より多くのお客様にアピールできるのではないか」という商品戦略上のメリットにも言及。さらに「富士通が標榜する『ヒューマン・セントリックなインテリジェント・ソサエティ』を担うフロントとなるのがPC」と、その重要性を強調。継続的な商品強化方針を示唆している。

 続いて登壇した執行役員常務の大谷信雄氏からは、らくらくホン成功の要因を分析し、それをPCに応用したのがらくらくパソコンだという解説がなされた。らくらくホンのビジネスに約10年間携わっている大谷氏は「販売ターゲットを絞り込み、シニア層のニーズを解決するための技術開発、一貫した広告展開を積み上げた結果がらくらくホンの認知につながった」と説明する。

 らくらくホンではこれまで、一般的な端末と比較して文字サイズを大きくしたり、フォントデザインの調整による識字性向上、簡易版説明書の追加添付などを行ってきた。らくらくパソコンにもこれらのノウハウが活かされているが、大谷氏は「しかし、らくらくパソコンの認知率はらくらくホンのレベルには達していない。これをいかに解消するかが現在の課題でもある」と話す。

 これに対し、「らくらくホンとらくらくパソコンの連携性を強め、両方をより快適に使っていただくための環境整備にチャレンジした」と、らくらくパソコン3登場の背景を解説。大竹しのぶさんをらくらくホン、らくらくパソコン双方のCMに起用したこともその一環だと明かしている。

 一方、執行役員の齋藤邦彰氏は製品デモンストレーションを行うとともに、らくらくホンとらくらくパソコンの連携機能として、なぜ写真転送機能を選んだかが説明された。富士通の自社調査によれば、らくらくホン所有者が実際に利用していると答えた機能の第2位がカメラ(写真)で、その利用率は約90%と、非常に高い前提がある。

 対して、撮影した写真を「アルバムで整理」「印刷」「パソコンに移して活用」などの方法で活用しているか聞いたところ、「実際に利用している」よりも「やってみたい(活用できていない)」と回答したユーザーが2~3倍近い比率となっていた。この状況を踏まえ、「らくらくホン利用者の潜在的なニーズを、実際に解決しようというのがらくらくパソコン3のコンセプトになっている」と齋藤氏は解説する。

 齋藤氏は「らくらくパソコン用キーボードのキー配置は、基本的に富士通の他のモデルと共通。これまでは操作を教えられる立場だったシニアが、お孫さんに対して逆に教えてあげる可能性も期待できる」とコメント。今後も富士通全体として、“らくらく”を追求した製品作りを目指すという方針が示された。


らくらくホン成功の要因分析ケータイで撮影した画像をPCに取り込みたいというニーズは潜在的に高いものの、実際にはできていないのが実情。それを解消するのがらくらくホン7専用スタンドの狙いだ


(森田 秀一)

2010/7/27 18:32