NICT、iPhone/iPod touch対応の「超」多言語翻訳システム開発


 情報通信研究機構(NICT)は、音声・言語処理の研究開発を推進するMASTARプロジェクトにおいて、iPhone/iPod touchで動作する旅行用テキスト翻訳システムを開発した。

 NICTでは、内閣府社会還元加速プロジェクトとして、音声翻訳技術の研究開発に取り組んでいる。その一環として、多言語テキスト翻訳の研究も進めており、既存の多言語システムよりも高品質であるという旅行用テキスト翻訳システムが開発された。iPhone/iPod touchでの動作が確認されている。

 実験では、テスト用の旅行会話文500文が用意され、日本語から英語への翻訳を実施。既存の翻訳システムと新開発のシステムで翻訳したところ、翻訳率は約8割と高い品質になったという。

 対応言語は、英語・ドイツ語・フランス語・デンマーク語・オランダ語・イタリア語・スペイン語・ブラジル・ポルトガル語、ポルトガル語、ロシア語・アラビア語・ヒンディ語、インドネシア語・マレー語・タイ語・タガログ語・ベトナム語・北京語・台湾語・韓国語・日本語の21言語。21言語×20翻訳パターンにより、合計420通りのテキスト翻訳が可能となっている。

 NICTでは、今回開発されたテキスト翻訳システムをアップルに申請し、App Storeでの配信を予定している。これは、大規模な実証実験となり、実験終了後は、NICTが事業会社にデータベースやソフトウェアの特許をライセンス提供し、商用化が進められる見込み。また、現在21言語に対応しているが、担当者は北欧系の言語とモンゴル語への対応拡大にも意欲を示している。対応が完了すると、世界中で使える翻訳システムになるという。

 NICTでは、こうしたテキスト翻訳システムの展開と並行し、音声翻訳の多言語化システムの開発も進めていく。

 

(津田 啓夢)

2010/4/14 18:18