サイボウズ、スマートフォン向け同期アプリ「KUNAI」を発表


 サイボウズは、大規模グループウェアの「サイボウズ ガルーン 2」と連携できるスマートフォン向けの同期アプリケーション「サイボウズモバイル KUNAI for Windows phone」を発表した。3月末までに発売される見込みで、価格は1ユーザーあたり月額1500円。また、「KUNAI」とは別にBlackBerryで同期アプリを利用できる「サイボウズモバイル Sync for BlackBerry」も発表された。

 今回発表された「サイボウズモバイル KUNAI(くない)」は、社内のグループウェアと連携できるスマートフォン向けのアプリケーション。対応するOSはWindows Mobile 6.1 Professional以降で、社内のグループウェアはサイボウズ ガルーン 2.5.4以降と連携できる。社内のLANにはサイボウズのサーバーに加えてリモートサービス マネージャーを用意する。

 スケジュール、決裁などのワークフロー、社内メール、Eメールの確認、海外用のプリフィックスを付加できるアドレス帳などがスマートフォン上で利用でき、ほかのメンバーを含むスケジュールの空き時間を検索したり、メールに添付されたオフィス文書を確認するといった機能を搭載。セキュリティポリシーの設定では、遠隔データ消去や利用できるハードウェア・ソフトウェアの制御も行える。

 「KUNAI」を試用できる「試(ためす)KUNAIキャンペーン」では、抽選で100社にソフトバンクモバイルのX02Tを60日間、NTTドコモのT-01A、BlackBerry Boldが30日間無償で貸与される。申し込み期間は2月8日~6月30日で、「KUNAI」発売後に端末の貸与が開始される。

 「サイボウズモバイル Sync for BlackBerry」はBlackBerry向けに提供される同期アプリケーションで、スケジュール、アドレス帳、Eメールの同期が可能。サイボウズ関連のデータを削除できる遠隔削除機能が用意されている。利用料は「サイボウズ リモートサービス」に含まれる形。

「サイボウズモバイル KUNAI」のToday画面スケジュールは空き時間の把握が容易になるよう設計されている
社内メールはスレッド形式でパソコンと同様に利用できるワークフロー機能で決裁業務が可能
アドレス帳は海外向けの番号付加に対応セキュリティポリシーはさまざまな設定のほか、海外出張用などの推奨設定も用意される
「サイボウズモバイル KUNAI」の接続の仕組みKUNAIとは別にBlackBerry用同期アプリも用意する
サイボウズモバイルシリーズと今後の予定

 

KUNAIで「スピード経営が実現できる」

 8日には都内で記者向けに発表会が開催された。サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏は、iPhoneの登場でスマートフォン市場が拡大しているとした上で、「サイボウズモバイル KUNAI」の名称を発表。「くないという道具は、あるときは武器として、あるときは工具のように便利に使われていた。ビジネスパーソンにおけるくないのように使ってもらいたい」と挨拶した。

サイボウズ 代表取締役社長の青野慶久氏サイボウズ モバイル戦略部 部長代理の中光章氏

 サイボウズ モバイル戦略部 部長代理の中光章氏は、MVNOとしてモバイルサービスに参入を表明しながらも、サイボウズのユーザー企業を満足させるには至らないと判断するなど、手薄になっていたモバイル戦略を振り返り、「W-ZERO3がスマッシュヒットとなり、iPhoneでキャズムを超え、Androidで普及期に入ろうとしている」とスマートフォン市場の変遷を指摘。「企業ではWindows CEベースの端末が買い換えの時期に入っており、Windows Mobile端末は全キャリアから発売されている」とWindows Mobileにおいても重要なタイミングに差し掛かっている点を挙げた。

 中光氏はKUNAIのコンセプトとして「三決」(解決、決断、決裁)、「情報武装」、「ビジネスフィールドを手の中に」の3点を示し、「サイボウズモバイル KUNAI for Windows phone」の各機能をデモを交えながら紹介した。同氏はKUNAIの目玉機能を決裁機能として、決裁申請を次々に処理できるデモや、決裁に代理人の承認が可能というデモを行いながら「スピード経営が実現できる」と語り、決裁権限を持つ管理職においても有用である点をアピールした。

 再び登壇した社長の青野氏は、スマートフォンを使うことで、ノートパソコンとデータ通信カードを持ち歩くよりも通信コストが抑えられるとしたほか、スマートフォンではちょっとした待ち時間ですぐに使えることから「信号待ちなどのすきま時間がとても有意義なものに変わる」と携帯端末ならではの機動力を訴え、「くないは漢字で“苦無”と書く。ビジネスマンを、重いノートパソコンなどの苦しさから開放する」とまとめ、モバイルサービスへの注力をアピールした。

実機でのデモ。タッチ操作対応のUIを採用し、キビキビと動作していた決裁業務にも対応

 



(太田 亮三)

2010/2/8 17:16