「DELL Streak 001DL」開発者インタビュー

持ち歩きやすさと大きな画面を両立させたAndroid端末


DELL Streak 001DL

 今冬、DELLがソフトバンク向けにAndroid端末「DELL Streak 001DL」を投入する。DELLというと、第3位の世界シェアを持つ米国のパソコンメーカーだ。そのDELLがAndroid端末を投入するのも注目だが、その投入されるStreakも、5インチディスプレイを搭載し、スマートフォンとタブレットデバイスの中間のような、これまでにないサイズ感が面白い。

 今回はStreakについて、DELL日本法人の日本/アジア太平洋地域コンシューマー事業本部 マーケティングオペレーションズ プロダクトマーケティングマネージャの佐々木隆氏に聞いた。

――まず、Streakを作った経緯や狙いをお聞かせください。

DELLの佐々木氏

佐々木氏
 Androidが登場した、というのが大きいです。これまでも携帯電話向けのOSはいろいろありましたが、国によってバラバラで、規模のメリットが出しにくい部分がありました。しかしAndroidであれば、基本的に全ての国の言語に対応できるし、カスタマイズもしやすく、規模のメリットが出しやすい、という面があります。

 これからはスマートフォンを代表とする、このようなデバイスが増えていくと予想されるので、今後の規模拡大と開発のしやすさを考えても、いまのタイミングが参入しやすいのではないかと考えました。

――Streakは5インチディスプレイを搭載していますが、これまでこのサイズ感のデバイスはありませんでした。このサイズにした意図とは?

佐々木氏
 iPadのような9~10インチは、画面が見やすく操作しやすいのは良いのですが、持ち歩くには少し重たく、カバンの中に入れて持ち運ぶことになり、それを例えば電車の中でサッと取り出すには抵抗があります。しかし普通のスマートフォンの3~4インチの大きさは、ほかのメーカーがすでにやっているので、差別化がしにくい面があり、画面も少し小さくなります。そこでStreakについては、電話としてもタブレットしても許容できるちょうど良い大きさとして、5インチのサイズとしました。

スマートフォンより一回り大きいサイズ

――中間のサイズというと、他社では7インチサイズのデバイスもあります。

佐々木氏
 7インチは、ちょっと大きくて電話としては使いづらいと考えています。Streakは手にとっていただければおわかりいただけるかと思いますが、大きいは大きいですけど、電話として使えるサイズに収まっています。

――大きさ的に1台持ちもできそうですが、やはり2台持ちを意識されているのですか?

佐々木氏
 企画段階では2台目の端末というのを前面に出してアピールしようと考えていたのですが、通話もできるサイズ感に仕上がっているので、あえて2台持ちとは言っていません。ユーザーを限定するのではなく、幅広く捕らえようと考えています。

キーは横位置向けにプリントされている

――キーのプリントや背面のロゴなど、横位置で使うデザインになっていますが、その狙いは?

佐々木氏
 Streakには電話の機能もありますが、やはりWebや地図、映像などを見ることを主眼において開発しています。そうなると、横長画面の方が使いやすいでしょう、と考え、横位置をメインに考えました。もちろん、縦位置をないがしろにしているわけではなく、メニューなどは両方用意しています。個人的には、Webを見るときは縦画面でも使いやすいかな、とも思いますし、ここは好きな方をお使いいただければと思います。

――Streakはすでに海外では販売されていますが、日本向けに変更されたところは?

佐々木氏
 ハードウェア的には、電波法への対応などがメインで、あまり改変していません。一方、中身、ソフトウェアは日本語版にするなど変更をしています。ソフトバンクモバイル様の製品なので、中に入れるアプリについても、ソフトバンクのメールアプリを搭載するなど、日本向けにカスタマイズしています。フォントも標準のものとは変えています。

――Android端末としては珍しく、標準でBluetoothがHIDプロファイルをサポートされていますが、これはAndroid標準の機能ではなくDELL独自の機能ですか?

佐々木氏
 DELL独自の機能となっています。Streakは画面が大きく、ソフトウェアキーボードも打ちやすくなっていますので、実際にハードウェアのキーボードを使って長文を書くニーズがどのくらいあるか、読み切れないところですが、Bluetoothキーボードにも対応しています。

――日本語入力ソフトウェアには何を採用されているのでしょうか?

佐々木氏
 iWnnです。絵文字にも対応しています。

フリックにも対応したiWnnを搭載絵文字の入力にも対応している

――独自形状の端子を搭載されていますが、これは何ができるのでしょう?

ドックにも対応する底面(側面)の端子

佐々木氏
 充電やパソコンとのUSB接続、それからホームドックキットとの接続にも使います。ホームドックキットにはHDMI端子があり、そこからStreakで撮った写真や動画をテレビに出力できます。

――Streakでは純正のオプション品を用意されたりはするのでしょうか。

佐々木氏
 純正品としては、最低限ないと困るものを中心に用意します。電池やACアダプタ、PCと接続するためのケーブルは、標準セットに含まれます。ホームドックキットは時期はまだ決まっていませんが、直販で販売する予定です。

 純正品以外については、ほかのメーカーとも協議中で、何かしらのディスプレイフィルムとカバーを提供できるかな、と考えています。

――DELLというと、パソコンがメインの商品かと思いますが、そのパソコンとの連携はあるのでしょうか。あるいはパソコンとStreakのようなデバイスが歩み寄って融合していくのでしょうか。

佐々木氏
 連携という表現の方が近いと思います。Streakのようなデバイスがパソコンに置き換わるとは思っていません。パソコンはパソコンのまま、今まで通りに展開していきますし、その一方でタブレットを代表するモバイル端末を増やしていく、という戦略になります。

 連携部分はどのようにやっていくかは決まっておらず、まだプランにもなっていませんが、たとえばクラウドを使い、パソコンでアップロードしたコンテンツをパソコンでもタブレットでも見られるとか、そういった形で展開していきたいと思います。

――日本での今後の展開が気になるところです。今回はソフトバンクモバイル向けになっていますが、たとえばSIMフリーのモデルを、DELLが得意とするBTOカスタマイズで販売されるというのは?

佐々木氏
 考えられなくはないのですが、まだそれを検討する段階ではないですね。海外ではメーカーと通信キャリアは別々でやっているところが多いですが、日本ではメーカーが通信キャリアに納入して販売するモデルが主流になっています。流通の仕組みが違うので、どこまでDELLがユニークさを発揮できるか、まだわかりません。

――アップルのiPadでは、3G入りのモデルとWi-Fiのみのモデルがありました。DELLのキャラクターとしては、Wi-Fiモデルがあっても良いとも感じられますが。

佐々木氏
 今後の検討課題になりそうですが、今のところWi-Fiモデルを出す予定はありません。個人的には、もっと大きいサイズならばあると思いますが、このサイズだと考えないでいいかな、と考えています。また、Wi-Fiモデルになると、ケータイと違って接続設定なども必要になるので、そこがユーザーを限定してしまうかな、とも思います。

背面。DELLのロゴがまぶしい

――法人の需要もあるかと思いますが、その点はどう考えていらっしゃいますか?

佐々木氏
 いま社内でも検討をしているところです。法人市場を開拓できるか、情報収集しているところでもあります。このくらいのサイズだと、たとえば営業担当が出先でメールチェックしたり報告書を作成したりできるのではないでしょうか。

 しかし気になるところは、セキュリティ部分です。もちろん暗証番号でロックをかけられるのですが、法人用途ではもっといろいろなところにセキュリティが必要になるので、現状での本格展開は難しいかな、と思います。それでも良いから使いたい、というところもあるのですが。

――このサイズだと、電子書籍を読むにも良さそうですね。

佐々木氏
 ソフトバンクモバイル様には、Streakを電子書籍で最適な端末と位置付けていただいていまして、発表会の展示でもビューンなどはStreakを使っていただきました。やはり電子書籍というニーズはあると考えています。

――StreakはAndroid 2.2搭載で発売されますが、今後のアップデートの予定は?

佐々木氏
 具体的には未定ですが、次のバージョンがこの端末でサポートできるなら、やりたいと考えています。ただ、実際にサポートできるかは未確認という状況です。

――本日はお忙しいところをありがとうございました。



(白根 雅彦)

2010/11/30 14:28