【COMPUTEX TAIPEI 2014】

日本市場への期待、au版「MeMO Pad 8」の特徴とは――ASUSが語る

 「COMPUTEX TAIPEI 2014」の開催に合わせて、「MeMO Pad」「Fonepad」「Transformer Book V」といったスマートフォン、タブレットを一挙に発表した台湾メーカーのASUS(※関連記事)。「MeMO Pad 8」は、同社初の日本のキャリアから発売されるモデルで、auの夏モデルにも加わっている。では、ASUSは日本市場をどのように捉えているのか。ASUSでタブレットビジネスユニット総責任者を務めるSamson Hu氏が、日本の報道陣からの質問に答えた。また、後半は「MeMO Pad 8」のプロダクトマネージャー、JK Tung氏に同端末の特徴や開発秘話を語ってもらった。

3つの新製品の位置付け、そして日本での取り組み

ASUSでタブレットビジネスユニット総責任者を務めるSamson Hu氏

――ASUSのタブレットについての考え方を教えてください。

Hu氏
 人々は多彩なデバイスを持つようになりました。使われ方も、仕事やソーシャルネットワーク、エンターテイメントまでさまざまです。これはIT業界の大きなトレンドで、ASUSにとっても大きなチャンスです。我々はユーザーの行動を観察し、ユーザーの声に耳を傾け、ユーザーのニーズに応えていきます。

 我々の哲学は「Start with People」です。それに基づき、今回は3つのタイプのタブレットを開発しました。1つ目が「Transfomer Book V」で、これはもっともイノベーティブなタブレットです。タブレットだけではなく、スマートキーボードもついています。「MeMO Pad」はもっともモビリティの高いタブレット。「Fonepad」はスマートフォンとタブレットを1台のデバイスに融合させたものです。こうして我々はユーザーのチョイスを作り出しています。

1台5役でAndroidとWindowsに両対応する「Transformer Book V」

――日本のタブレット市場に、どのような戦略で臨んでいるのでしょうか。

Hu氏
 ASUSは2011年から日本にタブレットを出してきました。その中で調査を重ね、日本のユーザーは電車の中のような移動にたくさんの時間を使うことが分かりました。スリムで軽くて、ディスプレイのキレイなデバイスが、そのようなアクティビティをサポートします。

 また、バッテリーの駆動時間が長く、LTEのテクノロジーを1つのデバイスに収めていることも重要です。これは、チャレンジングなことですが、とてもエキサイティングです。

 ASUSは5月に、auとコラボレーションしたタブレットを発表しました。今後、LTEタブレットについては日本の通信事業者とともに成長し、歩んでいきたいと思っています。ほかにも、もっと新しいタブレットをリテール(量販店)を通じて日本に投入することも計画しています。

日本にも導入される軽量・コンパクトタブレットの「MeMO Pad」

――日本のテレコム市場について、どのような考えを持っていますか。

Hu氏
 日本はモバイルネットワークの技術やインフラの先駆者で、個人的にもそれを尊敬しています。また、LTEがトレンドになっていることも確認しています。日本のLTE利用者は第3位で、これは世界の18%を占めています。契約者も2000万を超えています。これは台湾の人口と同等か、それを上回るもので、LTE市場のポテンシャルには期待をしています。

――今回の発表を見るとASUSの端末はインテルチップ一色でしたが、今後もインテルが主力になるでしょうか。

Hu氏
 インテルはASUSにとって、長期的に協業をしてきたパートナーで、業界の先駆者です。22nmや64ビットのCPUなど、どれを取っても業界のトレンドを左右するものです。また、(インテルチップの)省電力という特性は、今後のタブレット開発にとっても不可欠な要素と言えます。インテルとASUSの協業は、積極性を増していくでしょう。

スマートフォンとタブレットの中間を狙った「Fonepad」シリーズ

auと共同で作り上げたデザインをグローバルに展開

MeMO Padのプロダクトマネージャー JK Tung氏

――「MeMO Pad 8」の対応周波数は?

Tung氏
 北米、日本、台湾、欧州のバンドはカバーしています。今のところ、au以外では欧州での展開を計画していますが、別モデルになる可能性があります。

――TD-LTEへの対応はしているのでしょうか。

Tung氏
 対応していません。TD-LTEは、ソフトバンクとau、それに中国が中心ですが、中期的に見るとまだまだです。

――プレスカンファレンスでは「軽い」「薄い」といった特徴がアピールされていましたが、それ以外には何かアピールするポイントはありますか?

Tung氏
 それ以外にリソースを投入したのが、デザインです。メタリックな蒸着塗装を施し、塗料もマルチレイヤーです。これは、auのデザイナーさんとも協議をして決めたものになります。まだまだモノトーンのタブレットが多い中で、カラーを選んでいただけると思います。

au版「MeMO Pad」の実機が初公開された。5月のKDDI発表時はモックアップのみ展示

――つまり、auと共同で開発したデザインを、グローバルにも展開するということでしょうか。

Tung氏
 そうですね。

――グローバル版とau版にあまり違いがないように見えますが、どこか差分はあるのでしょうか。

Tung氏
 auの独自アプリと、あとは前面のロゴがグローバル版はASUSですが、au版はauです(笑)。またLTEの周波数は当然違います。そのほかの違いはほとんどありません。

――ディスプレイのアスペクト比を16:9にした理由は?

Tung氏
 8インチでこのアスペクト比だと、縦では片手で持つことができ、横にしたときの範囲も視野に収まりちょうどいいのではないでしょうか。

――MeMO Padは7インチと8インチを同時に発表しましたが、なぜ1インチ刻みなのでしょう。

Tung氏
 地域によって、どちらを導入するかが異なります。両方用意して選んでもらえることを目指しています。

石野 純也