【Mobile World Congress 2015】
ブライトスターの販路を武器に、アクセサリーやソフトの世界展開を目指すソフトバンクグループ
(2015/3/5 19:36)
ソフトバンクの傘下になったブライトスターは、世界最大規模を誇る端末の卸売り事業者だ。グローバルに事業を展開するだけに、Mobile World Congressでは常連の企業でもある。このブライトスターの買収に合わせ、ソフトバンクは、コマース&サービス(C&S)事業を再編。具体的には、昨年2月にソフトバンクBBから「SoftBank SELECTION」などを手がけるC&S事業を切り離し、ソフトバンクC&Sとしてブライトスター傘下に収める形になった。
その成果の1つが、「SoftBank SELECTION」の海外展開。ソフトバンク コマース&サービス 取締役の倉光哲男氏は、「シナジーを出すということで、まずはスプリントとの取り組みだったが、昨年夏に、iPhoneに合わせる形でオーストラリアのテルストラにも提供を開始した」と語る。テルストラには、iPhoneのケースを納入。先方からも好評を博しているという。今後は、「端末のロードマップを共有させていただき、計画的にアクセサリーを進めていきたい」と語る。
ソフトバンクC&Sでは「EQUAL(イコール)」というサブブランドも立ち上げており、こうした商品もMWCのブライトスターブースに出展。最新のアクセサリーを世界に向けて提案している。
もう1つの成果が、海外のアクセサリーを日本に導入すること。グローバル調達の規模を生かし、「大手サプライヤーさんとの契約が大詰めを迎えていて、主力との契約は済んでいる」という。国内ではこれらを「グローバルラインナップ」として展開。ソフトバンクショップや、家電量販店などで販売を行っている。「mophie」や「speck」「tech21」「GRIFFIN」など、メジャーどころを取り揃えているのが特徴。「今までの流通は終了して、それを引き継ぐことを前提に進めている」といい、ソフトバンクグループ独占での取り扱いとなる。
また、ソフトバンクはシリコンバレーにオフィスを開設、端末やアクセサリーの開発に取り組むと発表していた。一方で、2月に開催された決算説明会では、シリコンバレーの規模を大幅に縮小することを明らかにした。これに対して倉光氏は「孫が言ったように、確かにいったんは閉めるが、アクセサリーについては盛山という者が彼の地に留まって、ストラテジーの責任者をしてもらっている」と話す。ブライトスター本体でも、グローバルアクセサリーチームを立ち上げ、ソフトバンクとのシナジー効果を発揮していく構えだ。
アクセサリーというハードウェアを提供するソフトバンクC&Sに対し、ソフトウェアのグローバル展開を目論むのが、BBソフトサービスだ。同社はMWCに合わせ、「mercury(マーキュリー)」というソフト提供のプラットフォームを開発。ブライトスターと共に、世界各国のキャリアに売り込みを図る。
BBソフトサービスはソフトバンクC&Sからスピンオフした会社で、主にセキュリティサービスをベンダーから調達し、ISPやキャリアなどに提供してきた。同社の代表取締役社長 瀧進太郎氏は「ソフトバンクグループが持っているキャリアや、Yahoo!などに月額課金できそうなコンテンツやサービスを提供するのが我々の役割で、ドメスティックにやってきた」と語る。
こうした中、先に説明したとおり、ブライトスターがソフトバンクC&Sを傘下に収めるなど、事業環境が大きく変化。「ここ1、2年は海外にオフィスを持ち、シリコンバレーにもベースがある」という。海外でも、同様のサービスを、ブライトスターと共にキャリアに売り込んでいく方針だ。瀧氏によると、ブライトスターもこうした月額課金モデルを求めている側面があるという。
「せっかく200以上のキャリアとビジネスをしているのに、ハードウェアだと1回売って終わってしまうが、我々のようなソフトウェアは毎月続いていく。いいソフトなら使い続けてもらえるので、そういうものを彼らも探している中で、コンバインしてやっていく話があった」
国によって、アプリの好みは傾向が異なるが、「ブライトスタートの強みは、重要な国のほぼ全てにオフィスがあること。そこと連絡を取り、国ごとに合わせたレギュレーションに変えている」。世界各国のキャリアとビジネスを展開しているブライトスターには、「その事情がしっかり分かっている」という。MWCでも引き合いは多いといい、早くも成果が見え始めているようだ。