【CES 2017】

ファーウェイ・ジャパン呉波氏が語る2017年の日本戦略

 2016年のファーウェイ・ジャパンというと、日本ではSIMフリー市場中心の展開ながら全体でもシェア4位に入るなど、大きく躍進した年でもある。「HUAWEI P9」から始まり「HUAWEI Mate 9」、「honor 8」とハイエンドモデルを続々と投入する一方、ミドルレンジ価格帯の「HUAWEI P9lite」は、高いコストパフォーマンスから評価も高く、最もよく売れているSIMフリースマホの1つになっている。

 今回はCES 2017の会場で、ファーウェイ・ジャパンで端末部門を統括するデバイス・プレジデントの呉波(ゴ・ハ/Wu Bo)氏にインタビューする機会を得たので、2016年の総括と2017年の戦略について話を伺った。

呉波氏

――2016年の日本市場における成果をどう評価されていますか。

呉氏
 2016年の納会では、「今年1年、生き残れたね」と喜びを分かち合いました。ファーウェイ・ジャパンの社員にはいつも語っていますが、生き残ることが目標です。生き残ることに一丸となって取り組んだことで、1年を乗り切ることができたと実感しています。

 2016年は良いこともありましたし、良くなかったこともありました。しかし、いずれにしても有意義で貴重な経験がで、良くなかったことも2017年に改善していきます。

 客観的なデータをベースにすると、日本国内でのスマートフォンのシェアが4位となりました。タブレットでは2位です。さらに12月単月だと、スマートフォンのシェアは4位から3位に浮上しています。あくまで1カ月だけですが、年間で4位だったところが3位に食い込めました。

 また、ブランディングに関しても、2016年はいろいろなメディアに注目いただけて、HUAWEI P9に関してはコンシューマー投票によるものも含め、さまざまな賞も受賞しています。

――反対に、2016年に良くなかったことはありますか。

呉氏
 SIMフリー分野で期待したほどの結果を出せませんでした。メディアからも注目していただき、ブランド力も向上しましたが、それをもっと売り上げにつなげられたのではないか、と。あとは日本国内における販売店舗の開設数も、当初の目標に届いていません。

――まだ期待する結果に達していないということは、もっと大きい販売目標を掲げているのでしょうか。

呉氏
 具体的な目標台数は掲げておらず、「何台売れたから成功」という尺度では評価していません。それよりもブランド認知度や知名度、NPS(ネット・プロモーター・スコア、顧客の支持指数)で評価しています。このような指標はある日を境に大きく変化するものではありません。着実に積み上げていきたいと考えています。

 また、SIMフリー以外のマーケットでは、2016年は非常に良い成果を収められました。

 たとえばドコモやau向けのタブレット、SoftBank Air向けに提供している端末などです。これらはもともとゼロだったところから、弊社とキャリアで協力してマーケットを構築していきました。

――2017年の戦略をどう考えていらっしゃいますか。

呉氏
 取扱店舗の数を増やす必要もありますし、各店舗における売り方や見せ方に力を入れていきたいと考えています。ブランド認知を得ることができて、良いブランドイメージを得てきているので、それを消費行動につなげる戦略が必要です。

 日本の消費者には、弊社の製品の品質とコストパフォーマンスの良さに関する認知が広がっています。そうしたユーザーが実際に店舗に足を運んで買うかどうかは、店舗からの影響も受けます。

 そこでひとつの戦略として、店舗における販売員のトレーニングを掲げています。販売員の製品やサービスに対する理解を養うことで、ポジティブなイメージをダイレクトに伝えていきたいと考えています。

 それから、一番大事なことですが、引き続き、絶え間なく、コンシューマーが必要とする製品を提供し続けたいと思っています。

ブースに展示されている「honor 6X」はデュアルカメラが楽しめる中価格帯スマホだ

――CESのファーウェイブースには、日本では販売されていない製品が多数展示されていますが、このうち日本に投入したい製品はありますでしょうか。

呉氏
 弊社はグローバルでさまざまな製品を販売していますが、すべてを投入することは考えていません。やはり私どもにとって、中国や欧州などと比較しても、日本市場は非常に特殊性の強いマーケットだと思っています。日本に投入する製品は、グローバル市場に比べて、その傾向にも特殊なものがあると考えています。

 もちろん、ファーウェイブースで展示されている製品のいずれかが日本に投入される可能性はありますが、どの製品かとなると、すべての製品に可能性があるとしか言えません。

 日本の市場は非常に難しく、価格が安ければ売れるわけではありません。12月に発売したHUAWEI Mate 9は、グローバルと同じ価格ですが、日本では想定以上に売れています。ローエンドの製品よりも好調になっています。

――昨年はミドルレンジのHUAWEI P9liteがよく売れたと聞いていますが、その価格帯の強化は?

呉氏
 傾向としてはミドルレンジが売れていますが、だからといってミドルレンジに注力するのではなく、引き続き上から下まで、バランス良くさまざまな製品を投入したいと考えています。

 やはり日本のマーケットと言っても、いろいろな消費者のニーズがありますので、ある製品が売れるからといって、成功したとは単純には捉えていません。

――本日はお忙しいところありがとうございました。