【CES 2016】

CES併催イベント「Digital Experience」で見つけたスマートフォン

Digital Experienceは、ラスベガスのミラージュで行われた

 CESの併催イベントである「Digital Experience」には、さまざまな製品が集まる。スマートフォンやタブレットも、その中の1つだ。今年は大手メーカーも、多数ブースを出展。HTC、LGエレクトロニクス、BlackBerryなどなど、顔ぶれはCESの本会場かと見まごうばかりの豪華さだ。ここでは、そんなDigital Experienceで出会ったスマートフォンを紹介していこう。

HTCは最新機種やVRをアピール

金属ボディを採用した薄型の「HTC One A9」

 HTCは、昨年末に発売した新機種「HTC One A9」を展示していた。この端末は、中上位に分類されるスマートフォンで、チップセットには初の「Snapdragon 618」を採用している。前面に搭載された指紋センサーも特徴だ。

前面に指紋センサーを採用。画面の点灯からロック解除までを、このボタンで行える
HTCが開発したヘッドマウントディスプレイ「Vive」

 新事業として、同社が開発したVR用のヘッドマウントディスプレイ「Vive」は、HTCブースの目玉だった。Viveは昨年のMobile World Congressで発表され、現在のものは2号機に当たる。位置付けは、まだ開発者向けで利用にはパソコンとの接続が必要だ。コントローラーも用意されており、360度に広がるバーチャルリアリティを活かしたゲームを楽しめる。

ヘルスケア関連のIT製品をセットにした「HEALTHBOX」

 また、HTCがスポーツブランドの「UNDER ARMOUR」とタッグを組み、展開している「HEALTHBOX」も展示されていた。このボックスには、活動量計などが詰め込まれており、HTCが裏方として製造などを担当している。

初の「Snapdragon 820」搭載端末をアピールするLeTV

動画コンテンツへのアクセスが容易なUIを採用

 中国メーカーのLeTVは、初のSnapdragon 820搭載端末「Le Max Pro」を開発。Digital Experienceと同日開催されたクアルコムの記者会見でも、第1号機として紹介されていた。LeTVは、元々、中国で映像配信を手掛けていたコンテンツ事業者だった。スマートフォンを出すことになったのは、コンテンツへのタッチポイントを増やすため。実際、同社の端末は、ワンタッチで動画サービスを呼び出せるよう、ユーザーインターフェイスがカスタマイズされている。

 端末はハイスペックで、質感の高いものが多い。中国を中心に人気を集めているメーカーだ。そのLeTVが開発した、初のSnapdragon 820搭載端末が、「Le Max Pro」となる。実機を触った限りでは、レスポンスが非常によく、滑らかに動いた。ベンチマークの数値も、クアルコムのリファレンスモデルと大きな違いはない。

「Snapdragon 820」を採用した初代モデルの「Le Max Pro」
ベンチマークでも高い数値をたたき出した

 Snapdragon 820には付加的な機能も多数用意されており、Le Max Proには、そのうちの1つである指紋センサーが搭載されている。この指紋センサーは、従来型とは異なり、超音波で指紋を読み取るもの。そのため、読み取りまでの時間が短くなり、濡れた指や、汚れた指でもきちんと認識する。音波を出す仕組みのため、ガラスの下などに埋め込んでもいい。メーカーにとっては、デザインの制約を1つ減らすことになりそうだ。

超音波で指紋を読み取る方式。センサーが背面に搭載される

LGは新発表のKシリーズを、BlackBerryは「Priv」を出展

LGのミッドレンジモデル「K7」

 記者会見では特に触れられなかったが、LGエレクトロニクスも「CES 2016」に合わせて新端末の「K」シリーズを発表している。Digital Experienceには、そのうち、スペックが低い方の「K7」だけが展示されていた。

 K7は、スペックは抑えめだが、背面にキーを搭載するなど、フラッグシップであるGシリーズの特徴を、一部受け継いでいる。カーブガラスを使っており、タッチした際に、指が滑らかに動く。

キーを背面に採用しているところは、Gシリーズ譲り
ディスプレイは左右が滑らかにカーブしたもの

 一方で、BlackBerryもブースを出展。発売済みの端末「Priv」をアピールしていた。BlackBerryは、ハードウェアだけでなく、ソフトウェアまで作り込み、OSも独自に開発している企業だが、PrivはOSにAndroidを採用。スライド式で開くとQWERTYキーボードが現れるなど、ギミックにもこだわっている。

端末は縦にスライドする仕組み。最近ではすっかり珍しくなってしまったQWERTYキーが現れる

 ソフトウェアにも工夫がある。デザインがシンプルなため、素のAndroidと思われがちだが、実はふんだんにカスタマイズが施されている。たとえば、ホームキーを長押しすると、Google Nowのほかに検索やメールが出現する。画面右上に、ランチャーのようにアプリをセットできる機能も、独自性のある部分だ。

デザイン的には素のAndroidに近いが、使い勝手を高める工夫が満載

 このほか、複数のアカウントのメールをまとめて管理する「BlackBerry Hub」、プライバシーやセキュリティを守る「DTEK by BlackBerry」を内蔵。随所に“BlackBerryらしさ”を感じさせる端末になっている。

BlackBerryらしいアプリもプリインストールする

石野 純也