本日の一品
ネイチャーサウンドも録りたくなるフラッグシップICレコーダー
(2013/10/7 06:00)
ありがたいことに、ここのところ毎日のように取材・インタビュー関係の仕事をいただいている。最近は英語の場合も多くなってきて、ICレコーダーがもう1台ほしくなってきた。例えば1台は英語音声に、もう1台は日本語の同時通訳に、という使い方をしたいのだ。バックアップ用として1台別にあった方が安全というのもある。
2年前から使っているオリンパスの「Voice-Trek V-65」という機種は、ずいぶん活躍してくれた。これをサブ機にして、メイン機となるICレコーダーを買い増そうと思って選んだのが、数千円のビジネス向けモデル……とはいかず、いろいろ悩んだあげく、同じオリンパスのフラッグシップ機「Voice-Trek DS-850」だった。購入価格は1万6510円。はっきり言って高い。予算を1万円もオーバーした。
当然ながら高いなりの機能をいろいろ備えている。例えば「ズームマイク」機能。前方や遠くの一方向からの音をメインに拾うことができるというもので、他社製品の上位モデルでも搭載例が多くなってきている。「DS-850」の場合は、指向性のステレオマイクと無指向性のマイクを組み合わせることで、周囲の音を幅広く拾ったり、前方の音だけを拾ったり、というコントロールができる。しかも、この指向性を10段階で調整可能だ。実際に無指向の設定で録音すると、周囲のごくわずかな擦過音なども忠実に拾い、逆に指向性を高めるとそれらはほとんど聞こえなくなって、聴きたい対象の方向の音をきれいに録音してくれる。
録音後の音声再生時にノイズを低減して聴くことができる「ノイズキャンセル」機能や「ローカットフィルタ」機能も効果が高い。周囲がざわついているような場所とか、エアコンの風などに当たって盛大にノイズが入った時でも、音声だけが自然な感じでクリアに聞こえるようになる。これにズームマイク機能をうまく組み合わせれば、より聞こえやすくなるだろう。
音声の再生時に役立つ機能としては他に、無言部分を省略して再生できる「声だけ抽出・再生」機能と、小さい声を大きくして音量の差を平滑化する「ボイスバランサー」機能もある。ただ、「声だけ抽出・再生」機能での再生時には発言の頭が欠けてしまうことがあるなど、ちょっと残念な感じ。「ボイスバランサー」機能はたしかに小さい声が持ち上がって聞き取りやすくはなるものの、ノイズキャンセル機能とは同時に使えないので、ノイズも一緒に大きくなって耳障りな音になる場合がある。使いどころがちょっと難しいかもしれない。
ちなみに予算をオーバーしてまで購入したのは、音声の録音だけで終わらせないぞ、と思ったからでもある。「DS-850」には48kHz/16bitのリニアPCMで録音できるモードも用意されているので、近頃オーディオ界で話題のハイレゾ音源とはいかないまでも、十分な高音質で録音可能なのだ。今は秋らしいコオロギの鳴き声や雨音など、ヒーリングサウンドとして使えそうな音源を集めようとチャレンジしているところ。あとはバイクのエンジン音を録音しておき、クルマを運転しながら聴いて悦に入る、なんてこともしてみたい。
「DS-850」はどちらかというとビジネス向けのモデルだけれど、コンパクトなおかげでいつでも気軽にハイクオリティなサウンドを録音できる、マルチに遊べる面白いアイテムでもある。常に持ち歩いてネタを録り歩く、コンデジみたいな使い方をするのもいいんじゃないかな、とも思ったり。
製品名 | 製造元 | 購入価格 |
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Voice-Trek DS-850 | オリンパス | 1万6480円 |