本日の一品

ハートレートモニターのススメ

「Axio HR」

 痩せたいならとにかく走ればいい。だったらいつ走るの? 今でしょ! なんて思っていた。筆者はスポーツに関する専門知識を持っているわけではないけれど、漫然と走っていても効率的に体重を減らせないであろうことは、なんとなく想像がつく。しかし、それでも走り続けていればそのうち少しずつでも減るだろうと思って、走る。それなりに頑張って走る。でも体重は落ちない。そして飽きて走らなくなる。ご飯がうまい。お腹周りのぶよぶよ感は増すばかり。でもご飯がうまい。

 そうしたことを続けているうちに、これはマズい! と思い、ずっとほしいと思っていたものの、少し値が張ることもあって買えずにいたアウトドア腕時計、HIGH GEARの「Axio HR」を、自分への誕生日プレゼントにかこつけて購入した。

 これがどういう製品かというと、時計として使えるのは当然として、現在の気温、履歴をたどれる気圧・高度計が搭載されていて、50件までのラップタイムを記録できるクロノグラフ機能があり、しかもハートレートモニターで心拍数や消費カロリーも測れるという代物。

右側にはボタン2つとセンサーが、左側にもボタンが3つある。表示切り替えや機能の実行など、画面やモードによってボタンの役割が異なり、操作はわりと複雑
腕時計のベルトは水や汗に強いラバー素材。ちなみに腕時計本体は5気圧防水で、小雨くらいなら大丈夫そう

 付属しているバンド型の専用トランスミッターを胸の周りに巻くと、心臓の鼓動を自動検出して、腕時計に無線でその情報を送るようになっている。正しく検出し始めるまでに1分ほどかかるが、ずれないようにしっかり体に巻いておけば、少なくとも全力疾走くらいの運動なら誤動作することなく、かなり正確に心拍数を検出してくれる。これでラップタイムなどを計測しつつ、心拍数も常に把握して、目的に合った運動量をこなせるというわけ。

体に巻いて使うトランスミッター
実際は素肌に付けなければ心拍数を検知してくれないが、諸事情によりTシャツの上に巻いて撮影。動いたときにずれないよう、ただし呼吸に影響しない強さで締める

 そんなこんなで、さっそく装着してランニングだ! と焦って外へ飛び出してはいけない。より正しく使うために年齢と性別、体重を予め入力しておく。どうやら年齢によって心臓にかけられる負荷が変わってくるみたいで、一般的には220という数字から年齢を引いたものが1分間の最大心拍数になるらしい。ハタチなら200拍/分ということになる。

 「Axio HR」では、この最大心拍数を基準にした3段階の負荷率を切り替えることができ、設定した負荷率に合わせてアラームを鳴らせるようになっている。たとえばハタチのあなたが最も負荷の低い状態で運動したいときは、心拍数200の60~70%の範囲、心拍数120~140を維持して運動することになり、それ以下や以上になったりするとアラームで教えてくれるのだ。有酸素運動をしたければ1段階上の70~80%、無酸素運動をしたければ最大となる80~90%の負荷率を選ぶとよさそう。

 で、実際にランニングで使ってみたところ、すごくいい。何がいいかというと、専属のコーチが付きっきりで指導してくれる感じなのである。ちょっとでも設定した負荷を下回ろうものならピッピッと注意してくれるし、頑張りすぎてオーバーペースになったとたん、またピピッと警告してくれ、今までいかにのんきに、気の向くまま、何も考えずテキトーに走っていたかを思い知らされる。以前まで、あーこれがランナーズハイかー、なんて思っていたランニング中の気持ちよさと、どこまでも走れそうな高揚感は、単にペースが落ちていただけだったのかも……。

心拍数を表示したところ
ラップタイムを表示しながら心拍数も見られる

 とりあえず時計さえあればオレは大丈夫、なんていう人も、一度ハートレートモニターを使って走ってみたらきっと考えが変わるはず。終始明確な基準になるものがないと、どうしてもその時々の自分のペースで走ってしまうものだ。イマイチ体重が減りにくいという人は有酸素運動になっていないのかもしれないし、つらくて三日坊主になってしまうという人は、もしかしたらオーバーペースで走っているのかもしれない。そういうことに気づくためには、ハートレートモニターが必須なのである。

 スマートフォンのフィットネスアプリと、心拍数計測用のトランスミッターを組み合わせて使うのも、データ管理のしやすさを考えればアリだろう。でも、手軽さならやっぱり腕時計型の方が断然上だ。高度計や気圧計など、アウトドアで活躍しそうな面白い機能もたくさんある。そのせいか腕時計のサイズが大きく、普段使いが厳しい点や、トランスミッターが汗まみれになるので毎回軽く水洗いしないと臭くなりそう、といった問題はあるけれど、筆者のモチベーションアップには効果大だった模様。健康とかダイエットが目的ではなく、今は「Axio HR」を使いたいがために走る、というおかしな状況になっている。

あらかじめ設定した基準地点からの高度がわかる
こちらは気圧計。高度計と気圧計はグラフで過去24時間の推移も追える
時計表示では天候や日付なども同時表示可能
画面の表示エリアが上・中・下段に分かれていて、上段と下段を気温や高度の表示に切り替えることもできる
製品名製造元購入価格
Axio HRHIGH GEAR1万7553円

日沼諭史