重さわずか1g、お値段500円の極小軽量ボールペン「ゾルファネッロ」


 今や筆記具カテゴリーの中でも超メジャーな存在となったボール(ポイント)ペン。その発祥の歴史はそれほど古いものではなく、1940年頃だとされている。その生産国も、スイスやフランス、ドイツを始めとするヨーロッパ各国と北米大陸に及び、日本も超メジャーな供給大国だ。

 しかし、スイスのカランダッシュを始め伝統的な装飾技術を背景としたユニークかつ高級な筆記具はまだまだヨーロッパ勢の独壇場だ。イタリア最後のギヨシェ彫刻アーティストと言われる“リッカルド・レンツェッティ”が創りだすハンドメイド・ミニ・ボールペンもその代表的筆記具だ。

パッケージサイズは最近は見かけることの無くなった殆どマッチ箱サイズ小さなボールペンはいろいろコレクションしているがゾルファネッロは最小だ普通のぺんてる社のサインペンと比べてみるとそのミニミニぶりが理解できる

 金細工師を父に持つマリオ・レンツェッティは、著名な宝飾店で修行を積み、腕時計の文字盤等、貴金属への精巧な細工手法である“ギヨシェ彫り”を習得した職人であり、同時にアーティストだ。

 「ゾルファネッロRenzetti 1909」は、リッカルド・レンツェッティのデザインをベースにトスカーナ地方にあるペン工房が製作したボールペン本体に、19世紀初めから伝わる伝統的な機械工具を用いてのギヨシェ彫刻から七宝、エナメルがけなどの彩色仕上げをすべて手作業で施している商品だ。

 今回ご紹介するリッカルド・レンツェッティ作の「ゾルファネッロ Renzetti 1909 ボールペン」は、イタリア語で“マッチ棒”を意味する「ゾルファネッロ」の言葉が表す通り、全長わずか63mm、重量はたった8gしかないエナメル レッドのコーティングが施されたハンドメイドボールペンだ。

 きわめて小さい形状だが、耐久性あるクリップ部分、筆記時の指先の滑り止め機能と、確実にペン先部分を密閉・収納するキャップ機能の2つを同時に実現している2段のラバーリング。それらを確実、精巧に組み合わせる基礎技術とリッカルド・レンツェッティのパッションの成果だ。

 筆者は、普段、エナメルレッドのRenzetti 1909ミニボールペンを、自分たちで企画、製造しているThinking Power Notebookの中でも最小の大学ノート型メモ「Night and Day」と一緒に便利に使っている。

筆者は、自分たちで企画したNight and Dayという超小振りなメモと一緒に携帯銀座「五十音」+「信頼文具舗」コラボのspy(ケース)にもマッチする滑り止めのラバーリングや全体のバランス感が効果的に働き、意外と書きやすい

 科学技術やテクノロジーを駆使した近代的な筆記具開発では、日本製品はほぼ世界の頂点に立った。今回のRenzetti 1909ミニボールペンのような製品を見るにつけ、明治以降、すでに百有余年の歴史を持つ日本の筆記具業界では、その伝統と、品質、ブランドパワーを世界に向けて証明できるプロダクトが存在しないのは、少し残念な感じがする。日本ならではのユニークな商品づくりに期待したいところだ。


商品名実売価格購入場所
レンツェッティ・ゾルファネッロ 1909 ミニ・ボールペン
(エナメル レッド)
3990円恵比寿アトレ内 Smith(スミス)



(ゼロ・ハリ)

2012/9/14 06:00