本日の一品

テストには何十年も縁がないが「カンニング・ペン」に惹かれた

ごく普通の形状をしたボールペンだが、シルバーの金属バーがクセモノだ

 ときどき1人で買い物散歩に行く新丸ビルで、以前から探していたボールペンによく似たガジェットを発見した。硬くて正確で厳格なイメージのするドイツ製の商品だった。

探し求めていた商品に似ていたので、パッケージを見た瞬間に買ってしまった

 メーカーはドイツのハンブルグ市にあるようなので、商品その物はそれほどお硬いイメージではないのかもしれない。その名前は「Kugelschreiber」。kugelとschreiberの合成語で、一般的なボールポイント・ペン(ボールペン)を指すようだ。原語にはカンニングの意味は特に無いようだが、英文名として「CHEATERS PEN」(カンニング・ペン)と添えられている。

 一見、普通のボールペンだが、側面に少しだけ露出している幅7cm程の金属バーを爪先でつまんで引き出すと、幅約65mm、長さ約180mmほどのロール紙をズルズルと引き出すことが出来る仕掛けが施されている。

ゆっくり金属バーを引っ張るとロール式のメモ帳がズルズルと出てくる
インクが無くなってリフィルを交換するのは一般的なボールペンと同じ

 引き出したロール紙はしっかりと指先で押さえておかないと、離した瞬間にチャーっと元通り巻き込まれてしまう。この辺りが「カンニング・ペン」命名のルーツだろう。構造的には、ボールペンリフィルの周囲にゼンマイパワーで自動的に巻き込むロールペーパーメモ用紙を巻きつけた構造だ。筆者でも簡単に分解再組み立てが可能だった。

 インクが無くなって、ボールペンのリフィルを交換する時は、ロール紙部分を取り出す必要が無いので安心だ。

リフィルの周囲を使ってメモ帳はロール状に巻かれて収納されている
メモ帳をボールペンの軸に固定している端っこのパーツを引き出すとロールメモが付いてくる

 この手のカンニング・ペンの最大の問題点でもあり、同時に最大のマゾ的楽しみは、自分自身がボールペンなのに、自分そのものではどんなに頑張ってもロールペーパーには描けないことだ。昔から、同様の構造で内部のロール紙を引き出し、必要な分量だけをちぎってとっさのメモにするという合体アイテムも存在したが、カンニング・ペンの目的は少し異なる。このペンは、自分にとって最も重要なことを備忘録として書き留めておくためのメモ帳なのだ。

 長く使うために、内部に収納されるロール紙の表裏はビニール・コーティングされ、かなり強い引っ張り力にも耐えられる材質になっている。しかし、補強のビニール・コーティングが裏目に出て、ごく普通の鉛筆やボールペンでは目的の重要項目がカスレて書き込めない。

分解しない限りカンニング・ペン自身のボールペンでは書けないので、別途筆記用のボールペンを用意しよう

 油性のローラーボールペンやマーカーで描くと、今度は筆跡がなかなか乾燥せず、指の力が限界に達して離すと、メモの復元力でクルクルと巻き込まれてしまう。最悪の場合、乾燥しきっていないインクを巻き込んだときに、他の場所に転写されて残念な結果になってしまう。

 やむなく筆者は、表面に記述するのを諦め、裏側の少しだけコーティングの甘い面に描くことにした。濃い鉛筆や油性ボールペンでなんとか目的のメッセージを書き込めたが、今度は再利用のために消しゴムで消す作業が面倒だ。

 試験科目によって頻繁に変わる公式やヒントではなく、自分にとって超重要なことやパスワードなどをメモとして記述し物理保存しておくには使えるかもしれない。その時にゆっくりと描くなら、内部のロールペーパーだけを分解して取り出して、油性のサインペンなどでじっくり時間をかけて綺麗に書き込んで、またじっくり乾かしてから元に戻すのが良いだろう。

パッケージ写真のようにロールメモの表面に文字や絵を描くのは難解だが、背面はビニールコーティングが甘く比較的筆記しやすい
鉛筆筆記なら消しゴムで簡単に消せる。乾燥に時間のかかるローラーボールは巻き込んだ時に他に転写することが多くお薦めできない

 筆者は、既に15年ほど前にTOEICの試験を受けて以来、試験というものには無縁の生活なので、忘れそうなパスワードを思い出すためのヒントメモにしようと思っている。90%の話題性と10%の実用性で、人とのコミュニケーション力不足を補うには十分なパワーを発揮する「カンニング・ペン」であることは間違いない。

製品名販売元購入価格
CHEATERS PENDonkey Products1960円