応用範囲が広そうなウェブカメラとヘッドセット

スタパ齋藤
1964年8月28日デビュー。中学生時代にマイコン野郎と化し、高校時代にコ ンピュータ野郎と化し、大学時代にコンピュータゲーム野郎となって道を誤る。特技は太股の肉離れや乱文乱筆や電池の液漏れと20時間以上の連続睡眠の自称 衝動買い技術者。収入のほとんどをカッコよいしサイバーだしナイスだしジョリーグッドなデバイスにつぎ込みつつライター稼業に勤しむ。


応用範囲が広そうなウェブカメラとヘッドセット

 ロジクールから新製品が連続して発表されているが、拙者的に気になっていたのが高解像度ウェブカメラのLogicool HD Pro Webcam C910とワイヤレスヘッドセットのLogicool Wireless Headset H760。どちらもミョーに応用範囲が広そうなので、ちょいと実機を借りて使ってみた。

ロジクールのLogicool HD Pro Webcam C910。フルHD動画を撮れるウェブカメラですな。発売中で、ロジクールオンラインストア価格は9980円ロジクールのLogicool Wireless Headset H760。ワイヤレスヘッドセットで、2010年9月17日に発売予定。ロジクールオンラインストア価格は9980円

 Logicool HD Pro Webcam C910のほーは、基本、ウェブカメラなんだが、何とフルHD動画(1080p)を撮影できたりする。ロジクール製ウェブカメラのフラッグシップ機種であり、ウェブカメラというカテゴリーの製品としてはヤケに高い性能を持っている感じ。

 Logicool Wireless Headset H760は製品名どおり、ワイヤレスで使えるヘッドセット。ボイスチャットとかをするとき、これまで邪魔だったケーブル類はナシでスッキリ使えるヘッドセットだ。

 ウェブカメラのC910もヘッドセットのH760も、メッセンジャーとかでコミュニケーションするときのためのハードウェア……てなカテゴリに入る製品だが、実際に使ってみると「メッセンジャーとかでコミュニケーションするとき“にも”使えるハードウェア」というイメージになる。

 てなわけで以降、C910やH760がメッセンジャー利用以外のどーゆー用途にも使えそうなのかを含めて、両機の性能や使用感を見ていこう。

ウェブカメラとしてのC910

 まずはウェブカメラのC910。拙者的な観点でこのC910を説明すると「HD720p画質のビデオチャットまで対応できるウェブカメラであり、かつ、パソコンに動画/静止画をダイレクトにキャプチャできるスキャナ」てな感じ。

 モノとしてはUSB2.0接続のウェブカメラだが、センサー画素数が500万画素あり、オートフォーカス機構を備え、ステレオマイクも内蔵する。ディスプレイ上部にスコッとセットしてUSB接続すれば即テレビ電話を楽しめるっつー点ではウェブカメラなんだが、カメラのスペックは“PCと組み合わせて使うフルHD動画対応高画素デジカメ”みたいなイメージだ。

サイズは幅95×奥行77×高さ34mmで、質量は138g。USBケーブルの長さは150cm。フツーのウェブカメラ的なサイズだスタンド部を折り畳んで手に乗せたところ。携帯性も良さそうだ本体左右に2つのマイクを内蔵しており、音声をステレオで拾うことができる
スタンドを立てるとこのように机上に置いて使えるもちろんノートPCの液晶モニタへ容易にセットできるデスクトップ用の液晶モニタへもセットできる

 ウェブカメラとして使う場合、Logicool Vid HDSkype 5.0 Beta for Windowsほか主要なインスタントメッセンジャーを使って、HD720p画質のビデオチャットを楽しめる。あ、フルHD(1080p)は動画撮影のみって感じで、現在のところはビデオチャット(テレビ電話)でフルHD(1080p)画質は使えないんであった。

 なお、C910の各種機能を手軽に利用するためにLogicoolウェブカメラソフトウェアバージョン2.0が用意されている。ドライバ兼キャプチャユーティリティ兼ランチャ兼……てな感じの統合的なソフトだが、非常にシンプルに使えるので“C910の入り口”として役立つ。

HD720p画質に対応したメッセンジャーなどならC910を使ったハイビジョンテレビ電話を楽しめる。もちろん、普通一般のウェブカメラとして幅広くメッセンジャーなどに対応しているGmail Voice and Video ChatでC910を使用しているところ。カメラ側のピント/色調/明るさの自動調整が良好なので、高精細でないビデオチャットでも鮮明な映像が得られるLogicoolウェブカメラソフトウェアバージョン2.0のメインメニュー。C910での静止画/動画キャプチャをはじめ、さまざまなC910活用を手軽に行える

 ウェブカメラとしての使用感だが、どういった映像サイズでビデオチャットするにしても、C910のオートフォーカスやRightLight2テクノロジーなどの画質補正機能が良好に働いてくれる。

 たとえば暗めの部屋でフツー的なウェブカメラを使うと、光量不足でノイズが多かったりコントラストが低かったり色味がヘンだったりする映像になりがち。キレイな画質でビデオチャットをしようと思ったら、通常は十分な照明(光量)が必要なのだ。が、C910をはじめとするロジクール製ウェブカメラ(RightLight2テクノロジー対応品)だと、そーとーテキトーな照明でもわりとキレイに補正してくれる。

 あと、レンズ画角が78°と広角なので、ノートPCの液晶上部にセットしても、ユーザーのバストアップくらいは画面内に収まる感じ。画面にいろいろ入りすぎ、と思ったらデジタルズーム機能などを使って画角を狭くすることもできる。

読書や作業に適した十分な明るさのもと、C910を使っているところ。左がRightLight機能をオフ、右がオン
本を読むにはやや暗い状況下での例。左がRightLight機能をオフ、右がオン。暗い状況下では画質向上がよくわかる
室内の照明を消して液晶ディスプレイの光だけの状況。左がRightLight機能をオフ、右がオン。大した効果である

 ほか、ステレオマイクだが、まず音をしっかり拾ってくれること。今時のちょいとシッカリしたウェブカメラはみんなそうだったりするが、C910の内蔵マイクのみでフツーにボイスチャットできる。マイク付きヘッドセットがなくてもこちらの声がちゃんと伝わるってことですな。

 てなところで、まあロジクール製ウェブカメラのフラッグシップ機なので当然というか、サスガというか、ビデオチャットに使うには文句は出ないC910と言えよう。

汎用キャプチャカメラとしてのC910

 C910、パソコンに何でもどんどん取り込んじゃうカメラとしてもなかなか使える。たとえば手元にあるモノを画像にして誰かに送るという場合、デジカメだと撮影→PCへの転送という小さな手間が面倒であり「やっぱヤメた」のモトとなるわけだが、C910なら撮影した瞬間、静止画/動画ファイルがPC上に得られる。アレコレをサクッと画像化できてラクってわけですな。

 このよーなコトをするにおけるC910の良さは、まずは前述のようにオートフォーカスだったり暗い状況下でも良好な画像が得られたりする点。それからセンサ画素数が500万で、ソフトウェア処理による1000万画素クラスの静止画も得られること。高精細なんですな。

 さらに、意外なほど接写が利くところ。C910のスペック上、オートフォーカスでの合焦範囲は7cm~無限遠となっている。しかし実際に試すと、レンズ前面から3cmくらいまでピントが合う。オートフォーカスの機敏さや正確さはデジカメなどと比べてイマイチだったりするが、もちろん手動でフォーカスをキメることも可能なので、実質、超接写も現実的だ。

C910を汎用カメラとして使うには、Logicoolウェブカメラソフトウェアバージョン2.0が便利。ソフト上からピントなどの調整も行える説明書などの紙資料をザッと撮影してファイル化し、メールに添付して送ったりできる。簡易スキャナ、みたいなこんなハードウェアだヨ、的なコトを、そのモノを写真に撮って送って説明するようなこともできますな
C910は被写体にかなり接近しての撮影が可能。iPhone 4のRetinaディスプレイを克明に写せたりもモノの細部を手軽に撮影/画像化して利用できる。モノがPCの近くにあればデジカメ要らず!?ルーペ代わりにも使えたりして。実際、ここまで寄って大サイズの写真/動画で撮れるので、肉眼じゃ無理なサイズの対象も精査可能

 上のキャプチャはLogicoolウェブカメラソフトウェアバージョン2.0のもの。この後撮影すると、実際は指定したサイズの静止画/動画が得られるので、もっとずっと大きく高精細な画像が得られるということだ。

 ちなみに、C910で撮れる静止画/動画のサイズは大小各種類ある。具体的には、動画が320×240、640×360、640×480、864×480、1280×720、1600×1200、1920×1080ピクセル。静止画は640×360、640×480、864×480、1280×720、1280×960、1920×1080、2592×1944、3648×2736ピクセルとなる。

 ただ、動画も静止画も、その画質はデジカメやビデオカメラほどは良くない。より美しく高精細な静止画/動画を求めれるなら、やはりそれぞれの専用ハードウェアのほうが有利ってコトですな。

 とは言っても、1万円弱のウェブカメラでここまで撮れちゃうのは大したモンである。C910は汎用カメラとして仕事や遊びに使えて、さらに「メッセンジャーとかでコミュニケーションするとき“にも”使えるハードウェア」と捉えるなら、そのコストパフォーマンスはヒッジョーに高いと言えよう。

無線で快適にボイスチャット!!

 次にヘッドセットのH760。このヘッドセット、ボイスチャットやビデオチャットに便利な機能を備え、さらに音楽を聴くのにも向く機能を持っている。

 たとえばマイクは収納式で、出すとマイクがオンになり、収納するとオフ(ミュート)になる。ボイスチャット中、ケータイにちょっと電話入っちゃったとか、近くにいる別の人と話をするなんてとき、こちらの声をワンタッチでミュートできる(相手に伝わらなくできる)機能はヒッジョーに便利だ。ちなみにこのマイク、周囲の雑音を低減するノイズキャンセリング機能を持っているという。

H760はステレオヘッドホン+マイクといった感じのヘッドセット。PCとは付属の専用USBドングルで無線接続するマイクはこのように収納できる。収納するとマイクの機能が停止し、つまりこちらの声が相手に聞こえないミュート状態になる右側にはオーディオコントロール用のボタンなどがある。汎用的な無線式ステレオヘッドホンとしても利用できるのだ

 PC上の音楽や動画の音声をステレオで聴くためのオーディオ用ヘッドホンとしても利用できる。そのための機能として、ヘッドホン右側で音量調節や再生/停止などを制御できるオーディオコントロール機能(Windows Media PlayerおよびiTunesに対応)、それから内蔵イコライザを持つ。

 とまあイロイロと実用的な機能を持つH760だが、最強にイイのはワイヤレスであること。率直な話、ボイスチャットやビデオチャットの多くの場面でイヤホンやヘッドホンが必須じゃないスか。そこで普通のコード式イヤホンとか使うと線が邪魔じゃないスか。

 H760の場合、その「線」がナイのが良い。最初からわかってたことだが、非常に良い。線がキーボードの上にニョロッて来ちゃってイラっとするとか、PCからちょっと離れたトコロにあるモノを取るとき線がクイッと引っ張られてドキッとするとか、いちいちPCに線つなぐとか、そーゆーフラストレーションが一切ないのが最強に良い。

 てかソレならBluetoothヘッドセットとかあるじゃん。とも言える。が、H760はボイスチャットに主眼を置いたハードウェアである点が実用的だ。PCにUSBドングル挿すだけで即使用可能になるあたりから始まって、前述の収納するとミュートされるマイク、マイクの長さ/角度の適切さなど、ボイスチャットを快適に行える作りになっている。で、それに加えて、音楽“にも”使えるヨというのがPC野郎の拙者にとって汎用的であってナイスだと感じられた。

 でもまあ、フツーの人的なスタンスで考えると、高機能で無線式の利便は確かにあるけど、価格的にはもうヒトツなにかメリットが欲しくなるところかもしれない。どちらかと言うと、ボイスチャットなどをヘビーに行う人向けのH760かも、ですな。

2010/9/13 09:00