みんなのケータイ
SIMロック解除後のドコモ端末を海外使用する際の注意点
島田純
(2014/6/27 06:00)
普段使っている端末をそのまま海外に持ち出し、通信料を安くするための手段として、SIMロックフリーのスマートフォンは非常に便利です。日本国内では、ドコモがiPhoneやiPadなどの一部を除いて原則SIMロック解除に対応していることで、ドコモ端末をSIMロック解除して海外で使うことを検討する方も多くいらっしゃると思います。今回は、SIMロック解除したドコモ端末を海外で利用する際の注意すべき点について、筆者が実際に経験したトラブルなどをご紹介します。
まず1点目は、SIMロックを解除しても海外ではテザリング機能を利用できない機種があることです。ドコモのスマートフォンやタブレットでは、テザリングは原則としてドコモのspモードを契約時のみ利用可能な機能となっており、テザリング実行時はアクセス先がテザリング専用のAPNに切り替わるという仕様上、SIMロックを解除してもテザリングについては利用することができませんでした。
この仕様については、公式なアナウンスは無いものの、2012年冬モデルから一部機種では緩和され、ドコモ以外のSIMカードを利用中は、テザリング時のAPNが切り替わらない挙動となったため、例えばSIMロックを解除して海外のSIMカードを利用する際にもテザリングが利用可能となりました。
筆者が所有しているドコモ端末では、SIMロックを解除したGALAXY S4 SC-04Eを使って海外のSIMカードでテザリングが利用可能になったことを確認済みでしたが、改めて確認したところ、過去にテザリングが利用可能だったGALAXY S4と台湾のプリペイドSIMカードの組み合わせで、テザリングが利用できなくなっていました。ドコモから特にアナウンスはされていませんが、恐らくソフトウェア更新などのタイミングで仕様が変更となったものと推測されます。
少々ややこしいのは、最新端末であれば海外でテザリングが利用できる、あるいはできない、とはなっておらず、機種の世代に関わらず、機種によって利用できる機種とできない機種が混在している点です。例えば、石野純也氏も紹介しているようにXperia Z2 SO-03Fでは、SIMロックを解除後に海外のSIMカードを使ってテザリングが利用可能です。
ドコモの端末をSIMロック解除して海外で利用する際に、テザリングが利用できるかどうかは、利用予定の機種および、通信事業者のSIMカードでの動作報告の有無を確認することをおすすめします。
2点目は、理由は不明なのですが、海外のSIMカードを利用する際に、データローミングを有効にしないとデータ通信が利用できないケースがあることです。筆者が直近で経験したケースとしては、タイの通信事業者『DTAC』が提供する『Happy Tourist SIM』を、Xperia Z2で使用したところ、データローミングを有効にしないとデータ通信を行うことができず、また通信状態を示すアンテナピクトも正常に表示されませんでしたが、通話やデータ通信そのものは利用することが可能でした。
似たようなケースは、SIMロックを解除したGALAXY S4をマレーシアの通信事業者『Maxis』のプリペイドSIMカードで利用時も発生しましたが、このときはアンテナピクトは正常に反映されていました(2013年6月時点の情報)。
いずれの場合も、データローミングを有効にすれば通信そのものはできるので、致命的な不都合があるわけでありませんが、データローミングを有効にする理由は不明ですし、「データローミングを有効にしないと繋がらないことがある」という予備知識が無いと、解決することができないので注意が必要です。
3つ目は、インターネットにアクセスするための「APN」情報を知らないと、インターネットにアクセスできないことがあるため、事前に調べる等の準備が必要に点です。
海外で販売されているSIMフリーのスマートフォンでは、SIMカードを挿しただけで自動的にAPNが設定される機種も少なくありませんが、筆者の経験上、SIMロックを解除したドコモ端末についてはAPN設定が自動で行われた機種はありません。
APN情報については、プリペイドSIMカードを購入する際に確認することもできますが、例えばプリペイドSIMの購入場所がコンビニエンスストアなどの場合は、店員に十分な知識が無いこともあり得るため、渡航前に利用予定のプリペイドSIMでのAPN情報を調べておくことをオススメします。
このように、いくつか注意すべき点があるのは事実ですが、スマートフォンは現地情報が必要になる海外渡航時こそ非常に心強い通信手段であることは間違いがありません。海外渡航中の通信費を節約するための方法として、現地でのプリペイドSIM購入はとても有効なので、一人でも多くの方に挑戦していただければと思います。