みんなのケータイ

 6月は、世界的にイベントの多い月だ。台湾・台北で「COMPUTEX TAIPEI」が開催されたのを皮切りに、北米ではWWDCやE3といった開発者会議、展示会が開かれた。その翌週には、中国・上海で「Mobile World Congress」のアジア版に位置づけられる、「Mobile Asia Expo」が行われた。25日には「Google I/O」も開幕する。

台湾で開催された「COMPUTEX TAIPEI」と、上海の「Mobile Asia Expo」を2週間に渡って取材した
「Xperia Z2」のSIMロックを解除して、現地のSIMを挿すことにした。なぜGoogleを表示しているのかは、後述する
羽田の「ドコモ ワールドカウンター」。SIMロック解除の手続きも可能で、場所が場所だけに店員も手馴れている

 筆者は、このうち、台湾のCOMPUTEX TAIPEIと上海のMobile Asia Expoに参加、それぞれの発表会やブースを取材した。海外取材と言えば、海外に行くと、普段はメイン端末をSIMフリーの「Nexus 5」にして現地のSIMカードを挿しているが、今回はドコモの「Xperia Z2」を買ったばかり。まだそれほど使い込んでいない段階で、国際ローミングの電話の発着信だけを行うサブ端末にするのはもったいない。また、カメラの性能もいいため、撮ってすぐにSNSなどにアップロードしたい。そこで、Xperia Z2のSIMロックを解除して、現地のSIMカードを挿し、普段のドコモSIMをNexus 5に挿すことにした。

 とは言え、出張前はそれなりにバタバタするもの。約2週間日本を離れることになるため、あらかじめ済ませておかなければならない仕事も多く、うっかりSIMロックを解除するのを忘れてしまっていた。そこで、出張当日にSIMロックを羽田空港で解除。搭乗するのは朝イチの便だったが、ドコモのワールドカウンターが朝6時30分から開いていたため、無事にSIMロックを解除できた。

台北・松山空港の中華電信カウンター。大行列ができていたが、ほとんどは同時刻帯に到着した韓国からの客。SIMフリーが一般的な韓国人には、海外でプリペイドSIMカードを買うという行動が根づいているようだった

 そのまま飛行機に乗ること約3時間半、最初の目的地の台湾・松山空港に無事に到着した。松山空港には、台湾のキャリアである中華電信のカウンターがあり、ここでプリペイドのSIMカードが販売されている。到着してすぐに立ち寄ったところ、同じ時間帯の韓国からの便の客が大量に並んでいたが、店員がテキパキと処理を進めていたおかげもあり、10~20分ほどでSIMカードを入手できた。料金は10日間のプランで500台湾ドル(約1697円)。これでデータ通信が使い放題(HSPA+で接続される)で、通話用に100台湾ドルぶんの残高が残されている。あとは、APNを設定すればOK。店員に聞いたところ(日本語のまま)端末を操作し、設定もすぐに済ませてくれた。

 COMPUTEX期間中は特に大きな問題もなく、快適に使えた。通信速度は、借りていたアパートのWi-Fiより速かったぐらいだ。国際電話がかけられるのも、重宝した。また、Xperia Z2はSIMロック解除した状態で海外のSIMカードを挿すと、テザリングまで利用できた。一部不可の端末もあるようだが、この機種については問題ないようだ。このように台湾ではSIMカードの入手がとても簡単。ご飯もおいしいし(最後はちょっと飽きたけど)、人は親切だし、SIMカードは簡単に買えるし、COMPUTEXの会場は華やかだしで、また絶対に来ようと思ったのであった。

ご覧のように、COMPUTEXの会場はとても華やかだった
台湾名物の小籠包や、マンゴー雪花氷。「Xperia Z2」なら、「プレミアムおまかせオート」でもそこそこ美味しそうに撮れる。そして、実際おいしかった。ちなみに、夜市の写真を撮ってもノイズが少ない。写真のクオリティが分かるように、リンク先は無加工
中国聯通(チャイナユニコム)のショップ。上海ぐらいの都市になると、それなりに大きな店なら英語が通じる店員もいる

 次に渡った上海では、現地のSIMカードを使うのに少々手間がかかった。上海は虹橋、浦東ともに空港にはきちんとしたキャリアのショップがなく、SIMカードを入手するには街中まで出なければならない。ただし、そこまではほかの都市でもよくあること。大き目のキャリアショップに行けば、カタコトながら英語がしゃべれる店員もいる。中国ではW-CDMAの電波を持つキャリアが中国聯通(チャイナユニコム)1社だけのため、日本から端末を持ち込んだ場合、選択肢はほかにない。

 昨年もMobile Asia Expoで上海を訪れていたが、どうやらその時とはプランが変わっていたようだ。ここでは、100元(1635円)を払い、SIMカードを購入した。あらかじめSIMカードに500MBぶんのデータ通信が含まれているが、100元から定額料が引かれて残高が残る仕組みのようで、これを使ってもう500MB追加できた(少なくとも店員によると)。合計1GBのデータ通信を利用できるようになったというわけだ。APNの設定も店員に聞いた「3gnet」でOK。台湾と同じくHSPA+でつながり、サクサク通信できた。“一部のサイト”を除けば。

中国聯通の電波をつかみ、APNを「3gnet」と入力すると、インターネットにつながる
「金盾」によって、Googleにもアクセスできなくなっていた

 この一部のサイトというのが、やっかいだ。中国では国が巨大なファイヤーウォール、通称「金盾」で特定のサイトをブロックしている。以前から、FacebookやTwitterにアクセスできなかったのは有名な話だ。ところが、昨年はアクセスできたGoogleにも、今年はまったくつながらない。Googleのトップページはもちろん、GoogleカレンダーやGoogle Playにもアクセスできない。Gmail(仕事で使っているGoogle Apps)はかなり接続が不安定で、ほとんどメールをダウンロードできない。どうやら、金盾の制限を強化しているようだった。

 もちろん、金盾があるのは想定済みで、自宅にVPNサーバーを立てておいたのだが、この接続もプチプチ切れる。気づいたら切断されていることが多く、何か疑問に思ったらGoogleで検索しても結果が返ってこない。スマートフォンはもちろん、ホテルのWi-FiにつないだPCも同様だった。しかも速度が遅いため、仕事が捗らないことこの上ない。国際ローミングなら金盾が適用されないため、そんな問題は起きないが、滞在日数が多いと料金がかさんでしまう。通信が多いと思う日だけを国際ローミングにしたりと、節約の工夫をしたい。

VPNを接続し、端末のIPアドレスを日本のものに変えればアクセスはできる
なお、LINEなどのメッセージアプリはVPNなしでもつながるものが多い

 ちなみに、Mobile Asia Expoでは、ドコモが中国移動(チャイナモバイル)のTD-LTEで国際ローミングを行うデモを行っていた。1日最大2980円という海外パケット定額は割高ながら、VPN不要で高速なTD-LTEが使えるのはかなり利用価値が高い。これがもう少し安価だと、なおいいのだが……。ドコモ端末には現時点でTD-LTEが入っていないため、国際ローミングの方法は検討中だというものの、端末は現地で買おうと思えばいくらでも手に入る。中国新興メーカーの端末なら、価格も1万円台から。とりあえず端末はおいおい整えるということにして、すぐにでも始めてもらいたいサービスだと思った。

中国移動のTD-LTEで国際ローミングをするドコモの展示。端末が必要になるのはネックだが、それは何とかするので今すぐにでも始めてほしい