みんなのケータイ
SNSで簡単シェアの時代に写真をプリントする意味を考える
【iPhone 7 Plus】
2017年9月11日 06:00
クラウドファンディングサービスの「Makuake」で支援していた、「PRYNT POCKET」というガジェットが届きました。iPhoneに直接取り付けるプリンターで、ZINKペーパーという、名刺よりひと周り小さいくらいの感熱式の専用印画紙に、写真を簡単にプリントできます。iPhoneをインスタントカメラの「チェキ」みたいに使えるアイテムだと言えば、わかりやすいでしょうか?
ZINKペーパーを使ったモバイルプリンター自体は、ずいぶん前からあって、私もほかにスマホから出力できるLGの「ポケットフォト」というプリンターを持っています。また、さらに古いものでは、デジカメから出力できるポラロイドの「PoGo」や、タカラトミーのプリンター一体型デジタルカメラ「Xiao」なんていうのも持っていました。
ちなみにPoGoが発売されたのは、今から9年ほど前のこと。当時は今ほどスマホやSNSも普及していなかったので、写真はケータイで撮ってメールで送信するか、そうでなければ、その場でプリントして渡すのが手っ取り早かったのです。特に旅先などで知り合った相手に、一緒に撮った写真をプリントしてあげるととても喜ばれました。ZINKペーパーは裏がシールになっているので、プリクラ感覚で手帳に貼るといった楽しみ方もできるのですが、当時の私は主に写真をシェアするために、よくモバイルプリンターを持ち歩いていました。
それから時は流れて、今や写真はデジカメで撮るより、スマホで撮る機会の方が圧倒的に多くなりました。SNSも普及して、撮った写真をみんなに共有するのもめちゃくちゃ簡単になりました。こんなに簡単に写真をシェアできるようになったのに、今さら写真をプリントする意味はどこにあるのか。ペーパーレスの時代ですし、ひょっとしたらプリントなんて紙のムダという意見もあるかもしれません。
でも一方でチェキは今、フィルムを知らない若い世代に大人気と聞きますし、このPRYNT POCKETも、Makuakeで目標の2.5倍以上の金額を集めました。つまり、写真をシェアするという目的のほかにも、プリントには何か特別な価値があるということ。これは私見ですが、スマホの画面で見ているうちは単なるデータでしかない写真が、プリントした瞬間に手に取れる「モノ」になることも、大きいように思います。
さらにこのPRYNT POCKETには、プリントした写真を楽しむもうひとつの仕掛けも用意されています。専用のアプリでカメラを起動し、プリントした写真を映すと、なんとその写真が動き出すのです。
これは、iPhoneのカメラに標準搭載されている「Live Photos」の機能を応用したもの。ご存じのようにLive Photosは、シャッターを押した前後の動画を、写真と一緒に記録できるというものですが、アプリではその動画をプリントした写真の上に、ARを用いて表示できるのです。すでに撮影済みのものだけでなく、このアプリを使って同様の動画付きの写真を撮影をすることもできますし、ビデオを録画してそこから写真を切り出すことも可能。もちろん、ライブラリ内のビデオからも写真をプリントできます。
スマホから写真をプリントして手に取れる「モノ」にして、その手に取った「モノ」が動き出すおもしろさを、再びスマホで体験できるという2段構え。最近は360度撮影なども広がりつつありますし、スマホのカメラ機能もどんどん進化していますが、撮影した後にも写真の楽しみ方もまだまだあるなと、可能性を強く感じました。