みんなのケータイ

吸盤だ! 吸着シートだ! 強引感漂うマルチケースの世界にようこそ

【Qua phone PX】

 Qua phone PXで困るのは、専用ケースが全然売っていない、auオンラインショップで買うしかない、それが年が明けても変わらないというところ。Qua phone PXだけでなく、格安スマホ、SIMフリーのスマホなんてもっと大変だ。公式サイト以外でケースなんて見たことないぞ。いや、公式サイトにすらほとんど紹介されてないぞ、なんてレベルのスマホが山とある。

 いや、人気ブランドのスマホですら大小にサイズが分かれ、形状も違い、実は意外とケースの種類が少ない、そんな時代である。だが、そんな細分化時代のスマホユーザーたちの悩み、苦しみ、嘆きは「マルチケース」によって解決することに気付いた。

 その日、筆者は家電量販店を見渡し「今日もQua phone PX用ケースは無い!」と静かな確信を得て帰路についていたのだが、ドン・キホーテに立ち寄り驚いたのである。「なんだこのマルチケースの山は」と。

 ゆうに100種類はあるであろう「多機種対応」「全機種対応」を謡うマルチケース群。筆者、かぶりつきである。なるほど、ドン・キホーテのごちゃごちゃした店内に(それが楽しいから人気なわけだが)は機種別のケースなど置けやしない。専用ケースが並ぶのはiPhoneくらいだ。

 AndroidやWindowsのスマホユーザーはこのマルチケースを選べば専用ケースが無くとも選び放題である。……が、こういうケースは大抵「帯に短したすきに長し」というやつで、中途半端なケースになりがち。実際に使い確かめてみるしかない……。

 というわけで用意したマルチケースは6品。以下の通りだ。なお価格は近所のドン・キホーテのもの、税別。

今回のマルチケース。下段左から「グリコケミカル マルチスライドケース」「ラスタバナナ マルチブックケース」「エレコム P-02WDTBR」「テラ TB-ZKMS01-BR」「バリュートレード Pastel wallet Diary」、上段左「サンクレスト マルチダイアリーカバー」、右にQua phone PX

(1) グリコケミカル マルチスライドケース(Lサイズ) 1480円
(2) ラスタバナナ マルチブックケース(Mサイズ)2480円
(3) エレコム P-02WDTBR(Lサイズ) 1780円
(4) テラ TB-ZKMS01-BR 2880円
(5) バリュートレード Pastel wallet Diary(Mサイズ) 3900円
(6) サンクレスト マルチダイアリーカバー(ファー レオパード) 4480円

 安いもので980円、高いものでは5000円以上するものまで売っていたが、なにかしら工夫が見られるケースを選んでみた。なお、「多機種対応」「全機種対応」をうたっていても、4型と6型どちらのスマホに合うようなケースは無く、注意書きに適正なサイズは記載されている。今回は見た目でQua phone PX(5.2型のスマホ)に合いそうなサイズを選んでみた。

 これらの共通する特徴は、「吸盤((1)のケースのみだが)」や「吸着シート」でスマホの背面とケースをくっつける、という力技が用いられている点。そのため筆者が見た100種類ほどあるケースのほとんどが「ブックカバー」タイプである。

 上下左右側面がむき出しになるのはスマホの保護を考えると痛いところだが、ベルトでカバーを閉じるタイプは守りやすそう。イヤホンは挿しやすいが、電源ボタンや音量ボタンの配置によっては使いづらいかも。

 また、カメラを使うため、「吸着部分がスライド式」になっている。スマホを上にスライドさせるとケースからぴょこんとカメラ部分が出るわけ。

 ただし、(3)のエレコムのケースは、吸着部分が開く形になっており、持ち方を変えることで撮影ができる。分かりやすいが、ちょっと見た目は残念な感じだ。

 もうひとつ、(4)のテラのケースはなんと吸着シートが「回転」する。坂本ラヂヲ株式会社の「回転機構ミューラ」という技術だそうで、強引感漂うマルチケースの世界でスマートな解決方法を見せている。ただし、使い比べていると「普通に縦にスライドしたほうが分かりやすいかな」と思ってしまうのが辛いところだ。

 さらに細かい部分を見ると、ケースに折り目があるスタンド型、カードホルダー搭載(ICカード収納タイプもあり)、オシャレさんを意識したミラー付き、さらにサイフスペースあり(FeliCaではなく、普通に紙のお札や小銭が入る)、と各ケースに工夫が見られる。

 気になる“くっつき具合”だが、これが強力。吸着シートの場合、しっかりくっつけるのに力はいるが、くっついてしまえばスライドさせようが回転させようが外れない。手で外すときも強引にむしりとるように外すことになる。ただ、この吸着具合がどれくらい長続きするのかは不明。

マルチケースがどんなスマホにも対応できる秘密は、スマホの背面にケースをくっつけるから。グリコケミカルのマルチスライドケースは「吸盤型」
多くのケースは強力な「吸着シート型」

 吸盤型はやや外れやすいものの、カバーの開閉くらいでは問題ない。スタンド型で使用するなど、向きや使い方が変わると外れやすいので注意。が、これまた想像していたよりも強力な吸着具合だ。また吸着シートよりもアッサリ外れるので、スライド部分も壊れにくいのでは? と思っている(吸着シートはスライド部分ごとむしりそうで怖い)。

 もっとも、手に持った時のフィット感はどのケースも皆無で、大き過ぎたり、わずかに小さかったりと、どうしてもやはり中途半端感はある。専用ケースがあるのなら、やっぱりそちらを使いたくなる。

 だが、長い目で見ればスマホのケースを機種変ごとに買い替えるのはもったいないと思いません? とくにこれからは格安スマホへの機種変が多いから、毎回ケースで悩む人が増えるはず。マルチケースがあればケースを使い続けることも可能、財布に優しい……かもしれない(吸着具合次第だけど)。

テラのケース・TB-ZKMS01-BRは吸着シートが回転する
というわけでこんな風にニョキッとスマホが回転してカメラが現れる
多くのマルチケースは吸着シート部分がスライドする。スライドさせてぶら下げたところ。カメラ部分が飛び出ているのが分かる上、もちろんスマホとケースはがっちりくっついている
エレコムのP-02WDTBRは吸着シート部分がピラッとめくれる。これで撮影する。あと手前でボケているが、ストラップホールがある
バリュートレードのPastel wallet Diaryは内側にミラー、外側にサイフ(小銭やお札入れ)あり。
見た目のインパクト抜群のサンクレストのマルチダイアリーカバーも吸着シートがスライドする。カバンに見えるがケースなのだ。外側の毛は抜けやすいが意外と滑りにくくて寒い時期にいいかも。ただ持ち手となるチェーンが邪魔。内側に唇デザインのミラーあり