第494回:ドコモドライブネット とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


 「ドコモドライブネット」は、2010年11月からNTTドコモが提供している、自動車向けの情報提供サービスです。

 パケット通信できるモジュールを搭載したカーナビやスマートフォンを使って、ドコモ網で通信し、提供される最新のデータや情報などを受けることが可能になります。モバイルの特性を活かしたITS(Intelligent Transport Systems、高度道路交通システム)サービスの1つと言っていいでしょう。

 現在の対応機種は、三洋電機製PND(パーソナルナビゲーションデバイス)「ゴリラプラス NV-SP200DT」一機種のみですが、来年からはスマートフォン用のナビアプリなども対応する予定となっています。

FOMA網を使って、最新データを取得を

 このドコモドライブネットのサービス内容ですが、これを利用することによって、

  • ナビ用の地図データの最新化
  • リアルタイムな渋滞情報の受信
  • 駐車場満空情報の受信
  • オービス・取り締まり情報受信

など、通信を利用していつでも最新情報を入手することが可能になります。また、iモード携帯電話やPCとの連携も可能になります。

 ナビ用地図データは、都道府県ごとまたは5kmメッシュのスポット単位で最新の地図更新データが、ドコモのFOMAネットワークを利用して配信されます。ですから、いつでもリアルタイムに地図が更新可能で、たとえば、道路が新しく開通したその日に地図へ反映することもできます。

 また、交通情報といえば、カーナビではよくVICS情報が使われます。これは、道路交通情報通信システムセンターがFM多重放送とビーコンを使って配信している渋滞や交通規制などの交通情報データですが、ドコモドライブネットではこれに加えて「プローブ情報」による情報が配信されます。これは全国1万2000台相当のタクシーの走行データから作成される交通情報で、より広範囲、より高精度な渋滞情報の入手が可能になります。

 携帯電話とパソコンとの連携機能としては、ドコモドライブネットでは、パソコンやケータイで調べた情報や履歴をカーナビから取り込むことができるようになっています。ドコモドライブネットセンターでは、利用履歴を一括管理しており、カーナビから履歴をいつでも取り込むことができるわけです。

 これで、事前に調べた内容を、カーナビに取り込む際、SDカードを差し替えたり、手入力したりといった、これまでかかっていた手間を省くことが可能になるわけです。

 また、ドコモドライブネットでは、受信だけではなく、携帯電話の通信機能を利用していますので送信する機能もあります。その送信機能を利用しているのが「グループ位置共有」です。

 これは、あらかじめグループを登録しておくことで、ドライブネット利用者同士でお互いの現在位置をカーナビ上に表示できるという機能です。

料金プラン

 ドコモドライブネットを利用するには、月額使用料(315円)のほか、パケット通信料が必要になります。通信モジュールを内蔵したカーナビの場合、専用のパケット通信料金プランとして「ドライブネットプラン」「ドライブネットプラン フル」が用意されています。2年契約の「ドライブネットプラン割」に加入すれば、20万パケット(約24MB)まで525円になっています。

 「ドライブネットプラン」と「ドライブネットプラン フル」は、一定量の通信をした後の利用形態に違いがあります。「ドライブネットプラン」では、通信量が20万パケットを超えると通信が停止され、それ以上通信できなくなります。一方、「ドライブネットプラン フル」は段階制の料金になっていて、20万パケット以降は従量制で、46万パケットに達すると定額(5985円)となり、通信量に応じて利用料が変化します。

 ドコモがユーザーに提供する資料(パンフレット)では、モデルケースも掲載されています。それによれば、「平日毎日1時間」と「月に1度、片道2時間程度の小旅行」をする場合で、月間パケット通信量は約3万5000パケットとなります。また「平日毎日5時間、毎週末3時間のドライブ」で約17万パケット程度になると想定されています。どちらのケースでも20万パケット以内におさまると考えられているようです。

 



(大和 哲)

2010/11/30 12:04