第428回:EZニュースEX とは

大和 哲
1968年生まれ東京都出身。88年8月、Oh!X(日本ソフトバンク)にて「我 ら電脳遊戯民」を執筆。以来、パソコン誌にて初歩のプログラミング、HTML、CGI、インターネットプロトコルなどの解説記事、インターネット関連の Q&A、ゲーム分析記事などを書く。兼業テクニカルライター。ホームページはこちら
(イラスト : 高橋哲史)


EZニュースEXの画面

 「EZニュースEX」は、auの携帯電話向けに提供されるニュース/情報配信サービスです。2009年6月から提供が開始されています。

 KDDI・テレビ朝日・朝日新聞社の3社が連携して提供されており、その内容は、これまでの情報配信サービス「EZニュースフラッシュ」を拡張して情報を質・量ともに大幅に拡充したものと言えます。具体的には、天気や交通、エンターテイメント、スポーツ、生活関連などのニュースが配信されます。最短で30分ごとに配信されるニュースの内容は、定期的に自動更新され、いったん受け取った記事はパケット通信なしで閲覧できます。そのため、利用には月額262円かかるものの、基本的に通信料金は無料で利用することができます。

 2009年7月現在、「biblio」「T002」の2機種が対応しており、今後はさらに対応機種が拡大する予定になっています。

テレビの速報テロップと同時に配信

 「EZニュースEX」では、「超速報ニュース」「ストレートニュース」「動画ニュース」「アサマガ」「天気」「占い」「交通」など名称でニュースや情報が配信されます。

 このうち「超速報ニュース」は、テレビの速報テロップと同時にニュースが配信されるという速報ニュースです、携帯電話対応メディアとしては、仕組みの上でも、緊急地震速報などと並んで最も早くユーザーに情報を伝えられる手段の1つとなります。

 「ストレートニュース」は、朝日新聞社とテレビ朝日が取材した毎日200本以上のニュースが配信され、ニュースの質、量ともに、「EZニュースフラッシュ」を大幅に上回ります。最短で30分ごとにまとめて配信され、「MYニュース機能」で、好みの地名、人名、スポーツチームなどをキーワードとして登録しておけば、関連ニュースを優先的に表示するようカスタマイズできます。

 「動画ニュース」は、テレビ朝日と系列局が取材したニュース映像です。EZニュースEXでは、このようなデータもパケット通信料なしで配信できることが大きな特徴の1つです。蓄積型受信なので、たとえば、電車、地下鉄の中や、ビルの中で閲覧しても動画が途中で途切れてしまうことがありません。

 このほか、「アサマガ」は、毎朝配信されるニュースで、クーポンも配信されます。「天気」「占い」「交通」は、今日・明日の天気・気温情報、12星座の占い・ランキング情報、全国の鉄道遅延情報が提供されます。それぞれ、あらかじめ「利用地域」「生年月日」「利用路線」を登録しておけばユーザーに応じた情報が配信されます。ユーザーの住む地域など個人情報にあわせた情報配信と言えます。

BCMCSとBroadcastSMSを利用

 EZニュースEXの仕組みを一言でまとめると、「BCMCSを利用したマルチキャスト配信サービス」と言えます。

 「BCMCS」とは、“Broadcast/Multicast Services”の略で、auが採用している3G携帯電話の規格「CDMA2000」の1xEV-DO方式に含まれている技術です。基地局からエリア内の多くの端末に同時に情報を送信する「同報通信」ができます。

 つまり、1対1で多くのユーザーに情報を送るのではなく、同時に一斉配信しているのです。天気や占いなどの情報は、端末側でユーザーの情報に応じて必要な情報を取捨選択して表示しています。

 また、超速報ニュースに関しては、「BroadcastSMS(ブロードキャストSMS)」という技術を利用しています。BroadcastSMSは、緊急地震速報受信機能などでも利用されている機能で、業界団体の「3GPP2」で標準化されている規格です。

 BroadcastSMSは、ある特定のエリアにいる端末にのみ送信するというようなことも可能です。この仕組みを利用している「超速報ニュース」では、特定のエリアにいるユーザーにだけ、その地域の重要なニュースを号外で送信する、というようなことも仕組みとしては可能になっています。



(大和 哲)

2009/7/7 11:35