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豪華なマリオットに泊まって名古屋名物「ひつまぶし」を食す!
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


 都市がそこに住む人以外の出張を受け入れる数がどのくらいあるかといった統計は、筆者はまだ見たことがないが、基本的に東京近郊が日本で一番、それに続いて大阪、神戸、京都を含む関西圏、そして次が名古屋だろう。しかし、東京や大阪に本社のある会社に勤めていても、名古屋への宿泊出張は滅多にないと思われる。新幹線が日本全国をくまなく走り回り、別に頼みもしないのに、いつの間にか増発に次ぐ増発で「のぞみ」が「ひかり」に取って代わり、「何が便利なのか」、「単なる値上げ」なのか、頭の巡りの悪い筆者にはよくわからない状況が続く昨今だ。

 名古屋への宿泊出張は考えられなくても、週末や週の初めの出張なら、その前後を利用して名古屋見物をするのも悪くはない。1人で行くなら、インターネットの完備した適当な価格のビジネスホテルも気楽だが、普段あまり旅行や行動を共にできないワイフや恋人と行くなら、多少値が張っても、立地条件が良くて、それとなく清楚な雰囲気よりも、これ見よがし、あからさまにゴージャスなのが良い場合もある。米国内ではごく普通のマリオットホテルもここ名古屋では、駅前に超ハッタリの利いた巨大なホテルとしてそびえ立っている。


駅の近くにそびえ立つ豪華ホテル

マリオットアソシアホテルは名古屋の駅前の右のタワーにある
 仕事のある日よりも1日早く着いた名古屋駅から、本日の宿である「名古屋マリオットアソシアホテル」はすぐそばだ。新幹線の改札口を出て、駅のコンコースを在来線の側に少し歩き、ホテルのロビー階に上がるエレベーターに乗る。本来ならロビー階でチェックインを済ませるのが普通だが、高層階のコンシェルジェフロア利用の場合には、36階にある専用チェックインレセプションカウンターで、ゆっくりソファに座ってチェックインできる。

 快適さを売るホテルも商売だから、基本的に、ゲストが快適であればあるほど、高額な対価を要求される。ホテルに何を期待するかは、人それぞれであってしかるべきだろう。社の出張手当を少しでも浮かせてそれを飲み代にあてるも楽しい一案、会社の出張手当では決してカバーされないグリーン車やスーパーシートを自腹で利用して快適な出張をするのもまた一案、基本的に「待つのが嫌い」、「並ぶのが嫌い」、「混むのが嫌い」の3大嫌いな筆者は、いつも後で形に残らないモノにばかりお金を無駄に使ってしまっている。


15階にあるホテルの玄関口。外観は合理的でクールな印象 広大なロビー階には大きなレストランやコーヒーラウンジもある

15階にあるチェックインカウンター。時間によっては混み合う 36階にある高層階のコンシェルジュフロア専用チェックイン・レセプション・カウンター。座って落ち着いてチェックインできる

名古屋アメ横近所の鰻ごはん「ひつまぶし」

 落ち着いた雰囲気を壊すようにバタバタとチェックインを済ませ、タクシーで「大須観音」まで行き、お祈りを済ませてから、直ぐそばの「仁王門通り」を今回の最大の目的地でもある大正八年創業の「やっこ」という鰻屋に向かう。この近所にはパソコン関連を扱うお店が多く集まっている「名古屋アメ横」もあり、過去にも何度か訪れたことがあるが、友人から「やっこ」の存在を聞くまでは、両者がお互いにこれほど近所だとは全く知らなかった。休日には人通りも多くなるのかも知れないが、筆者が訪れたのは平日で、仁王門通りも人影はまばらだ。道をまっすぐ歩くと自然と「やっこ」に到着した。


タクシーで行けばすぐの「大須観音」大正琴発祥の地でもある 境内は大きく巨大な提灯は迫力。門前町の色彩を自然と感じる

 昔は、和食には余り興味もなく、贅沢にも鰻料理はどちらかと言えば嫌いな食べ物だった。しかし、鰻通に言わせると「それほどでもない」と必ず言われる秋葉原「神田川」の落ち着いた和室で、比較的こじんまりとまとまったデリケートで綺麗な鰻重を食べてから、なぜか鰻のファンになり、今回も名古屋に到着後、最初の昼飯は鰻と決めていた。うっかりすると、「ひつまぶし」ではなく「ひまつぶし」と読んでしまいそうな名前の料理が今回の「一飯」だ。昨今は何か事件があってテレビのニュースを見ていたりすると、「本当にそんなジャンルの評論家や識者が日本に居るのか!?」と思うくらい何にでも専門家のいる時代だから、その道の通に言わせると、間違っているのかもしれないが、「ひつまぶし」は、適度な大きさの塗りの「おひつ」に塊ではなく、ある程度の大きさに切り分けられた鰻の蒲焼きを使った丼だと思えば良いだろう。


仁王門商店街のなかにある「やっこ」。店の面構えが最高だ 目的の「ひつまぶし」。見た目は多いが美味で女性でも十分に平らげられる。食べ方のバリエーションが楽しい

 手慣れた雰囲気の名古屋のおばちゃんがお盆で運んでくる「ひつまぶし」は一見、ボリューム満点で、ひょっとしたら1人では食べ切れないと思うくらいの分量だ。小皿にのったお漬け物と、肝吸、トッピングとして、海苔、ネギ、ワサビ、それに急須に入っただし汁がほぼ同時に運ばれてくる。自称「ひつまぶし」の食べ方のプロによると、まず最初におひつを手前に引き寄せ、蓋を開け、指定のご飯しゃもじで鰻の乗っかっている表面をビザやパイのように十字に切ってほぼ均等に4分割する。そしてまずその内の1ブロックをご飯しゃもじで自分の茶碗に移し、何も付けずにそのまま美味しそうに食べる。

 続いて、隣の第2ブロックをお茶碗に移し、今度は、ネギときざみ海苔をトッピングして食べる。そして少し飽き始めた頃の第3ブロックは、ワサビにだし汁をお好みでかけ「お茶漬け」風に食べ、最後の第四ブロックは、今までトライした3種類のなかから一番気に入った食べ方でもう1度食べれば良いとのことだ。何事にも流儀のある日本、「鰻くらい自由に喰いたい」と思う人は、そんなことにはお構いなしに自分が最も美味しいと思う方法で楽しく食べるのがベストだ。しかし、何かをプラスしたり、食べ方にほんの少しの変化を加えるだけで、初めは、間違いなく多いと思った「ひつまぶし」をなんと最後にはたいらげてしまったのには自分でも驚きだった。


残念なブロードバンド非対応

コンシェルジュフロアの客室は広くてゆったりできる
 マリオットアソシアホテルの35階以上にあるコンシェルジュフロアの客室階は、エレベーターホールから客室に続くすべての通路扉にセキュリティロック装置があり、宿泊者が客室の磁気カードキーを入れないと扉が開かない仕組みになっている。

 客室料金は、近辺のビジネスホテルに比較すれば、約3倍近くはするので、客室の面積も遙かに大きいが、国際的な都市ホテルだと思えば、ごく普通サイズのツインルームだ。当然、すべてがインターナショナルサイズなので、バスタブや洗面もゆったりしていて、圧迫感は全くない。バスタブにつかってすぐ横の目の高さにトイレがあることはまずないだろう。


ツインルームだが、洗面はシングルユニットだ 35階以上のフロアはさすがに客室からの眺めは絶景だ

 しかし、IT関連はかなり遅れており、すでに国内の多くの都市ホテルがブロードバンド化を済ませ、客室の快適な有線インターネット環境整備を終え、さらにワイヤレスLAN環境のトライアルを検討しているホテルがあるのに対し、筆者が宿泊した時点では、この名古屋マリオットアソシアホテルの客室はデータポート付きの客室電話機があるだけだった。

 客室のスペース確保にはある程度限度があるが、年々豪華に、そしてサービスの充実も進んでいる昨今のビジネスホテルに対して、都市ホテルも何らかの手を打たなければ、特別なエクゼクティブではない大多数の出張ビジネスマン全員がビジネスホテルに宿泊する時代になるかもしれない。絢爛豪華な結婚式がドル箱の収入源だった時代は遠のき、不況の影響で大きなコンファレンスも国内では数が減り、都市ホテルも本来のお客様サービスを意識し始めている。ただ高級ホテルとしてのプライドもあり、闇雲に安い宿泊料金を提示するのも気が引ける。そんなジレンマを簡単に解決してくれるのが、「インターネット予約特別料金」だ。多くの日本の大手都市ホテルはこの新しい広告媒体を歓迎しているように見える。

 都市ホテルには、一見してビジネスホテルと異なる「小さな親切大きなお世話的サービス」がやけに目立つことがある。マリオットアソシアホテルのコンシェルジュフロアの全客室に標準的に装備されている「ファックス装置」もその1つだ。宿泊したホテルの客室でファックスを使うビジネスマンがどのくらいいるのか筆者には見当もつかないが、四角くて結構広い客室を遮るように大きく飛び出したファックスを載せたテーブルは通行の邪魔になる。安全性の面から見てもリスクが高く、インターネットやメールの一般化した現代において、これだけのスペースを割いて置くほどの機能メリットはないと考えるがどうだろうか。


使う機会は少ないはずだが、設置場所は一等地を占めるファックス 残念ながらブロードバンドには対応していない。モデムの56Kはちょっと時代遅れだ。早急な対応が必要だろう

 また、同じフロアにビジネスセンターの設備があるとはいえ、仕事を効率的に進めたいビジネスマンも宿泊対象と考えたコンシェルジュフロアの客室に、ネットワークへのゲートウェイ機器として、「データポート付きの電話機」しかないというのも、いまどき寂しい話ではないだろうか。マリオットクラスのホテルなら、客室やバンケットホールにはブロードバンド回線が来ており、ワイヤレスLANのトライアルが実施されていても不思議はないところ。ホテルのグレードから考えるに非常に残念だ。


ゆったり楽しむ、繊細で綺麗な朝食

 都市ホテルの朝は朝食で決まると言っても過言ではない。名古屋マリオットアソシアホテルには快適に朝食が取れるレストランが幾つかあるが、コンシェルジェフロアの宿泊客は専用チェックインカウンターと同じ36階にある専用ラウンジで、落ち着いた雰囲気で朝食にありつける。贅沢な食事ではないが、美味しいパンと美味しい牛乳が結構新鮮だった。ごく普通のビジネスマンが出張でコンシェルジェフロアのデラックスツインに泊まることは、一般的には「単なる贅沢」と映るかもしれない。しかし、その日の朝まで快適に部屋で仕事ができ、チケット予約をはじめとした雑務を電話1本で気持ちよく引き受けてくれるコンシェルジェが側にいてくれることを考えれば、あながち高いとは言えないだろう。インターネット予約なら割引のある特別料金が適用される。


コンシェルジュフロアに宿泊しているゲストは36階のコンシェルジュ・ラウンジでゆったりと朝食をとれる 米国系ホテルだが日本のマインドが融合されたきめ細やかで綺麗なホテルの朝食をゆっくり静かに楽しめる

今後、ブロードバンド対応はホテルの必須条件に

 ホテル選びは、ある時は自分の第2のブレインとなり働いてくれるモバイルPC選びとよく似ている。「自分には何が必要で、何が不要か」、「何に価値を見、何を切り捨てるか」明確な目的を持って選択することを考えても良い時代だ。しかし、客室のブロードバンドやワイヤレス対応はビジネスマンにターゲットをおく限りにおいて、今後は絶対必要なミニマム・リクワイアメントの1つになるだろう!


・ 名古屋マリオットアソシアホテル
  http://www.associa.com/nma/


(ゼロ・ハリ)
2001/12/06 18:34

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