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快適な工夫を凝らした下町のブロードバンドホテル「ホテル吉晁」
[2003/10/16]
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快適な工夫を凝らした下町のブロードバンドホテル「ホテル吉晁」
ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?
世界中の国際空港の中でも決して便利とは言えない「成田空港」へのアクセスに苦労している人は多いだろう。筆者も以前、横浜に住んでいる時には、なぜ羽田ではなく、成田なのか無性に腹の立ったことも多かった。午前中の早い便で海外出張に行く場合には、横浜方面の人は前日から成田か、箱崎TCATのある水天宮、人形町辺りの下町で1泊するのが最善策だろう。
箱崎TCATは成田空港へのアクセスだけではなく、国内各空港へのハブとなっている羽田空港へのアクセスにも意外と便利だ。国内の2大空港へのアクセス拠点であるTCAT周りには、大きなロイヤルパークホテルやその他のビジネスホテルも点在しており、宿泊には困らない。しかし、そうしたホテルはどこか風情に欠ける感じがしてならない。同じような感覚をお持ちの貴兄にベストなホテルがTCATのすぐ側にあるので、今回はそのホテルをぜひご紹介したい。まだまだ下町情緒を残しているスローな快適タウン、人形町にあるブロードバンド旅館「ホテル吉晁」だ。
水天宮前の大きな交差点。「ホテル吉晁」はここから徒歩5分
早朝成田組の定番宿でもあるロイヤルパークホテル
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マンハッタンの小さなホテルと共通する雰囲気の「ホテル吉兆」
昔は出張などでニューヨークに行くと、マリオットやヒルトン、ハイアットなどの大手ホテルチェーンに宿泊することが多かった。いずれも一流ホテルなのでそこそこ快適で、居心地が悪いわけはないが、帰国後しばらくすると、なぜか全く印象に残っていない。ビジネス出張の宿が印象深い必要性はないが、出張の間の全てが仕事というわけではない。やはりオフにはそれなりのインプレッションのあるオフタイムを過ごせるのが理想だろう。できれば毎回、何らかの印象深いトリップにするために、何度目かの出張から、マンハッタン地区での宿泊では必ずアッパーウエストやミッドタウンのこぢんまりした、エコノミーだが瀟洒なホテルに宿泊するのが当たり前になってしまった。
今回、ご紹介する「ホテル吉晁」は“旅館ベースのホテル”という印象が強いホテルだが、筆者がマンハッタン地区で泊まるアッパーウエストの小さなホテルとどこか共通点が多い。おそらくは、小さな規模ではあるがユニークな工夫を凝らし、ゲストを接客するそのビジネススタイルが、個性豊かな米国の小規模ホテルとよく似ているのだろう。「Hotel KITCHO」の通りに面した米国人のイメージする日本風のエントランスも、アッパーウエストのブロードウエイ77丁目辺りにあっても決しておかしくない雰囲気なのだ。
日比谷線「人形町」駅。「ホテル吉晁」はここからも徒歩5分だ!
どこかマンハッタン・アッパーウエストのプチホテルの雰囲気がある!?
地下鉄日比谷線の人形町駅や半蔵門線の水天宮駅から歩いても「ホテル吉晁」は目と鼻の先だ。人形町の交差点から浜町に向かって賑やかな通称「甘酒横町」を300メートルほど歩けばもうホテルに到着だ。途中には、豆腐で超有名な「双葉」や、行列の出来るたい焼きの「柳屋」など多くの下町グルメショップが軒を連ねている。人形町の交差点の反対側には、作家の向田邦子さんが通っていたと言われている喫茶去「快生軒」や、筆者はまだ行ったことはないが、有名な親子丼の「玉ひで」、他にも何代も続いているような美味しそうな洋食屋さんなどもあり、出張サラリーマンの夕食には困らないだろう。また安産の神様「水天宮」もすぐ近くだ。
鯛焼きにも「高級」があるのかどうか筆者は知らないが、有名な「柳屋」
向田邦子さんも通ったというレトロな快生軒。トーストとコーヒーが美味しい
お昼は観光客の団体で超満員になる「親子丼の玉ひで」。筆者は未体験
お参りする人が絶えない「安産の神様 水天宮」
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イントラネットへの接続も快適
「ホテル吉晁」の玄関を入ると、すぐ右側にチェックインカウンターがあり、そこで宿泊の手続きを済ませてキーを受け取り、客室にエレベーターで上がる。チェックインカウンターのすぐ横の階段で2階に上がると、そこは「割烹 吉晁」となっており、お昼も夜も、とても落ち着いた雰囲気で、リーズナブルな価格の懐石弁当などを提供している。筆者は今回、6階のエクゼクティブ・シングル(22平米)に1泊した。鉄の重い扉を開けると、少し縦長の洋室だが、正面に障子の入った和洋折衷インテリアで、かなり広く感じる洋間だ。
すぐに「ホテル吉晁」に到着。料理屋さんのようなチェックインカウンター
チェックインカウンターの横を2階に上がると、高級懐石料理店
ゲストルームの中で最も大きな面積を占めているのは「L字型に配置された広大なデスク」だ。正面のメインのデスクの上には「HPNA」(Home Phoneline Networking Alliance)のコンバーターが用意されており、そのユニットを介して、DHCP設定を済ませたイーサネットポートのあるモバイルPCなら、イーサネットケーブルだけで即座にインターネット接続が可能だ。筆者は自宅のネットワーク設定のままで、すぐにインターネットに接続でき、メール連絡など、仕事の続きを効率的に行なうことができた。
L字型の大きなデスクが圧巻のエクゼクティブシングルは22平米
普通のビジネスマンならメインの机だけでも十分なはずだ
またセキュア・ネットワークを使用して、オフィスのサーバーにも問題なく接続でき、イントラネットへのアクセスも快適だった。HPNAは国内外の多くのホテルでも採用され、既にテクノロジー的にもこなれたネットワークシステムなので、ユーザー側にあまり技術的な問題は発生しないとは思われる。しかし、念のためということだろう、利用者のための簡単な「接続マニュアル」が各客室に備えられている。
ホテルのインターネットでは見かけることの多いHPNAボックス
背面からのイーサネット(カテゴリー5)のケーブルでPCと接続する
超高速とは言えないが、ビジネスをするには十分なスピードと安定感
もしもの場合のインターネット設定マニュアル
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ユニークで便利なサービス
インターネット環境はもちろんのこと、この「ホテル吉晁」のユニークな点はまだまだ多く、いずれも客室にある案内に詳しく紹介されている。まずは、「古今亭志ん生」の落語CDがなんと50枚もあって、希望する宿泊客にCDプレーヤーと共に貸し出してくれるサービスだ。1泊で全てを聞くことは間違いなく不可能だが、連泊客や常連客は、宿泊の度に客室で続きを聞くことは可能だろう。また、宿泊予約時に依頼すれば、BOSE社のラジオを貸し出すサービスもある。こうしたユニークで便利なサービスがファンを増やし、リピート顧客の増加の秘訣なのかもしれない。
2番目に筆者が惹かれたのは、5階のエレベーター横に設置されている「スモール・ライブラリー」だ。もちろんホテル内に作られたライブラリーなので、学校や公共の図書館のように膨大な書籍があるわけではない。しかし、出張先や自宅から大きく離れた場所で、ポカンと空いた隙間時間のある時に読んでみたい、と思うような本がうまく取り揃えられている。宿泊中に読み終えられなかった場合は、後日返送することを条件に、気に入った書籍の持ち帰りも可能なのだ。
部屋に用意されていた落語CD貸し出しの案内とゲストサービスの一覧表
5Fのスモール・ライブラリーと書籍
また、全てのゲストルームにはVCRが用意されている。筆者もはじめはその意味がよくわからなかったが、書籍と同じく、いろいろなジャンルのビデオテープが同じスモールライブラリーに数多くストックされているのだ。これまで国内外のホテルに数えられないくらい泊まったが、こういうサービスを行なっているホテルは、皆無ではないものの非常に珍しい。筆者は、出発の朝このサービスに気づき、サンドラ・ブロック主演の「デンジャラス・ビューティー」を見損ねたのが未だに残念でならない。
そして、最後のビックリは、宿泊客がゲストルームのベッドの上にあらかじめ用意された枕以外に、好みの枕を選べるスーパー・サービス、「快眠枕工房」だ。6階のエレベーターホールのすぐ横にある「快眠枕工房」には、内部の素材や高さの異なる枕が数種類以上用意されており、実際の枕に自らの手のひらや指先で触れてみて、最も気に入った“最良の枕”を自室に連れ帰ることができる。これなら、自宅と違う枕だとなかなか寝付けない、という人も少しは安心ではないだろうか。これ以上のサービスをするなら、各ゲストのお気に入り枕を次回の宿泊日まで預かる「マイピロー・キープサービス」しかないだろう。
同じく5Fのスモール・ライブラリーに用意された映画のビデオテープ
好みの枕をチョイスできる「快眠枕工房」(6F)
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朝食はホテル1階にある「常瑠樹」がおすすめ
お気に入りの枕で快適な朝を迎えることができたら、朝食はホテルの1階にあるカフェレストラン、「常瑠樹」(ジョルジュ)にしよう。筆者は朝食付きのパックではなかったが、チェックイン時に朝食20%オフのサービス券を頂いていたので、それを利用して和朝食をとった。このクラスの朝食を食べて、割引券効果で1,000円でお釣りがくるならベストバイと言えるだろう。春先なら、カフェの表通りはきっと桜が綺麗なはずだ。朝の柔らかい光が爽やかに差し込む「常瑠樹」は、出張先でのこれから始まるハードワークのプランを練る場所として最適だろう。
グローバルな大型ホテルチェーンや、純国産のビジネスホテルチェーンでの出張に飽き飽きした出張族の諸兄に、江戸は人形町「ホテル吉晁」は日本の新しいホテルサービスの痛快さを体験させてくれる、ほんの少しリッチな“ブロードバンド旅籠”だ。次の東京出張やディズニーランド・ファミリー・ツアーの宿泊先候補に入れてみるのはどうだろうか?
では、また次回まで はぶふぁん!
通りに面したカフェレストラン「常瑠樹」(ジョルジュ)。朝の光が爽やかだ
割引券活用で、1,000円でお釣りが来る和食屋さんの「和定食」
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URL
ホテル吉晁
http://www.kitcho.co.jp/japanese/index.html
(ゼロ・ハリ)
2003/10/16 16:11
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