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第24回:「You’ve Got Mail」ロケ地、NYアッパーウエストに宿泊
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ゼロ・ハリ 「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か? |
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「さくらラウンジ」で手ぶらでメールチェック
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窓際のインタ?ネットコーナーは比較的空いている
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成田空港出発ターミナル内の日本航空「さくらラウンジ」は以前もご紹介したが、「タイヤを履いた呼び名を知らない電車」で移動する出島のようなもう一方のターミナルにもある。このさくらラウンジは、搭乗直前までリラックスできるので、混雑することが多いようだ。この日も結構混み合っていたが、幸いにも窓側のインターネットコーナーだけは2~3割の埋まり具合だ。早速、国内最後のメールチェックを行なおうと鞄から愛用のパソコンを出し、壁面に備え付けのモジュラーケーブルをパソコンのモデムポートに繋いだ。
ちょうどその時、筆者のすぐ隣の席に、女性が座り、筆者の横に置いてあったラウンジ備え付けのThinkPadの前に座ってホットメールをチェックし始めた。よく見ると、このパソコンはモデムケーブルではなく、本体のPCカードスロットにどこかの「IEEE802.11bワイヤレスPCカード」が挿入されていた。海外ではすでにアメリカン航空などのラウンジでワイヤレス接続が一般的に広まりつつあるが、すでに日本でも試用している航空会社があるとは、この時まで知らなかった。プロバイダーによっては制限もあるが、フリーメールの代表である「ホットメール」でログインした後、自分の加盟しているプロバイダーのPOPサーバー内に届いたメールを見に行く事も可能だ。
自称、「モバイルの達人」がモバイルPCをバッグから取り出し、電源を入れ、モジュラーケーブルを接続して、ピロピロピローと通信をスタートするまで、頑張っても約5分。それがさくらラウンジではパソコンすら持たない女性が席に着いて、即座にハイスピード・インターネットをする時代になってしまった。みんなから白い眼で見られた「昔のオタク」は今や「ただのヒト」。「テクノロジー」とは、努力による格差をなくし、未成熟な製品に対して「お金を注ぎ込み、努力を重ね、研究して、人柱となって付き会う」という往年の「オタクマインド」を失せさせる「先進技術」の事に違いない。
そんなことを考えている内に搭乗時間となり、ニューヨークJFK空港までの12時間はいつもと同じく、ほとんどモバイルPCは出る幕はなく、座席にコンセント(イン・シート・パワーサプライ)の設置サービスがない日本航空で、代わりに無料貸し出しサービスをしているというエナックス社の「パワーバッテリー」をまたもや借りそびれてしまった。結局、オンデマンドで放映される洋画を4本見て、その間に食事やスナックをとっていると、すでに到着の時刻となってしまった。たった1本のロードショウをみんなで、楽しくありがたく見ていた昔と異なり、自由に自分の見たい時刻に見たい映画を見て、その間にビデオゲームなんかをやっていれば、昔は超退屈な12時間だったが、今では、それほどく苦痛では無いと感じる人も増えたことだろう。
映画「You’ve Got Mail」のロケ地の中心にある「On The Ave Hotel」
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ブロードウェイに面し、ロケーションは抜群だ
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今回のホテルは、出張期間中の週末に歩いて「自然史博物館」に行くために、アッパーウエストにある「On The Ave Hotel」というごく最近全面改装されたホテルを選んだ。建物そのものは結構古いが、奇麗に改装され、最上階には東西両面にテラスを備えた低価格のペントハウス型普通客室まで増設している。インターネットで予約をしてから気が付いたが、この周囲は、ちょっと前に日本でも話題になった、メグ・ライアンとトムハンクスが共演した「You’ve Got Mail」のロケ地の中心になったところらしい。
マンハッタンには、クラシックな内外装のホテルと、それと対局にある現代的なホテルが両立して存在している。内装や外装の化粧直しを必要とする多くの旧型ホテルは、改装後、経費の問題かトレンドからか、内装は後者のイメージのホテルが多い。「On The Ave Hotel」もそんなホテルのひとつだろう。全てにわたって直線が主流となり、無垢の木材とステンレスというミスマッチな素材を上手く調和させた、日本ではお目にかかれないタイプのインテリアだ。部屋はバスや洗面、ワードローブ等のユーティリティを配置した廊下が、リビングルームとベッドルームを接続する、比較的米国ホテルにはよくある間取りだ。
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建物は結構古いがハイテックなイメージに改装されている
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あまり広くないロビーだが、心地よい都会らしさが溢れている
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デザイナーはステンレスとウッドの組み合わせが好きらしい
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ダブルのキングサイズベッド周りも豊富にウッドが使われている
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両方の部屋にテラスがあり、リビング側のテラスからは、すぐそばに自然史博物館、その先にはセントラルパーク、そしてアッパーイーストの街並が見える。反対側のベッドルームからは真下にブロードウェイの通りが見え、その少し向こう側にはハドソン川を隔ててニュージャージーの街がクッキリと見える。夜景はさほど奇麗ではないが、昼間はセントラルパークが見えてとても落ち着くリビングルームだ。
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客室の入り口を入るとテラス付きのリビングルームだ
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リビングからは自然史博物館やセントラルパークが見える
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NY初心者も気軽に楽しめる、お勧めお散歩コース
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4ドル99セントでたっぷりの朝食を提供してくれるホテル向かいの飯屋
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部屋に居ながら近所のレストランから出前を取って食事をすることもできるが、近所に格安のレストランが多くあるので、散策も兼ねて周囲数ブロックを歩いてみると良いだろう。
ホテルの正面10秒には、「マンハッタン・ダイナー」という24時間営業の格安レストランがある。このホテルに泊まっていたまる2日間、毎日この店で朝食をとったが、たった4ドル99セントで、日本では絶対ない、お代わり自由の超美味しいオレンジジュースとコーヒー、カリカリベーコンやソーセージと好きな卵料理にトースト、膨大な量のバターとジャムが付いてくる。
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豊富なお惣菜も揃う、ニューヨークで最高にクールなスーパーマーケット
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ブロードウェイの通りを少し北に上ると、左側角に「You’ve Got Mail」の中で、トム・ハンクスがレジ前でクレジットカードを使えず店員ともめているメグ・ライアンを救うシーンの撮影が行なわれた、今やマンハッタンで最も有名なスーパーマーケット「ゼイバーズ」がある。ごく普通のスーパーマーケットの機能と超たくさんのチーズや数えきれないくらいのお惣菜を販売している1階と、キッチン用品を所狭しと並べた2階のフロアの対比が見ているだけでも楽しいお店だ。
筆者はこの2階で、プリンタ付きでたった99ドルで販売されていた日本のブラザー工業製の「キッチン・コンピューター」を散々悩んだあげく、帰国時の荷物のことが頭をよぎり、遂にあきらめたが、今だに残念でならない。使うアテは全くないが次回見つけたら絶対に買おう。
ブロードウェイ79丁目の角をセントラルパークの方に曲がってしばらく進むと、左側に休日なら必ず混み合っている「カフェ・ラロ」というお店が見える。スクリーンでは、メグ・ライアンが未だ見ぬメル友を1人で待つカフェだ。小さな階段を数段上ってお店に入るのですぐにわかるだろう。店の前の通り沿いに映画のスチール写真が数カット、コメント入りで掲示されている。世界中のブレックファーストを楽しめるユニークなお店だ。アパートの多いこの辺りには、毎朝、犬を散歩させている人も多い。ニューヨークでも日本と同様、犬の糞の後始末をしない人間がいるらしく、通りのあちこちに貼られた「罰金・最高100ドル」という看板がやけに目立っていた。
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通りに面した鉄柵を握って揺らすトム・ハンクスが思い浮かぶカフェラロの正面
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真の愛犬家のために、日本でも同じような罰則を設けるべきだろう
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カフェ・ラロからさらに東に歩くと、目的地の1つである「自然史博物館」に辿り着く。周囲には自然の野鳥が多く、牛乳パックをくり抜いた少しミスマッチとも思える手製の「えさ箱」がやけに周囲に馴染んで感動的だった。自然史博物館の見学を終えたら、すぐ脇からセントラルパークに続く静かな遊歩道を歩いてみよう。少し歩くと凶弾に倒れたビートルズのジョン・レノンのモニュメントである「ストロベリー・フィールズ」に辿り着く。地面には「IMAGINE」と書かれた碑があり、道路を隔てたすぐ前に、ジョン・レノンが住んでいた「ダコタアパート」がある。初めてニューヨークに来た人でも簡単にアプローチできる、お薦め散歩コースの1つだ。
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何度行っても感動のある自然史博物館。「恐竜」大好き人間には最高だ
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ただ潰して捨てていた牛乳パックにこんな使い方があったのか!
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遊歩道のロータリーの真ん中にイマジンの碑はある
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有名なダコタアパート、プラザホテルと同じ建築家がデザインしたらしい
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タイムズスクエアのブルース・レストランでくつろぐ
少し気分がマイナーになっただろうから、セントラルパークの小路をコロンバスサークルまで南へ通り抜け、今度は、昔は多少物騒だった地下鉄に乗って「タイムズスクエア」まで行こう。タイムズスクエアには、大小さまざまなミュージカル劇場や、以前ご紹介した世界最大級のインターネットカフェである「easy Everything」があるが、今日の目的はブルースギターの王様である「B・B・キング」がマネージしているブルースレストラン「ルシール・グリル」だ。すでに全世界でチェーン店展開をしている日本でもお馴染みの「ハードロック・カフェ」や「プラネット・ハリウッド」と同じような仲間なのだ。
地下にあるグリルはウッディな造りで、ステージ付きの大きなものと、ごく普通のレストラン風の2種類がある。大きなグリルの方は、有名なアーティストのライブがある時は非常に混雑するが、ごく普通の日は、レストラン風のグリルでビジネスマンなんかも余裕でランチを食べられる雰囲気だ。メニュー構成もポピュラーで日本人でもメニューとにらみ合う時間は少なくて済むだろう。残念なのは、すでにかなりの高齢で、愛用のギターである「ルシール」を抱えた本命B・B・キングのブルースライブが聞ける機会は滅多にない、ということだろう。いまや有名になり過ぎたハードロック・カフェのように種類は多くはないが、「B・B・キング・グッズ」も売られている。まだまだ日本ではマイナーな分、目立ち度は高いだろう。
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駅の圧迫感は昔と変わらないが、落書きが無くなって見違えるほど綺麗
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「キング・オブ・ブルースギター」B・B・キングは今でも最高のプレイヤーだ!
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JFK空港でいつも立ち寄る鞄屋「Pen」
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ハートマン好きはぜひ覗いてください。めっけもんがある時も!
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月曜日は、日曜日の疲れを感じながらなんとか朝から仕事を済ませ。火曜日の朝一番にホテルからJFK空港に向かう。日本から来る時と同じような重苦しい天候だが、ホテルで呼んでもらったごく普通のセダンのタクシーは、道路事情からか、ラ・ガーディア空港の脇を通過して約1時間程でJFKに到着した。JALを利用する時は、搭乗待合所に向かう大きな通路のすぐ脇にいつも立ち寄る「Pen」という鞄屋さんがある。日本航空の使用しているターミナルはJFKの中でも小さい方で、手荷物チェックを受けた後はほとんどお店がなく、このPenとあと2~3軒のお土産もの屋さんだけだ。筆者の場合、結局何十軒お店があっても興味のあるのは書店と文具、鞄屋さんだけなので、まったく不自由はないが、食事などをするなら間違いなく、手荷物X線チェックの前の2階フロアだろう。
「Pen」は小さなお店だが、ハートマン社の鞄やその周辺を多く展示・在庫している。空港内のお店なので、当然のように定価販売が基本だが、時には思わぬ出物もあるので必ずチェックはしている。つい先程、場内アナウンスが入り、ほんの少し飛行機の出発が遅れるらしい。帰りも機内では映画三昧になりそうだ。毎回、邦画以外はそのほとんどを見ているような気がする。お陰でここ十年以上、国内で映画館に行った記憶がほとんどない。機内での楽しみができたので、皮肉なことだが、モバイルPCの電池駆動時間が延びるのに比例して、機内でパソコンを使う機会が逆に減ってきている。
では、また次回まで、はぶふぁん!
・ ニューヨーク On The Ave Hotel
http://www.ontheave-nyc.com/
(ゼロ・ハリ)
2001/07/27 00:00
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