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第19回:ロコにも人気の健康ランド「札幌ジャスマックプラザ」
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


長年親しんだJALから全日空のマイレージ会員になった!

 筆者は、東京から札幌や福岡へ出張に行くときには、つねに日本航空を利用していた。ところが、ちょっとしたことから、国内外での利用航空会社をすべて全日空に変えたいと思えるほど、筆者にとっては大きな事件が起こってしまった。実は、VISAゴールドカードとしても、JALマイレージカードとしても頻繁に利用していた「JALカード」の引き落としのタイミングに、年に1回だけ自動引き落としされる別項目がVISAカードの決済日より早く引き落とされたために、多少の残高不足となり、実際のVISAカードの請求金額が落ちなかったことに気がついた。当然これはまずいと思い、カード発行会社である株式会社ディーシーカード社(DCカード)に事態を報告し、その指示に従い、1時間後にはマイナス額を振り込みに銀行窓口まで行ったにもかかわらず、DCカードから、1週間のカード使用を差し止められてしまった。

 状況から見て、筆者に非があるのは明らかではあるが、残高不足を自己申告して即刻、不足金額の銀行振込み処理もした結果の対応が、カードの1週間差し止めではどうも割に合わない。結局、JALには思い出も愛着もあったが、航空会社もクレジットカードも全日空に切り替えることとなった。

 この時は国内に居て、他のクレジットカードもあり、支障はまったく無かったが、運が悪ければ、ロス郊外のセーフウェイでその日の買い物をしていて、クレジットカードで支払いをする段になって、初めて自分のクレジットカードが使用差し止めになっていることを知ったかもしれないのだ。こんなことでは安心して海外出張もできない。

 顧客サービスより、システムの判断をクールに優先処理するのも企業方針のひとつだとは思うが、もしそうなら、顧客から残高不足で引き落とし不可能であったことを電話で申告される前に、カード会社の方から残高不足によるカード使用停止を、不良顧客にできる限り速やかに通告して欲しいと考えるのはおかしいのだろうか? 結局、長く親しんだ航空会社をも変更する決心が簡単についてしまった。しかし今回は、年会費が高いゴールドカードの意味が実際にはほとんどないこと、VISAカードのように多くの発行会社から何種類も出されているカードでは、その発行会社によって、サービスや顧客対応は全く異なること、などを勉強できたので、それだけでも十分意義はあったと考えている。

 生まれて初めて国内で乗った全日空69便は夕刻の羽田空港を飛び立ち、定刻に千歳空港に無事着陸した。札幌市街までは、季節によっては停車するたびに心地よい冷気がスースーと通る混み合ったJR線に30分強乗ることになる。


地元っ子にも人気の「札幌ジャスマックホテル」

 筆者の札幌の定宿は本来なら朝食の時に出る自家製パンの美味しい「札幌グランドホテル」なのだ。普通に個人がこのクラスのホテルに宿泊すれば、首都東京ならきっと相当の宿泊料金を吹っかけられるだろう。実際に地方から東京に宿泊出張に来るのは大変だと大阪の友人から聞くことが多い。筆者は札幌に行くことも比較的多く、今回はオーディナリーないつものホテルではなく、温泉があって料理も美味く地元の人にも人気があると聞いた健康ランド的ホテル「札幌ジャスマックプラザホテル」に泊まることにした。

 札幌ジャスマックプラザホテルは、札幌の繁華街であるすすき野のはずれにある。メインの通りからちょっと奥に入った閑静な場所だ。その外観からは大浴場や露天風呂まで備えたホテル(健康ランド?)とは思えない構造だ。筆者が訪れた昨年の12月初旬は、雪こそ降っていなかったが、少し前に降った大雪で、道路の端にはかき集められた雪で何個も小山が作られており、雪が降らない分寒さが身にしみる夜だった。


外観からは露天風呂のあるホテルとは思えない

確かに並みのホテルではない面構えではある


無敵バンドでホテル内を縦横無尽

正面扉を開けて一歩入ると2階に上がる階段もある。どちらがチェックインカウンターか悩む瞬間だ。ロビーは1階なのだ

 ホテルのチェックインカウンターは1階の正面奥にあり、チェックインと同時にルームキーと翌日の朝食券、そして腕にはめる腕時計のベルトだけのようなゴムの腕輪を受け取る。この腕輪は宿泊客がホテル内にいる限り身の証をたてたり、恩恵に浴する時に必要な「無敵のバンド」なので無くさないことが肝心だ。もちろん、日本全国に点在する健康ランドと同じく宿泊客だけではなく、ロコの人が入湯料を払い、日帰りで「湯香卿」(TOH KA KYO)と名づけられた温泉にだけ来ることや、宴会とのパックでここを利用するビジターの数も多く、ご当地札幌での人気も上々だ。これらビジターは宿泊客とは区別して、通りから2階に直接上がる階段を利用して入るようになっている。

 この日宿泊した部屋は都市ホテルでは良くある「ツインルームのシングル使用」だったが、部屋に入ってまず目に付いたのは、ベッドの上の浴衣と羽織、そして驚いたのはその脇の床にきちんと置かれた一組の「雪駄」だった。デスクの上に置かれてあるホテルの支配人の挨拶文にも、ホテル内では、これらを着用して歩き回って良いと記載されている。客室を一歩でも出たホテルの廊下は表通りと同じ、と考える一流都市ホテルの様に、部屋にチェックイン後、忘れ物をしてホテル内ではあるが部屋の外に買い物に行くにも、裸足で靴、ネクタイ無しのスーツ姿という締まらない格好にならなければならない窮屈さと面倒を考えると、これは意外と快適なのかもしれない。

 食事の前に早速「湯香卿」温泉とやらをトライすべく、浴衣と羽織を着て、慣れない「雪駄」を履き、忘れずに腕に「無敵のベルト」をして、エレベーターでまず2階の受け付けに下って行く。温泉は3階にあるはずだが、どうもエレベータでは直接3階に行くことが出来ず、例え宿泊客であっても、ビジターであってもまず2階のカウンターで入湯の為のチェックを受ける必要があるようだ。受付で「無敵のバンド」を示し、雪駄をロッカーにしまい、裸足で階段をワンフロア上ると、そこには殿方用とご婦人用の大浴場があった。

 普段、家族や友人達と温泉に行く機会も少なく、子供の頃にも銭湯に行った思い出もあまり無く、国内外でもビジネスホテルや都市ホテルに宿泊することが殆どの筆者にとって、札幌ジャスマックプラザホテルの湯香卿温泉はなかなかインパクトがあった。大きな温泉にはもうもうと湯気が立ちこめ、パワーのあるシャワーと豊富なお湯、大きな湯船はどんな超一流のホテルでも味わえない贅沢だ。地下には美味しい和食レストランもあるらしいが、残念ながらその日は仕事の関係でゆっくりとそこで食事をすることができなかった。


部屋はごく普通のホテルのツインルームだ

2階に上がると入湯ビジターの受け入れ口になる


3階にある男性用大浴場の入り口

机も、冷蔵庫も、食器置き場もごく普通


ネット対応に配慮も欲しいが、似合わない!?

ただの電話。モジュラーを抜いてネットワークは問題無く接続可能

 地の利も、温泉も、食事も良いことだらけの札幌ジャスマックプラザだが、残念ながら、インターネットへの対応は特に意識しているとも思えず、客室には通信専用のモジュラージャックも特別に用意されてはいない。また最近は多くのホテルで見ることのできるデータポート付きの電話機も設備されていなかった。

 しかし、室内の電話機のモジュラーケーブルを簡単に引き抜いて、パソコンのモデムポートに接続し、外線への接続番号として「0」(ゼロ)をモデムのプロパティとして登録するだけで、難なくダイヤルできるのでまず問題はないだろう。暖かい室内から窓の外を見ると、夕方から降りだした雪が瞬く間に積もって、雪よけされていた道路はあっという間にまた真っ白になってしまった。かなり冷え込んできて、表を歩く人も少ないのか、ホテルの周囲は静かで、遠くでチェーンを装着した車の走り去る音が鈴の音のようにフェードアウトしていくのが聞こえる。


国内のホテルではお決まりの外線「0」(ゼロ)で設定は終了

30kbps近くでそこそこ快適にネットワーキングができた


 温泉独特のマイルドな湯かげんでいつもより早くぐっすり眠り、目覚めた朝はやけにお腹が減ってしまうものだ。札幌ジャスマックプラザホテルの朝食は、チェックインの時に選択した和洋食のうち、どちらかのメニューの食券を持って、4階の大広間ですべての宿泊者が時間こそまちまちだが、同じ場所で食べる修学旅行の様なシステムになっている。湯香卿温泉と同じく、エレベーターを2階で降りて、今度は階段を2フロア上って行く。うっかり者の筆者は雪駄を履いたまま4階まで上がって叱られてしまった。3階~4階は裸足が原則なのだ。久しぶりに大広間の座敷のお膳で洋定食を食べるのも、ごく普通のビジネスホテルや都市ホテルの朝から食べ過ぎ気味のビュッフェ形式や決断力の要求されるアラカルトメニューの朝食と違って趣があって良いものだ。

 実際に宿泊する迄は、間違いなく女性には受けない宿泊施設だと決め込んでいたが、実際に朝食の段になって意外と若い女性のグループが多いことに驚いた。札幌ジャスマックプラザホテルは、有名なインターネット系の宿泊斡旋サイトからも予約は可能だが、人気があり、なかなかリザーブできないことが多い。単身での宿泊出張よりグループでの出張や旅行、宿泊型の宴会に向いているだろう。この日に、筆者が泊まっていることは誰も知らないはずなのに、その後伝え聞いた話によると、札幌のあるグループがやはりここで宴会をしていて、知らないうちにどこかで見つかっていたようだ。今回は珍しく美人のアシスタントを連れていなくて良かった。これからはもっとマイナーで密かな宿泊施設を探し出そう。どうもメジャーは危険が一杯だ……。


怪しい雪駄が意外と快適、無敵バンドは着け続け、雪駄は要所で脱ぐことが肝心

大雪になりそうで、翌日の飛行機便が心配に……


大広間に島のようにお膳が整然と並べられている

プリセットされたどちらかと言えば和風の「目玉焼き朝定食」のようだ。スープやパンがやけに不似合いかも……でも結構満腹になった


・ 札幌ジャスマックプラザホテル
  http://www.jasmac.co.jp/hotel/jasmac/frame_access.html
・ 全日空
  http://www.ana.co.jp/


(ゼロ・ハリ)
2001/04/13 00:00

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