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第20回:週末のSOHOで映画“ハンニバル”の台本を買うニューヨークのプチホテル「ホテルジラフ」
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


航空会社のラウンジでインターネット

変わった外観のニューヨークのホテル

 今回筆者の利用した便は、ラッキーにもJALのニューヨーク直行便で、日本出発は昼12時過ぎだった。途中多少の遅れがあっても、同日の午前11時前にはJFケネディ空港に到着する予定だ。人生においては一瞬ともいえるが、2時間ほど得をする計算になる(もっとも、帰りの便で返すことになるが)。

 各航空会社は、ビジネスクラス以上の顧客や、各社が組織している頻繁に航空機を利用している優良会員の為に搭乗迄の時間をゆったりと過ごせるラウンジを用意している。

 米国系の航空会社から始まったことだが、日本航空でもラウンジにはインターネットできる環境が提供されて始めている。今回は搭乗までに時間があったので、比較的空いている第2ターミナル本館のラウンジを利用した。このラウンジでは「ビジネスセンター」が別室で用意され、部屋の中にはインターネット接続されたIBM製Aptivaが2台と、ISDN公衆電話が用意されている。ここで用意されたパソコン上では基本的にブラウザしか使用できないので、あらかじめhotmailなどに転送設定しておいた自分宛のメールを見るか、hotmailから自分のPOPサーバーを見に行く設定を一時的に行なう必要がある。

 理想的には前者だが、プロバイダーによっては筆者のDreamNetのようにhotmailやLycosmailなどの無料メールアドレス宛への転送サービスをしてくれない場合があるので、プロバイダーを選ぶ時に注意が必要だ。同じ日本航空でも出発ゲート側のラウンジでは、窓側にパソコンコーナーがあり、搭乗待ちのお客は自分のモバイルPCを備え付けのRJ-11ジャック経由でインターネット可能だ。海外のラウンジなどと同様に、一部でIEEE 802.11bのワイヤレスアクセスの提供も始まっている。


日本航空の成田メインターミナルの待合いラウンジは空いていて快適だ

成田のビジネスセンター。パソコンがなくてもhotmailなどを使ってメールを送受信できる


JFケネディ空港のJALラウンジ。もちろん、コンセントもある。ラウンジの中だけならモバイルPCのシェアの75%がThinkPadだ

同じくJFケネディ空港。ゆっくり静かに仕事をするならビジネスセンターの中がベストかも……


ブロードバンドアクセスが普通になりつつある米国ホテル

何度経験しても感動的だ。マンハッタンが近づきエンパイアステートビルが見え始める

 到着間際のJFケネディ空港は雨模様で煙っていたが、タクシーに乗り込む頃には晴れ上がり、クイーンズミッドタウントンネルを潜ってマンハッタン島に渡る頃には、高層ビル街がうっすらと見え出してきた。

 10年前のニューヨークとは異なり、乗客が別途支払う通行料金を除き、空港からマンハッタンまではメーター走行ではなく35ドルの一律料金となった。市の職員の監視も厳しく、昔のように、料金に関するトラブルもめっきり減っている。

 今回のホテルは、どちらかと言えばマンハッタン南部にあるパークアベニューの27番地だ。マンハッタンにはホテルが多く、たとえタクシードライバーといえども、相当有名なホテルは別にして、すべてのホテルの名前と場所を把握しているとは期待できない。目的地に向かう場合は、XY座標である「通りと番地」を指定するのが確実だ。幸いにも、マンハッタンの大部分は、京都や奈良のように計画された碁盤のような街なので、ピンンポイントの指定は比較的楽だ。

 今回宿泊したホテルは、最近では日本国内でも注目されることの多い「プチホテル」系だ。「ホテル ジラフ」は道路の真ん中に小さな緑地帯のあるパークアベニューと27番地ストリートの交差点北東角に立つ。レンガ色の「シマウマ」模様が目印だ。非常にこじんまりしたチェックイン・カウンターで手続きを済ませ、案内された部屋はパークアベニューに面した2階の角のダブルルームだった。何度もニューヨークには来ているが、10階以下の、それも2階に泊まったのは初めてだ。客室は居間と寝室に分かれ、その間の短い廊下沿いにバスルームとユーティリティーがある。居間も寝室も窓が多い設計のためか、高層ビル街の間にあるホテルの2階ながら、意外と圧迫感は感じない。窓際から聞こえるパークアベニューの喧騒が、かえって開放感を感じさせる部屋だった。


<P ALIGN="LEFT">ホテルジラフはパークアベニューに面した比較的小さなホテルだ</P>

ロビーも広くはないが天井が高く明るく清潔だ。朝はここで無料のコンチネンタル・ブレックファーストが食べられる


客室に入ると最初にゆったりとソファが置かれたリビングルームがある

リビングから寝室に向かう廊下の左右にバスルームやユーティリティコーナーがある


 寝室に備え付けの広いワーキングデスクの上には、米国ではお馴染みになっているハイスピード・インターネットのための専用イーサネットポートが用意され、正面の窓からはパークアベニューを走る車と人が見える。イーサネットポートは、プロバイダーは異なるが、アクセス方式や使い方は以前このコラムでもご紹介した「サンフランシスコのシャノンコートホテル」などにあるものと大差ない。日本国内でも最近は見かけるようになったが、もはや米国ではブロードバンドの普及はごく普通の感覚なのだ。筆者の泊まった客室には居間にもイーサネットポートが用意されていた。


サイドテーブルの上にはハイスピードインターネットのジャックが用意されている

ベッドの前の大きな机の上にもイーサネットポートが用意されている


早速快適なインターネットでメールチェックと近所の散策ができる

窓の下はパークアベニューを行き交う車や人が見える。窓を閉めると嘘のように静かだ


観光客に人気のSOHO界隈を散策

SOHOでは、ビルの壁面も見逃せないキャンバスだ。昔の広告も上手く生かしたG-SHOCKの広告はセンス抜群

 ホテルジラフでは、宿泊料金に朝食サービスが含まれており、朝から結構ボリュームのある快適なコンチネンタル・ブレックファーストにロビーでありつける。満腹になったら、腹ごなしにちょっと近所の散策に出かけてみよう。リスと犬の走り回る小さなマディソンスクエアパークを横切ると、マンハッタンでは有名なランドマークになっている「フラット・アイアンビル」と呼ばれる角っこが超薄いビルが見える。このあたりから数ブロック離れたエンパイア・ステート・ビルディングの眺めも抜群だ。

 ホテルジラフからなら、少しがんばれば日本人観光客の定番コースとなっている、SOHOにも歩いて行ける。ご存じのようにSOHOとは、「ヒューストン通りの南側」という意味から名付けられたが、最近は、この通りの北側という意味でなんとNOHO(ノーホー)という呼び名もできたらしい。もちろん、「万年お上りさん」を自認する筆者は、そんな場所には足を踏み入れた事もないので、何があるのかも知らない。その話題の場所には、近い将来「メジャーになる可能性のある何か」があるのだろうが、それを言い出したら、ニューヨークそのものが、どこにどんな可能性があっても不思議では無い街だ。


ホテルから少し歩くと有名なクラシックなアイロン型をしたフラット・アイアンビルがある

5番街の27丁目くらいから7ブロック北にそびえるNYのランドマーク「エンパイアステートビル」


 SOHOには、通りに沿っていろんな露天があって、風景写真や、エッチング、油絵、アクセサリーなど見ているだけでも楽しいモノが多い。手あたり次第買っていたら、それこそ帰国時にはサムソナイトのトランクの上に乗っかても蓋が閉まらない状態になってしまう。いろいろ欲しい気持ちを抑えながら、この日は、米国で公開が始まったばかりの映画「ハンニバル」のタイプ打ちの台本を買った。SOHOを少し過ぎると、オリエンタルテイストな中華街からトリコロールなリトル・イタリーへと続くが、このエリア、どう見てもエイジアンな中華街がイタリアを侵食して見えるのは、アジア人である筆者のひいき目なのかもしれない。


日本ではまだ公開前だったが、映画ハンニバルの台本をSOHOの露天でゲット

ウエストブロードウエイをキャナルストリートまで行くと国籍不明の街になる


インターネットカフェは国際都市ニューヨークのゲートウェイ

ニューヨークのパチンコ屋ならぬ、インターネットセンター「easyEverything」

 予約してあったミュージカルを見るために、夕刻には地下鉄でタイムズスクエアに戻った。「インターネットカフェ」と呼ぶより「インターネット パチンコ屋」と呼んだ方がお似合いの「easy everything」の前は、いつも人であふれている。

 千台近いパソコンがパチンコ台のように規則正しく並べられ、表通りに利用を待つ人があふれているのは、日本のパチンコ屋の開店風景を思わせる。パソコンの世帯普及率も高く、500ドルを切ったパソコンが市場にあふれている米国で、わざわざブロードウエイまで来て列に並んで、安価にインターネットするにはそれなりの理由がありそうだ。旅行者や訳アリの長期滞在者が、Webサーフィン目的ではなく、故郷の外国に安価なインターネット電話をする光景がよく見られる。日本国内のトレンド誌に紹介されるような「クールなインターネットカフェ」のイメージだけが「easy everything」ではない。ここは巨大都市ニューヨークから、遠く離れた故郷へのゲートウェイ・センターでもあるのだ。

 ではまた次回まで、はぶふぁん!






・ ニューヨーク ホテル ジラフ(1泊325ドル~2500ドル)
  http://www.hotelgiraffe.com/


(ゼロ・ハリ)
2001/05/02 00:00

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