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第18回:国際空港のゲートウエイホテル「南海サウスタワーホテル」
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


サウスタワーホテルは大阪ミナミで最も高層のホテル
 大阪の南の中心は「難波」だ。難波は地下鉄御堂筋線と南海本線、南海高野線などが集まる大ターミナルであり、歩いて10数分以内の距離に、通天閣や道頓堀、吉本興業のメイン劇場、金龍ラーメン、豚饅の蓬莱、日本橋電気街など、昔と変らない「なにわ」(浪花)らしい名所や劇場、飲食店などの全てが揃っている。大阪の南で仕事があるときは難波が宿泊には便利だ。とりわけ関空へ日本の各地から飛行機で到着するなら、ラピートで30~35分で南海「なんば駅」に到着してしまう。南海サウスタワーホテルは名前の通り南海電車のなんば駅の上にそびえる高層都市ホテルだ。

 ホテルは高層なので、附近のどこからでも見えるが、初めての人にはホテルへの入り口が意外と見つけにくい。また地価の高い場所ゆえ、スペースの必要なロビーは上位の階に設定されているので、エレベーターに乗っていく必要がある。実際には、多くのアプローチの仕方が提供されているが、ラピートを利用して南海なんば駅に到着したら、長いエスカレーターに乗って地上1階まで下って、直に建物を回り込むように左側に曲がれば、目的の南海サウスタワーホテルのロビーへ上がる集合エレベーターへ向かう入り口が見つかる。しばらく通路を進むと、何台かの集合エレベーターが見つかるだろう。


南海電車のホームの上に位置するベストロケーション エントランスは多少わかりにくい。エレベーターで6階のロビーへ

晴れた日は金剛山、生駒山の山並みも望める

 大阪では、梅田を中心とする繁華街を「キタ」と呼び、難波を中心とする南の地域を「ミナミ」と呼ぶことが多い。その区分けで言うならミナミ以南には高層のビルが見当たらず、南海サウスタワーホテルで南向きの客室に宿泊したなら、北側の客室のようにネオンの夜景は拝めないが、晴れていれば遠くに和歌山県との県境にあたる金剛山や奈良県との県境にある生駒山や信貴山までの山並みが見える。この日も筆者がチェックインした夕方には雲が低く垂れ込めてはいたが、雲の切れ目から差し込む太陽の光が独特の雰囲気を演出してくれていた。

 大阪の秋葉原にあたる日本橋(にっぽんばし)に、秋葉原にある石丸電気や九十九電器がないように、東京の秋葉原にもなぜか上新電機やニノミヤムセンという電器屋さんは出店していない。日本橋ではこの2つの大手の電器屋さんがお互いにテーマカラーをつけてかなり昔から販売合戦を演じている。上新電機は「ブルー」、ニノミヤムセンは「レッド」だ。南海サウスタワーホテルの客室から見てもこの2色の勢力分布がよくわかって面白い。


南側の空は広く、通天閣や遠く金剛の山並みまで見える 日本橋の電気街は古くから青赤のバトルが名物だ

シングルでも圧迫感を感じない客室

 多くの大手都市ホテルでは、1人の宿泊予約の場合、たとえシングルルームの予約でも、実際に用意された部屋の数や比率の関係で「ツインルームのシングル利用」になるのはよくあることだが、今回は珍しく予約通りのシングルルームに宿泊した。シングルルームとはいえ、その占有スペースは通常のビジネスホテルの部屋よりかなり大きく圧迫感や閉塞感は全く感じない快適なスペースだ。備え付けのデスクもデスク本来の使い方ができる面積を十分確保してあり、ネットワーク接続専用のモジュラーコネクターもデスクのサイドに別に用意されている。

 国内の多くのホテルでも最近はモジュラージャックを別に備えたり、モジュラージャック(データポート)付きの電話機を室内に備えたホテルが増えてきてはいる。しかし、なぜかモジュラージャックの近くにACコンセントがない場合が多い。南海サウスタワーホテルはその点、デスクの前にACコンセントがあり、側面にもACコンセントとモジュラージャックがペアになったネットワーク用のプレートを採用している。ネットワークユーザーに対するサポートは心得ているようだ。


シングルにしては広く窓際の椅子に座って関空から到着するラピートが見える ベッドも大きくはないが、快適に安眠できる硬さだった

デスクの面積は広く快適に仕事ができる デスクの側面にはACコンセントと専用データポートがある

大阪ミナミのお勧めテイクアウト「551蓬莱の豚饅」

本家のひとつ、「551蓬莱の豚饅」551の数字と赤い箱が目印
 翌日は朝からホテル近くでミーティングがあり、その後、飛行機で仙台まで移動しなければならない。いろいろ準備もあり、ゆっくり夕食をしている時間もないので、何かテイクアウトを買って部屋で食事をすることにした。地方のビジネスホテルでこのような状況なら、やむを得ず近所のコンビニの場所をフロントで聞き、おにぎりと少しのパックおかずを買って帰るのが常套手段かもしれないが、大阪「ミナミ」にはもっともっと美味しいものがある。大阪名物であり、筆者の知る限り世界中で一番美味しい「551蓬莱」の「豚饅」がそれだ。東京地方では「豚」という言葉にどことなく抵抗があるのか、上品に「肉まん」と呼ばれているらしい。東京にも美味いモノは多いが、こと豚饅に関しては残念ながら全く勝負にならない。新大阪や関空の「551蓬莱」のお土産ショップの長蛇の列に並んでいるのは、決して地方に単身赴任している大阪原人だけではないのだ。

 ただし、一口に「蓬莱」といっても大阪には同名の3つのお店があり、その内2つが「豚饅」を現在も販売している。「蓬莱本店」と「551蓬莱」の2店がそれだ。もともと同じ店だが、戦後の火事をきっかけにして3つのお店に分けて兄弟がそれぞれお店を持ったらしい。551の名は昔、大阪の難波あたりの電話局番号がまだ3桁だった時に551だったことに由来すると筆者は記憶しているが、ひょっとすると間違いかもしれない。2店の「豚饅」は明らかにその味は異なり、筆者は圧倒的にジューシーな「551蓬莱」の大ファンだ。この晩もホテルから道路1本隔てただけという近場にある「551蓬莱」に行って、出来たてを買い、部屋でウーロン茶1本とエコノミーだけれど美味しいディナーを、仕事をしながら1人で明るく済ませてしまった。


鉄人28号に乗って関空に行こう!

 なんばから関西空港に行くには、南海ラピートで決まり。交通手段をあれこれ考える必要がないので楽だ。なんば~関空間を2種類の特急が30分間隔で走っている。ラピートαは毎時00分になんばを出発、ノンストップでジャスト30分後に関空まで到着する。ラピートβは毎時30分になんばを出発し途中、堺や岸和田などいくつかに停車し、それでも35分で関空に到着する。ラピートβは途中下車できるのでラッシュ時の通勤電車に使うビジネスマンも多いようだ。

 なんば~関空は普通席で1400円だが、あと200円だけ追加すると、座席のゆったりしたスーパーシートを利用できる。以前は、300円プラスで、車内にあるクーラーから好きな飲み物を自由に飲めるサービス付きだったが、いつのまにか100円の値下げとクーラーの撤去がされていた。大阪のおばちゃんがたくさんのウーロン茶を持ち帰るのが頻繁だったので、改定されたという噂を聞いたことがあるが、大阪生まれ育ちの筆者としてはノーコメントにしておきたい。

 ラピートは、そのユニークで人を喰ったスタイルが何より抜群だ。このデザインを採用する勇気のある鉄道会社は東京地方にはまず無いだろう。「群青色」という表現がぴったりの濃い青の車体、それに似合う「鉄人28号」のような特異な面構え、SF小説に登場するノーチラス号や海底軍艦に採用されていそうな「丸い窓」、安いのか高級なのか判断に迷うような木目調のインテリア、思わず猫科動物の毛皮を連想するシートの柄、いずれをとってもチャレンジャブルなエレメントの集まりであるこの車両デザインには喧喧諤諤意見が絶えないだろう。見せかけだけのクールさや、目立たなさだけに重点を置いて、鉄道は走れば良いというコンセプトで作られたような、特徴のない成田エキスプレスには、これらの楽しさのある演出をぜひ学んで欲しいものだ。21世紀、既に“クール”は格好悪いことなのだ。


鉄人28号そっくり! 思わず売店でミニチュアモデルを買ってしまった 1人席は座席の幅も前後の間隔も広くモバイルワークにも快適。PHSの感度はいまひとつ

丸い窓は、古き良き時代のSF小説に登場しそうな雰囲気だ すいているラピートのスーパーシート車両。たった30分なので全車両禁煙で快適

 予定通り、筆者の乗ったラピートαは、14時30分に関空に到着した。仙台行きの飛行機まであと45分だ。今回は日本にはたったの2機しか輸入されていない小型のCRJカナディア・リージョナル・ジェットなので、機体まではバスで移動らしい。では、続きはまたいずれ……はぶふぁん!

関西空港 関西空港
関空も国際線は結構満員だが、国内線は便が飛び立った後は暫く怖いくらい無人だ



■URL
・南海サウスタワーホテル
http://www.southtower.co.jp/
・ラピート
http://www.nankai.co.jp/traffic/kix/rapit/index.html
・551蓬莱
http://www.551horai.co.jp/



(ゼロ・ハリ)
2001/03/30 00:00

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