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第13回:古都金沢でタイムトラベラーになる
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ゼロ・ハリ 「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か? |
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金沢を訪れたのはなんと十数年振りだ。以前訪れた時には、JR金沢駅前には、ホテルと言えば昔からあった「金沢 都ホテル」だけだったと記憶している。今回は、前日に名古屋で仕事があり、続いて金沢への陸路の移動だった。鉄道の路線に詳しくもなく、特に際立った興味もない筆者は、馴染みの薄い街への出張になると、御多分に漏れず、「トラナビ」等のパソコン路線検索ソフトに頼ることとなる。
■ 特急しらさぎで名古屋から金沢へ
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名古屋からは特急しらさぎが直通で便利だが、車両の老朽化はかなりだ
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名古屋から金沢などというとんでも無い経路になると、ともすると、いったん新幹線で東京へ戻って、飛行機で、と考えたり、一度大阪まで行って、そこから、昔、金沢に行った時のように「特急雷鳥」に乗ろうなんて考えてしまう。今回は路線検索ソフトのお陰で、なんと名古屋始発、金沢経由で富山まで行く「しらさぎ」という筆者のまったく知らない「特急列車」がある事を発見できてしまった。
普段、狭い家に住み、狭いオフィスで窮屈に働いている筆者は、常に出張期間中だけでも優雅に過ごしたいと考えている。そのため、出張期間中の移動手段には、必ず鉄道のグリーン車や、航空機のスーパーシートに席を確保している。「特急しらさぎ」は名古屋が始発駅なので、列車は出発の10分以上前には名古屋駅のホームに到着しており、ドアは開き、乗客待ちの状態であった。なぜか普通車はやけに空いているのに、グリーン車は満員なのだ。「窮屈はイヤ」と考える人間が、同じことを考え、意志に反して集まってしまうという、新幹線でも時々ある珍現象だ。かくして新幹線等と比較すると老朽化が激しく進み、価格の割に清潔感やゆったりスペース感の殆どない、混み合ったグリーン車に乗って、特急は一路金沢に向かった。
途中、新幹線では何度も通過したことのある米原駅で、車両はごく普通に先頭車両からホームに突っ込み、そのまま向きを変える事なく、全ての乗客が慣れた手付きでいっせいに自分達の座っていた座席を180度反対方向に回転させる。簡単な車掌の感謝のアナウンスと共に「特急しらさぎ」は何もなかったようにスイッチバック体制で再び古都金沢を目指し、最終目的地の金沢には、名古屋を後にして約3時間後に到着した。
■ 都市総合開発が進む金沢の全日空ホテルに泊まる
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同じ全日空ホテルでも東京の半額以下で、内容は東京より遙かに上。都市ホテルの価値は地方にアリ!?
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古都金沢は現在、JR金沢駅を中心に都市総合開発のまっただ中だ。ホテル等の多い旧市街地とJR線をはさんだ反対側には、公共の建物を集中的に配置する副都心計画が進んでいるようだった。また旧市街地側には、今回筆者の宿泊した全日空ホテルのほか、歴史のある都ホテル、超高層のホテル日航、その他、ガーデンホテル、ホリデーインなど、こんなにあって経営がなり立つのかと思われるほど多くのホテルが駅前の目抜き通りに集中している。
比較的小振りな全日空ホテルに比べて、高層のホテル日航は巨大で存在感はあるが、下層階はオフィスフロアで、ホテルそのものの規模は大差ないだろう。市内巡回のレトロバスや空港特急バスも全日空ホテルから目と鼻の先に停留所があり、もちろんJR駅にも最も近く、チェックアウト後、ベルデスクに荷物を預けて出発間際までエンジョイできる点は全日空ホテルが圧倒的に優位だろう。
筆者は、例によってウェブ上の「旅の窓口」でシングル1泊朝食付きを1万1000円で予約したが、昨今は、どうも安いと言われているインターネット予約よりまだまだ安い大口顧客用のパッケージ予約もあるようで、同僚は向かい側のより高価格のホテル日航を、大手旅行代理店経由で、同じく朝食付きで1万円で予約していた。どちらにせよ、都内なら3万円近いクラスの部屋が金沢ではその3分の1の値段で利用できるのはありがたい。都市ホテル系列ではよくあることだが、今回の筆者が泊まった全日空ホテルも、予約はシングルルームだったが実際はツインルームのシングル利用となった。ロビーに入って驚くのは、そのインテリアや雰囲気が東京溜池にある東京全日空ホテルと余りにもそっくりな事だ。
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ホテルニッコー金沢と金沢全日空ホテルが向かい同士で対決、便利さは全日空が一枚上
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見るからに全日空ホテルだと分かる色合いとインテリア
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■ 清潔、快適なゲストルーム。しかしACコンセントの位置が…
案内された14階のゲストルームの中は清潔、快適でスペースもまずまず十分だ。ただ驚いたのは、ベッドサイドにある電話機がモジュラージャック付きのデータポートではなく、長期滞在のハッカーが不法に改造したような、私設データポートのようなモジュラージャックが電話機底面から分岐されていたことだ。丁寧に「パソコン通信」と書かれているので決して長期滞在のハッカーの仕業ではないだろう。全ての宿泊客が使うか使わないか分からない物に大きな設備投資を避け、実質的に解決する方法としては妥当なソリューションなのかもしれない。
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都市ホテルとしては標準的なサイズのツインルームだが、清潔で快適だ
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少し奥行きが狭いが、簡単なデスクワークの可能なコンセント付きのデスク
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生まれて初めて見た、二股ベア・モジュラー・コンセント
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ゲストが間違わないように「パソコン通信」と記載されている
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データポートは確保できたが、困ったのは、ベッドの枕元の側にはACコンセントがまったく無いことだ。モバイルノートは充電池で駆動するので、一般的にはコンセントは必要ないように考えられがちだが、実際にホテルの部屋でAC電源を使わずに通信するユーザーはあまり多くない。止むを得ず筆者はベッドとは反対側のデスクの上のコンセントから、出張時にはいつも持っている延長コードを利用しAC電源を確保し、通信用のRJ-11ケーブルはツインベッドの間のナイトテーブル上の電話機に接続。ちょうど筆者のThinkPad X20が、AC電源ケーブルとRJ-11ケーブルとの間でブランコをするような感じで、インターネットアクセスを行なった。同様のケースは広島で最も有名なリーガロイアルホテルでも経験したことがある。モジュラージャックの脇には必ずパソコン用のACコンセントを備え付けて欲しい。電話モジュラージャックとACコンセントはペアと考える必要があるだろう。
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デスクにはモジュラーがなく、枕元にはACコンセントがない。結局「ベッドでネット」
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電源はデスクから、データケーブルはベッド脇のサイドテーブルから
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■ 加賀屋経営の料理店でお薦めメニューを食す
金沢と言えば、かっては有名な大大名「前田家」があった地だ、当時の大名としては破格な扱いで百万石を取り、その数字にあやかって金沢には「百」のつくものが多い。JR金沢駅の1階のお土産店や食堂街も「百番街」と名付けられている。ホテル内で1人で夕食をとるのも面白くないので、フラフラと出かけた百番街の中で、石川県では超有名な大型旅館「加賀屋」の経営する同名の和食料理店を見つけ、そこで食事をすることにした。見ず知らずの土地に来た時は、基本的に特に嫌いな食べ物でも無い限り、その店の「お薦め」を選択するのが一番だ。この晩も、お店の推薦に素直に従い、何とか美味しい晩ご飯にありつけた。
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加賀屋は石川県では超有名な旅館だ。そのレストラン部門が金沢市内にも店舗を持っている
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初めての店では、悩むことなく「おすすめ」が一番
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■ 古都金沢でタイムトラベラーになる
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観光スポット周遊のレトロ・ミニバスは全日空ホテルの真ん前から出発する
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翌日はホテルで用意されたブッフェ形式の朝食を済ませ、仕事のスタート時間までの間、市内を約1時間ほど見物した。レトロな小型バスが15分間隔で全日空ホテルのすぐ前の「0番乗り場」から出発する。バスはほとんどの観光ポイントに停車し、一周約45分で全てを巡回する。ありきたりだが、有名な兼六園と石川門は8個目の駅「兼六園下」が最寄り駅だ。バスを降りるとすぐ右側に旧金沢城跡の石川門、左手に兼六園が見える。平日の朝でもあり、予想したよりとても空いている。しかしその後、ほんの数分もしないうちに、どこから来たのかと思う大量の団体客で、お土産もの屋さんと公衆トイレは一瞬にして超満杯になってしまった。有名な名所をを見るなら午前中の10時30分くらいまでが理想のようだ。それを過ぎると観光バスの団体客の来襲に悩まされる覚悟が必要だ。
古都金沢は、女性週刊誌やタウン誌にも頻繁に紹介される街であるから、観光スポットのあちこちやレストランで、幅広い年齢層の女性の二人連れや、小グループ旅行を見掛ける。また、それが自然と似合う街だ。できることなら、数十人規模の大型団体ツアーではなく、こじんまりした小グループの小旅行を企画したいものだ。
仕事で訪れたビジネスマンもいつもの週末の会社帰りのように、大勢のカラオケ三昧ではなく、想い立ったときに、ブラリと立ち寄るアンオーディナリーな1日が似合う街だ。飛行機なら、羽田からたった1時間のフライト。金沢は四季を通じて旅行者にまったく異なる表情を見せる個性的な街だ。たまにはホームノマドなマインドを返上して、歴史を旅する「タイムノマド」、いや、正統派の「タイムトラベラー」になりきってみよう。ではまた会う日まで、
はぶふぁん!
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石川門辺りも11月初旬には紅葉が進み、自然のカラーコーディネイトがとても綺麗だ
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ごくポピュラーな兼六園。団体観光客来襲前の10時前後が狙い目
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■URL
・全日空ホテルズ(オンライン予約可)
http://www.anahotels.com/index_j.html
・金沢全日空ホテル(財団法人金沢コンベンションビューローサイト内の紹介)
http://www.nsknet.or.jp/heartkcb/search/23main.htm
・加賀屋
http://www.kagaya.co.jp/
(ゼロ・ハリ)
2001/01/12 00:00
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