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第3回:【大阪】ホテル阪急インターナショナル
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ゼロ・ハリ 「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か? |
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大阪は筆者の生まれ育ったホームタウンなので、実家もあれば、学生の頃からの親しい友人も多い。突然、歯ブラシだけを持って来られて戸惑う悪友の顔さえ軽くシカトできれば、突然の出張でもまず宿泊先には絶対困らない街なのだ。しかし、夜じっくり考えごとをしたり、我々BitMap Family Syndicateの秘密の企みを熟成するには、快適な都市型ホテルに泊まることも必要だ。狭いカプセルホテルや安いだけのビジネスホテルでは思いつくアイデアのスケールも違うというものだ。
このコラムの初回で明確にしたつもりだが、このコラムは、策を弄して会社支給の出張旅費の一部を浮かせて遊興費や飲み代を捻出するためのものではない。ハードな出張の、ほんの少しの自分だけの時間を快適に過ごし、新しいアイデアやひらめきを合理的に生み出すのが目的なのだ。
今回は、筆者も年に何回か参加しているパソコンやネットワーク関係のパネルディスカッションのパネラーとして大阪を訪問した際に、その会場となったホテルに宿泊した。大阪はここしばらくホテルラッシュだった。世界的な大手のホテルチェーンが大阪のあちこちに続々と新しいホテルを建設し、それに影響されてリニューアルする地元の伝統的なホテルも多かった。
■ 劇場を抱える高級ホテル「ホテル阪急インターナショナル」
今回ご紹介するホテルは、地下に旧梅田コマ劇場のリニューアル版である「飛天」という大きな劇場を抱える新しくて高級な「ホテル阪急インターナショナル」だ。出張でこんな一流のホテルに泊まれることは年にたったの1度か2度くらいだろう。一流ホテルだけにロケーションは申し分なく、学生の頃、授業をサボってよく遊んだ地下街「阪急三番街」の北詰め東側だ。昔は全く何もないところだったが、近頃はごく近くにLoftや毎日放送などが建設され、周辺の徘徊人類平均年齢は20歳近く若返った街となった。
ホテルのロビーは1階にはなく、2階の多少奥まった分かりにくい場所にあり、周囲の雑踏とは隔絶の感がある。また高層階にも別のテラリウムロビーがあり、日本のホテルにしては珍しい構造を採用している。ツインの部屋はバスタブとは別にシャワーコンパートメントが備え付けられており、アメニティーも豊富に用意されている。たまに海外のホテルのキングサイズのベッドのある部屋に泊まったりすると、夜中に突然目覚めてゴロゴロとベッドの上を転がりながらトイレに立ったりするのが面倒で、いつも超大型ベッドの端っこにぶら下がるように遠慮して寝る癖のある貧乏症の筆者にも狭くなく広過ぎず快適なサイズだった。
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高級感たっぷりの家具だが、すっきりしておりインテリアは気持ちよい
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アメニティも素晴らしく、洗面化粧台はロードウオーリアにはもったいない
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ホテルより北には高層ビルがほとんどなく、伊丹空港に向かって降下するジェットがすぐ近くに見えるが、もちろん騒音は一切聞こえない。大阪市街の夜景をゆっくり見るには南向きの部屋を予約すると良いだろう。部屋によっては大きなバスタブにゆっくりつかって夜景を堪能出来るヒーリング系バスルーム付きの部屋も選べるようだ。
伝統的な設備の良いホテルほど、パソコンを持ち込んで仕事をしようと考えるビジネスマンにとって不便な場合が多いようだが、ホテル阪急インターナショナルは、ビジネスマンのための独立型デスクの足元に、オープンのモジュラージャックが1個きちんと用意されており「移動電脳」環境はマルだ。室内電話回線は、内線0番を経由して簡単に外線番号に接続できるごく一般的な設定だ。今回のホテルのように、部屋に音声電話専用線とデータ通信専用線の2本がなくても、多くのホテルでは、「データポート」と呼ばれるデータ通信専用の通信ポートが電話器に付属しているケースが多いので、近頃のホテルはことネットワークアクセスに関しては安心だろう。
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大きなデスクはパソコン以外のワークも可能だ
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デスクの足元にある、電話のモジュラーコンセント
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■ 国内高級都市型ホテルの食事費用
筆者の国内外の浅い出張経験から思うことは、国内の高級都市型ホテルの問題点は、ネットワークアクセスを行なうための設備の問題ではなく、朝一番の食事費用が諸外国の一流どころのホテルと比較しても圧倒的に高いことだ。
「ホテルの価格性能比」と言うと多少誤解が生まれるが、要は量の大小に関わらず値段が高すぎるというのが正直な印象だ。高くても宿泊費の1割程度で、納得のいく朝食を提供できるホテルが少な過ぎることだろう。また高額な朝食を注文しても本当に美味しい朝一番のオレンジジュースに国内では巡り会ったことがない。米国の多くのホテルでは15ドルで格別の朝食と超美味しいオレンジジュースが提供され、お昼のコーヒーは2ドルで飲み放題というのが相場だ。
パソコンの値段が米国並みに追い付いても、インターネットプロバイダーの料金が諸外国に追い付いても、なぜホテルのモーニングブッフェとコーヒーの値段、そして電話料金には格段の開きがあるのだろうか? 日本のビジネスマンの環境インフラの追随はまだまだのようだ。
■ 真のロードウオーリアには、思いやりのマインドが重要
食べモノの話をして、嘆いていてもしかたがない。今回は読者のために格別に美味しい大阪の「おはぎ」屋さんをご紹介しよう。大阪は、大きく「北」と「南」という表現で南北に分けて解説されることが多い。北の中心は梅田で、南の中心は難波から心斎橋辺りだ。それぞれの拠点は北の南端、南の北端に当たり、両者のミックスアップしたところが、大阪の経済の中心地である本町や淀屋橋のビジネス街になる。
東京からの転勤族の多くはなぜか北以北に住みたがり、その多くはなぜか阪神間や千里周辺に執着する傾向があるようだ。一方、古くからの浪花原人は南以南や東方面に住んでいる傾向が強い。そういう意味では筆者は、難波より南の北畠、帝塚山辺りで生まれ育っているので、生っ粋の浪花原人であると言える。
そんな南の中心地である難波近くにそのおはぎ屋さんはある。パソコンショップの集まる大阪の日本橋(にっぽんばしと発音する)電器街の北端から更に北に少し歩くと、地下鉄堺筋線と近鉄線の「日本橋駅」に辿り着く。その交差点から西向きに地下鉄難波駅までは、昔、「虹のまち」と呼ばれた地下街がある。イメージアップかダウンかわからないが、最近はなぜか「なんばウオーク」と呼ばれているらしい。交差点を北側に渡り、左側方向(西向)に歩道を1~2分歩くと、目立たない「玉製家」(「ぎょくせいや」と読む)というお店がある。間口が超小さいので、注意力が散漫だと見逃し、通り過ぎることになる。
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玉製家。うっかりすると通り過ぎる店構えだ。時々、愛想の良い可愛い娘さんがいるぞ!
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6個入りのミニマムパッケージ、いくらだったか忘れたが千円でたっぷりお釣りがあった
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大阪出張で日本橋散策の後に立ち寄るにはベストロケーションだ。帰京時のお土産にここの「おはぎ」を持ち帰ると、部内や課内のOL達の人気者になること間違いなし。ただし、特に美味しく食べるには時間的制約を受けやすい「きなこのおはぎ」は、「買ったその日に食べる!」と固い約束を店主と交わさない限り絶対売ってもらえない。即ち、お土産の「おはぎ」を抱えた諸君には自宅に「直帰」して翌日会社に持ち込む、などという悠長な戦略は決して許されないのだ。
またこの玉製家は午前中は材料の仕込みを丹誠込めて行なっているので、午後2時からしか開いていない。開店と同時に「おはぎ」を買って、新大阪や伊丹、関空に駆けつけ、東京に帰っても博多に戻っても、諸君のオフィスは、終業時刻前後であることに変わりないだろう。本来なら間違いなく「直帰」のタイムゾーンだ。うっかりすると、新しい仕事を抱えて上司や同僚が待ち構えているかもしれない夕闇の危険なオフィスに、それでも、社のOL達の喜ぶ顔を見たいだけのために、単身帰社する諸君には、「ロードウオーリア」の資格は十分あるだろう。
いつの時代も快適なオフィス環境とサポートを与えてくれているのは、社長でもなければ上司でもなく、もっと身近な誰かであることは諸君が一番知っているはずだ。
どんなにメーカーの社員以上にモバイルPC関連の専門知識があっても、予め予定されたアマゾンのホテルの客室から「ワニ口クリップ」を使ってインターネット経由でファックスが送れても、2年も経験すればいとも簡単に誰でも実践できるその程度のことはまだまだ取るに足らない知識なのだ。真のロードウオーリアには、知識や経験、テクニックを超えた「サムシング・ディファレント」な感覚と、全てに平等な思いやりのマインドが重要なのだ。
ではまた次回まで、はぶふぁん!
■ URL
ホテル阪急インターナショナル
http://www.hhi.co.jp/
玉製家は出口28番のあたり
http://www.mapion.co.jp/cgi-bin/m?no=1061954500185150000&coco=408,78&icon=mark_loc
(ゼロ・ハリ)
2000/04/20 00:00
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