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「灼熱湿気地獄のジパング」脱出、楽園のバリ島で何もしない贅沢
ゼロ・ハリ ゼロ・ハリ
「日本のモバイルキング」、「中年ガジェットキング」など数々の異名を持つ。数多くのパソコン雑誌に執筆。購入した携帯グッズはそろそろトン単位に突入か?


 今年の日本は台風の当たり年らしい。筆者も滅多に行かない沖縄で2つも台風を迎撃する体制になってしまった。間一髪で抜け出した沖縄のホテル事情は、また別の機会に譲るとして、今年の夏のバカンスは、2年に1度は行くと決めているバリ島だ。読者の皆様には釈迦に説法かも知れないが、小学校の頃から世界地理には疎かった筆者の復習も兼ねて、観光ガイドブック的にバリ島をごく簡単にご紹介しようと思う。バリ島に関しては、米国の各都市などとは違って「バリ・マニア」と呼ばれるようなリピーターが日本人にも数多く、ほんの少しインターネットをサーフィンすれば、それらしいサイトを数多く発見できる。それだけ、各人が自分だけの楽しみを見つけて、オリジナリティ溢れる旅を満喫できるユニークな島なのだろう。

 バリ島はインドネシアに属し、赤道から8度南の南半休にある熱帯に位置する島だ。年間の平均気温は摂氏26度くらいで、5月~11月が乾期にあたり、特に7~8月は年間を通じて最も涼しく、朝夕はエアコン要らずで超快適だ。当然ながら、日本からの観光シーズンも夏休みと重なるこの時期にあたる。島の面積は約5500平方kmで東京の約2.5倍、人口は約300万人と東京の約4分の1くらいだろう。多くの地元の人はバリ語を話すが、ホテルやルートマップにあるような土産物屋さんでは、ほとんど英語も通じるし、中には流暢な日本語を話すバリ人も多い。日本との時差は1時間遅れとなり、日本の正午がバリでは午前11時となる。

 通貨単位はルピア(Rp)で、ホテルや空港はじめ至る所に両替所があるので円からの交換には困ることはないだろう。また町中でも多少のレート損さえ気にしなければ日本円はそのまま使用できる。為替レートは当然毎日のように変化するが、筆者がバリ島を訪れたころは、1000円が約73000ルピア前後だった。一時期、バリでは1万円札の偽札でも出たのか、千円札は大歓迎、1万円札は敬遠される時期があった。まあ、為替レートから見ても千円札の方が便利なのは自明だろう。


 今回筆者は、成田発のガルーダ・インドネシア航空の午前の早い便で日本を出発し、現地のデンパサール空港には夕刻に到着した。以前もガルーダ・インドネシア航空でバリ島を訪れたが、搭乗の際に、ガルーダ航空にはいまだ「喫煙席」が存在していることを聞いて超驚いた。国際線では世界中の航空会社の機内から喫煙席は姿を消したと思っていた。7時間を超えるフライトで、しかもたった何人かの喫煙者のために、機内全体の空気がいがらっぽくなるのは今や時代錯誤だろう。

 到着後、出迎えのタクシーで目的のホテルにチェックインしたのは18時頃だった。宿泊先のリッツカールトン・ホテル・バリ(正式名称:Ritz-Carlton Bali Resort and Spa)は、空港から比較的近いジンバランと呼ばれる地域にあるが、日本のホテルと違い広大な敷地ゆえ、夕刻ならまだしも、深夜便で到着して、見ず知らずのタクシーでほとんど真っ暗な夜道をここまで来るにはかなりの勇気がいるだろう。


広い敷地に施設が点在するリッツカールトン・ホテル・バリ

敷地に入って延々と走って、やっとたどり着くホテルの正面入り口
 大きなドラを叩く大音響と共にホテルの正面玄関に迎入れられると、浅黒くてチャーミングな典型的なバリ美人からお約束のレイサービスを受け、インドネシアの民族楽器であるガムランの二重奏で歓迎される。真っ正面にはなだらかな何十段にも渡る階段やプール、レストラン、庭園を経て、はるか遠くにインド洋が見える。圧倒的な広さを感じさせる設計デザインだ。

 目を少し右に向けるとそこはホテルのロビーで、誰もがイメージするようなアジア的な空間が広がっている。正式な名称は知らないが、高い天井はインドネシアでは多く見かける、寄せ木でつくったピラミッドのような大屋根を採用しており、天井は特に詳細な絵が描かれており、夜になるとライトアップされとても綺麗だ。

 チェックインを済ませ、部屋に案内される。大きな重い扉を開けると、そこは比較的こじんまりしたツインルームだ。考えれば、タクシーを降りて、正面玄関からホテルに一歩足を踏み入れてからゲストルームの中に至るまで、今まで歩いてきたところはすべてが明るい大理石で作られている。ちょっと暑い廊下にはクールな感覚の大理石がやけにピッタリと似合うようだ。

 ホテルの敷地内には、先ほどのロビーを中心に、左右のウイングに分かれたメインのホテル棟と、大型のバンケットルーム、それに特に日本人女性の大好きなエステ&SPAのための特別の棟、数多くの野外レストランやバー、落差のある大きなスイミング・プール、卓球やビリヤードなどの施設、ホテルでは飽き足りない人のためのデラックスなビラなどが広い敷地の中のあちこちに点在している。


ひんやりした大理石の床に美しく響く歓迎のガムラン音楽 ロビーから幾つもの階段や噴水を経て、遠くインド洋を望む

起伏の多いホテル庭園内にはあちこちにいろいろな施設や像がある 夕闇が迫る頃、ロビーはライトアップされより一層エキゾチックになる

ブロードバンドとは無縁の世界

長めのケーブルを使ってベッドサイドの電話機からGRICに接続
 都市から大きく離れた多くのリゾートホテルがまだまだブロードバンドの洗礼を受けていないように、バリ、ジンバランのリッツカールトンもブロードバンドとは無縁の世界だ。客室には米国のホテルの90%近くが採用している「データポート」付きの室内電話機が設置されている。

 たとえバリでもインターネットやメールを使用したい人は、モバイルPCを持ち込み、データポート経由でGRICなどのローミング会社の電話番号にダイアルアップするか、ホテル内のビジネスセンターを利用するか、タクシーを飛ばして空港を越えて、クタやレギャン辺りのインターネット・カフェを利用することも可能だ。筆者は、今回は出国前に「メールは見ない!」と宣言して国外逃亡を図ったので、一度か二度、GRICを利用してデンパサールにある56kbpsのノードに接続しただけだった。米国などではダイアルアップ先がホテルと同一の市内なら、ホテルの外線接続サービス料金は、まったく無料のところと、時間に関係なく一回当たり50セントや1ドルを無条件でチェックアウト時に請求されるところがあるが、ジンバランでは、一回当たり856ルピア(約12円)という低額だった。


散歩の後の朝食は格別

広めのツインルームの床は全て大理石で、朝夕涼しくクーラーは不要だ
 日本が真夏で、灼熱湿気地獄の摂氏38度を超える頃でも、バリの夜は涼しく、また日の出はそれ程早くもなく、テラスに集まる小鳥の鳴き声で、自然に目覚めた朝は極めて涼しく、日本に居る友人が本当に気の毒に思えてくるくらいだ。ラフな服装に着替え、上り下りの起伏の多いホテル内を軽く散歩した後の朝食は格別だ。

 朝食はロビー前からだと、インド洋を眺めながらブーゲンビリアの咲く階段を降り、蓮の華が綺麗な池の右側の「パディ」(Padi)が最適だ。米国のホテルで、案内されたテーブルに座り、好きなモノを取って来て食べるこの手の方式を「バフェ」と呼ぶのにやっと違和感がなくなったのに、ご当地バリでは、また日本と同じで、日本人だと見ると、ボーイさんが必ず「バイキング」? と言うのも面白い現象だ。

 禁煙席、喫煙席が一応分かれてはいるが、屋根しかないレストランなので、どちらに座っても大差はない。「池の側」を指定するのがグッドチョイスだ。ボーイさんにお願いすると、パンの耳を籠に入れて持ってきてくれる、蓮の池に投げ込むと体長60~70cmの鯉がバシャバシャとパンを一気飲みするのは圧巻だ。


2つのベッドは快適で、日に何回もアメニティのチェックが行なわれる 日が沈むと、凝った照明でライトアップされ、昼間とは違う風景となる

バリではゆったりするのが正解!

バカンス中のバリで彼女より大事なのは、お気に入りの本なのだ!?
 純粋にビジネスでバリ島に来る日本人は多くはないとは思うが、バリのホテル生活で何よりも重要なのは、「目的やゴールを持たずにゆったりとすること」なのだ。

 ご当地では散歩のことを日本でも有名になった「じゃらん」(JALAN)と言うが、「じゃらんじゃらん」のように同じ単純な言葉を2回続けて発音する雰囲気が気候や風土にピッタリ合っている。日本で言うなら「だらだら」とか「トロトロ」っていうのがバリ的なのだ。

 バリの典型的な旅行者風情は、1番はやはり世界中どこにでもいる「日本人女性の2人連れ」、2番目が、日本やオーストラリアから銀婚式を終えた様なフルムーン夫婦や新婚旅行のヤングカップル、そして3番目が歳差のある怪しいカップルだ。

 しかし、どんな関係であっても、バリで健康の次に大事なのは、プールサイドでトロトロとあまり先や結末を急がない、ふだん読み逃がしている大作「本」だろう。成田空港では、日焼け止めクリームや例え水着を買い忘れても、本屋さんには必ず寄って、本を抱えるほど買うのがバリ的だ。


朝は、ジョギングの代わりに、敷地内の遊歩道をジャランジャラン 蓮の華の咲く涼しい池の畔での朝食は軽い散歩の後には超美味しい

1週間バリに滞在すると、ちょっと注意しないと2~3キロは太る 階段を184段降りると、そこはもう100%プライベートビーチだ




 ホテルの庭園内にある成人用の2つのプールは落差があり、数メートルの人口の滝がそれら2つをつないでいる。

 避暑地のプールはどこでもそうだが、バリでも90%の人は周囲のビーチチェアにタオルを敷いて居眠りか読書だ。すべての飲み物や食べ物はキャッシュレスで宿泊しているルームナンバーを告げるだけでゲットできるので、丸一日寝そべっていても構わない。

 宿泊客なら、ホテルの玄関から2~3分電動カートで移動して、184段の不均等な石の階段の上り下りが苦にならなければ、絶景のプライベートビーチも利用できる。まず、午前中にビーチに行って遊び、午後、プールに戻るのが定石かもしれない。



快適なプールサイドで一日中ゴロゴロ・デレデレ・クチャクチャが最高 ビーチチェアに座って、何もせずに、ただインド洋を眺める贅沢

買い物は価格優先? 時間優先?

夜は中央の天井上のステージでライブもあるHRCのバーカウンター
 バリにもそこそこのDuty Freeショップは2カ所ほどあるが、ホノルルやグアム、ニューヨークなどに比較するとその規模は小さく、海外旅行で免税店でブランドモノを購入しようと考えている人には確実に物足りないはずだ。現地の民芸品などのお土産を買うならタクシーで20~30分も行けば、クタやレギャンの通りに沢山のお土産物屋さんが軒を並べている。タクシーは日本の小型車クラスでホテルのあるジンバランからクタ、レギャンくらいまで行っても、安全なホテル指定タクシーのメーター走行で4万ルピア(約500円弱)くらいだ。一気に買い物を済ませたいなら、ドライバーと交渉して3時間~くらい貸し切り拘束しても15万ルピア(2000円)くらいで済むだろう。格安だ。

 筆者は、最終日の空港に向かう前に、クタのハードロックホテル&カフェでランチをとり、クタ近辺でいくつか買い物をしたが全部で4時間くらいで目的を達した。タクシーも流しのクルマを捕まえて交渉すればいくらでも安いモノもありそうだが、短期の旅行で金銭的なトラブルを起こして、その解決に時間と手間を取られることを考えれば、多少高くてもホテル指定のタクシーが得策だろう。また、店も探せば安い店が見つかるだろうが、限られた滞在時間の貴重さを考えた場合、本当にそういうアプローチが正解かどうかは状況によって判断すべきだろう。

 5万ルピア損しても、日本円にすれば約650円だ。千ルピア得だからと言って両替商の選択に15分浪費しても、得はわずか15円にもならない。前述のように、バリでは読書以外、「何もしない贅沢」をお薦めしたいが、どうしてもバリの街を都合良く徘徊したいなら、「時間と金銭の価値判断をリアルタイムで換算できる感覚の脳みそ」が必要になってくる。


お土産は、レギャン、クタが定石だが、バイクの出す排気ガスは劣悪だ バリらしいハードロックカフェ。BLTサンドが美味しいのは有名だ

 多少高くても時間が節約できるなら、その方が得という考え方もできる。地上の楽園バリだが、少しケチったので帰国便はジャカルタ経由の成田便になった。深夜のトランジットを考慮すると、約3時間強の無駄使いとなった。少し高い直行便を利用して、ホテルに夜の9時までいて、日が変わる頃に搭乗して一気に熟睡しながら帰国の途に着くか、思案のしどころだが、筆者の次回の選択は、エコノミークラスではなく、ビジネスクラスにアップして、直行便で往復するプランが最終的には得策のような感じがした。ではまた次回まで……。

 テレマカシ! & はぶふぁん!


・ ホテル リッツカールトン・バリ リゾート アンド スパ
  http://www.ritzcarlton.com/resorts/bali/


(ゼロ・ハリ)
2002/08/01 20:42

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