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MCFセミナーでクアルコム ジャパンの山田純氏などが講演

 携帯電話コンテンツの関連企業が参加する業界団体 モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)は4月17日、都内で定例セミナーを開催した。今回のセミナーでは「モバイルコンテンツ・プラットフォーム拡大フェーズへ」をテーマに、クアルコム ジャパン 常務(執行役員)事業戦略部長の山田純氏や、ノキア・ジャパン モバイルアプリケーションスペシャリストの占部敏之氏などがそれぞれ講演を行なった。


「アプリケーション配信インフラ」としてのBREW

クアルコム ジャパン 山田純氏
 CDMA方式の携帯電話向けチップセットメーカーであるクアルコム ジャパンの山田氏は、「BREWの狙いと実践 ~CDMAプラットホームの徹底活用に向けた取り組み~」と題した講演を行ない、国内外のBREW導入事例を交えた紹介やビジネスモデルの可能性、今後の取り組みなどについて語った。

 山田氏はまず、4月からKDDIが導入したデータスピード144kbpsのCDMA2000 1x、および2003年の導入が見込まれる2.4Mbpsの1x EV-DOなどの導入によるデータ通信能力の拡大や、eznavigation、ココセコムサービスなどで利用されているgpsOneの測位能力などを紹介し、アプリケーションプラットフォームであるBREWについては「現在世界で8400万台の対応端末を配している」と説明した。

 日本では、3月にKDDIから発売されたパナソニック製のau端末「C3003P」にプリインストールされている、ナビタイムジャパンのベクトル地図ビューワー「Navitime」や、ケイ・ラボラトリーのチャットアプリケーション「キャラこみゅ」などでBREWが活用されていることで知られるが、海外の導入例としては、韓国Korea Telecom FreeTel(KTF)が2001年11月から商用サービスを開始し、現在約50万のユーザーを有して7種類の対応機種を提供しているという。米国ではVerizonが3月からサン・ディエゴにおいてエリア限定でトライアルサービスを始め、5月から全米展開する予定となっている。


 同氏は、BREWを構成する要素として、「携帯電話に最適化されたアプリケーション実行環境」「サードパーティ開発者向けSDK」「ダウンロード可能なアプリケーション」などを挙げ、「ダウンロードが可能」な点については、Eメールなどのプロトコルエンジンや3Dのゲームエンジンといったものをあらかじめ端末側に組み込んでおくのではなく、ユーザーが利用したいコンテンツやサービスの用途に応じてダウンロードすることにより端末の機能を拡張でき、ダウンロードしたエンジンを他のアプリケーションからも利用可能とすることでBREWを共有化でき、これによって端末内の限られたメモリーを合理的に利用できるとアピールした。

 しかし、アプリケーションを自由にダウンロードできるという反面、ウイルスの問題や、端末の基幹部分を改ざんされてしまうような事態を防ぐため、BREWは安全性確保のためにアプリケーションの配信に至るまでに複数の認証(電子署名)を行なわないと、端末上で実行できないといった特徴がある。その工程としては、開発者側による「ディベロッパー認証」に加え、「VeriSignによる公証署名」、さらに「クアルコムによる実行許可署名」が上書きされる形となるが、この結果、BREWは強力なセキュリティ能力を備えることになる。同氏はBREWが端末のアプリケーション実行環境であるだけでなく、「アプリケーションの配信を可能にするインフラである」ことも強調した。

 同氏は最後に、BREWによって可能になる新たなビジネスモデルを紹介。現行のモバイルインターネットでは、HTTP通信でキャリアのゲートウェイサーバーを介するのに対し、BREWでは携帯電話とサーバー間がTCP/IPベースで通信でき、ゲートウェイを通さずにユーザーとEnd to Endで通信できるため、現在では通信事業者の手がまわらないクライアント・サーバー型ソリューションのビジネスも提供可能であるとした。ただし、こうしたビジネスモデルの実現には「パケット網の利用においてキャリアの許可がなければ難しく、実際に実現してみないとそのノウハウの蓄積も難しい」と技術提供会社である立場を説明し、日本におけるBREWのダウンロードサービス開始についても、KDDIからの発表が待たれることを匂わせたものとなった。


韓国KTFでは2001年11月から商用サービスを開始。現在約50万のユーザーを有し、7種類の対応機種を提供している
BREWでは、アプリケーションの配信までに「ディベロッパー認証」「VeriSignによる公証署名」「クアルコムによる実行許可署名」が必要

標準化作業が完了し、欧州で商用サービスが待たれるMMS

ノキア・ジャパンの占部敏之氏
 ノキア・ジャパンの占部氏からは、「ノキアが推進する3G標準のメッセージングサービス『Multimedia Messaging Service』~グローバルコンテンツサービス実現のための技術動向~」と題した講演が行なわれ、MMSの概要からアーキテクチャ、標準化動向、ビジネス展開などが語られた。

 占部氏は、テキストに加えてグラフィックやオーディオ、ビデオクリップなどのマルチメディアコンテンツの送受信が可能なMMS(Multimedia Messaging Service)を「GSMで特に成功したサービスであるSMSの進化形」であると位置付け、GSM/W-CDMA圏内で通信事業者や国内外に関係なくメッセージ交換が可能であることや、受信端末が着信通知を受け取ってからコンテンツを取得したり、発信側は送信レポートの受信で配信状態が確認できたり、受信端末が見つからない場合には一定時間センター側に保持されるなどのプロトコル特徴、コンテンツの権利を管理するためのフレームワーク(Mobile DRM)などについて解説した。

 実際のサービス開始については、機能の規定が3GPPで、実装の規定がWAP Forumで、互換性の規定がMMS IOP Groupでそれぞれ行なわれ、現在は基本的な標準化作業が完了した段階であり、フィンランドのソネラ他3社でトライアルまたは商用サービスとして2002年中にも開始される予定になっているという。なお、MMSの各種開発ツールや互換性に関するドキュメントなどは、現在ノキアの開発者向けサイト(フォーラム・ノキア)で提供されている。

 プレゼンテーションでは、MMSの対応端末として、スライド式ボディにデジタルカメラを内蔵したGSM/GPRS対応端末「NOKIA 7650」や、GSM 900/1800/1900MHz向けGPRS、HSCSDなどに対応するワールドワイド向け端末「NOKIA 7210」、GPRS対応の普及モデル「NOKIA 3510」などの端末画像がスライドで紹介されたが、いずれも3月にドイツで開催されたイベント「CeBIT」で、すでに展示したものであることが付け加えられた。

 なお、最後に同氏は、MMSの日本国内での提供の可能性に関して、「今後の3G端末において日本でもMMSに移行していく可能性はあり、できればMMSに収束してほしい期待もあるが、メーカーサイドとしては断言できない」とコメントした。


MMSのプロトコル特徴。受信端末が着信通知を受け取ってからコンテンツを取得したり、発信側は送信レポートの受信で配信状態が確認できたり、受信端末が見つからない場合には一定時間センター側に保持される
フィンランドのソネラなど3社で、トライアルサービスまたは商用サービスが2002年中に開始される予定

MMSに対応するデジタルカメラ内蔵の「NOKIA 7650」
同じくMMS対応のGPRS普及モデル「NOKIA 3510」

NTTドコモも「infogate」のサービス内容を講演

NTTドコモの谷口徹哉氏
 このほか同セミナーでは、NTTドコモ MMビジネス部ビジネス推進担当課長の谷口徹哉氏より、「PDA向けポータルサービス『infogate(インフォゲート)』について ~モバイルコンテンツの活用領域を拡げるプラットフォームの可能性~」と題した講演も行なわれ、3月から法人ユーザーを中心に展開されている「infogate」のASPサービスや特定企業専用のVPN接続サービスなど、各種サービス内容や料金体系、システム構成なども併わせて紹介された。


・ モバイル・コンテンツ・フォーラム(MCF)
  http://www.mcf.to/
・ クアルコム ジャパン
  http://www.qualcomm.com/
・ ノキア・ジャパン
  http://www.nokia.co.jp/
・ NTTドコモ
  http://www.nttdocomo.co.jp/

ノキア、GSM携帯電話の新モデル発表
ドコモ、PDA向けの有料ポータルサービス「infogate」


(松下 麻利)
2002/04/17 22:30

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