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FOMA P2101V
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10月1日よりドコモの第3世代携帯電話サービス「FOMA」が開始された。今回は高速移動環境におけるFOMAの使い勝手を、編集部のFOMA端末を使ってレポートしてみた。ただし、通信は時刻や地域などによって大きく影響を受けるため、軽く参考にする程度にしてもらいたい。
テストは10月9日の13時ごろより、4時間ほどかけて行なった。使用機材はFOMA P2101V、つまりテレビ電話が可能なビジュアルタイプ。乗用車で走行し、助手席に座るテスト要員が、編集部で待機するスタッフと通話するという形でテストしている。
高速道路でFOMA・PDC・cdmaOne・H"を比較
まずはサービスエリア内の高速道路での使用感から。高速道路で流れに乗り、巡航しながら編集部の固定回線に電話をかけた。
FOMAの音声通話を試したところ、当然であるが普通に会話ができた。編集部待機スタッフの感想は「音質的にはちょっとデジタル圧縮なのかな、という気もするけど、固定回線同士の通話とほぼ変わらないレベル。意識しなければ気にならない」といったところ。
制限速度近くで走行しても、話し相手には環境音(エンジン音や風切り音など)はあまり聞こえず、通話先には静止状態と変わらない音に聞こえる。P2101Vに標準添付されるイヤホンマイクを使っての通話も行なったが、こちらの場合は周囲の音が聞こえすぎて、ややうるさかった。
なお、首都高速に入って加速したとき、サービスエリア内にもかかわらず回線が切断されることがあった。FOMAで通話が中断(回線切断)されるとき、会話が途切れ途切れになるものの、PDCのようにノイズが入らないため、突然回線が切断されるという印象がある。
また、会話が途切れてから切断音の「ツーツー」が聞こえるまで間があるため、いつ回線が切断されたかわからない印象もある。会話が途切れたからといって回線が切断されるわけでもなく、たとえば東京外環道のトンネルでは、音声が一時的に途切れることはあったが、回線は切断されなかった。
比較として、ドコモのD503iS(800MHzのPDC方式)で通話してみた。編集部待機スタッフの感想は「D503iSでの通話は多少環境音がうるさかった」といったところ。しかし、今回のテストでは、ほぼ静止状態と同じレベルの音質で通話できた。
cdmaOneではC451Hを使って通話してみた。cdmaOneでの通話は、FOMAと似た特性があり、編集部側のスタッフの感想は「音声に含まれるデジタル圧縮特有の『こもり』のようなものはFOMAよりも強いが、環境音はFOMA並に少なく、聞きやすい」といったところ。
今回のテストでは、FOMAがいちばん音質が良いという印象が残ったが、PDC(ドコモのデジタル)、cdmaOneともに実用には問題のないレベルだった。ただし、通話品質は場所や時間に大きく影響されるので、いつでもこの実験のとおりになるとは限らない。今回のテストは比較的回線が空いている平日昼間の高速道路、という環境で行なったが、週末夜の繁華街、などでは音質も変わるものと考えられる。
なお、同時にH"端末の「KX-HS100」も比較テストしたが、こちらは高速移動中は音声が途切れ途切れになり、まともな会話は困難という状態だった。高速道路での走行中は、1つの基地局との最大通信距離が数百メートルというH"では辛い様子だ。
車中でのテレビ電話もOK
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走行中、カメラを前に向ければ相手に道路の様子を伝えられる(危険なので運転者はやらないこと)
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走行中のテレビ電話もテストした。一連の走行で、テレビ電話は3回行なったが、そのうち1回、首都高速の立体交差部で画像にノイズが入り、通信が切断されることがあった。それ以外の環境では問題なくテレビ電話を利用できた。動画の滑らかさや音質は、高速道路で走行中も静止状態とほぼ変わらない品質だった。
パソコンを利用したデータ通信の測定は行なわなかったが、動画にあまりノイズが入らなかったことから、通信速度は静止状態とほぼ同等のものだったと考えられる。FOMAの回線交換式通信時は64kbpsとPHSやH"と同等の通信速度となっているが、高速移動時の通信性能はFOMAの方が上と思われる。
FOMAサービスエリア北限を走る
次に、ドコモが公開しているFOMAのサービスエリアぎりぎりまで行くというテストを行なった。2001年10月現在のFOMAのサービスエリアは、国道16号線以内となっている。具体的には東京23区および一部市部、埼玉・千葉・神奈川の東京隣接エリア、いわゆる首都圏だ。テスト地域は東北道と関越道およびその間の地域で、サービスエリアの西北部にあたる。
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テストで走行した場所の略地図。最初に東北道を加須ICまで北上し、次に一般道を関越道東松山ICまで走り、その後関越道を大泉JCTまで南下している
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まず東北道の川口JCTより、宇都宮方向に向かった。サービスエリア内から、サービスエリア外に向けて走り、どこで通話が途切れるか、というテストである。東北道におけるFOMAサービスエリアの北限は、川口JCTより18km程度のところにある蓮田SAまでとなっているが、実際にはそれよりも北の川口JCTより22km程度、蓮田SAと久喜ICの間の場所まで、普通に通話が行なえた。
その後の通話には徐々にノイズが増え始めたが、完全に切断されたのは川口JCTより29km程度の、久喜ICと加須ICの間の場所だった。実にエリアマップによるサービスエリアよりも10km北で通話できたことになる。
関越道では逆に、サービスエリア外となる東松山ICから、サービスエリア内となる大泉JCTを目指して走行した。このテストでは大泉から26km程度の、鶴ヶ島ICと川越ICの間の地点で、端末の表示が「圏外」から「アンテナ3本」に切り替わった。こちらはほぼFOMAのサービスエリアマップ通りの結果となった。
また、サービスエリア外で東北道から関越道方面に移動する際、一瞬だけP2101Vに圏内表示が出る場所があった。場所は県道38号と上越新幹線の交わるあたりである。埼玉県のFOMAのサービスエリアは、国道17号の部分だけ桶川市を北限とし、半島のように北に突出している。県道38号線と上越新幹線が交わる部分は、桶川市から北に6km程度と最接近する場所なので、そこで電波を拾えたものと思われる。しかし、あまりに一瞬だったため、通話は行なえなかった。
ドコモが公開しているFOMAのサービスエリアマップより、実際にFOMAが使える領域は広いと思われる。しかし、サービスエリア外といわれる地域では、通話できることもあればできないこともあるので、エリア周縁部でのFOMA使用は、いまのところあまり当てにしない方が良いだろう。
・ FOMAのホームページ
http://foma.nttdocomo.co.jp/
・ FOMA P2101V
(白根 雅彦)
2001/10/10 12:54
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