NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクモバイル、ウィルコムは、それぞれが実施するフィルタリングサービスの新たな取り組みについて、実施時期やサービス内容など詳細を発表した。
各社の発表に先駆けて、12日午前にはTCAおよび各社が連名でフィルタリングサービスに関する新施策の方針を発表。それを受けて、同日午後に各社から詳細が発表された。主な内容は、18歳未満の既存ユーザーに対するブラックリストの原則適用、第三者機関のモバイルコンテンツ審査・運用監視機構(EMA)の意見や認定の反映などとなっている。
■ ドコモ、フィルタリングのカスタマイズ機能など
ドコモでは、18歳未満(2009年2月末時点)の既存ユーザーに対して、フィルタリングサービス利用の意思確認をダイレクトメールなどで10月下旬より行う。親権者からの「不要」などの申し出は2009年1月下旬まで受け付け、申請がなければ、自動的にブラックリスト方式の「iモードフィルタ」を順次設定する。また、親権者名義の契約ながら、実際は18歳未満のユーザーが端末を使っている可能性があるため、既存ユーザーに対して「iモードフィルタ」の利用をよびかけていく。
EMAが健全と認定したサイトや、EMAから提言されたカテゴリー基準の見直しについては、2009年1月9日より反映する。対象となるのは2009年1月9日以降に新規で「iモードフィルタ」を申し込んだユーザー。18歳未満の既存ユーザーで「iモードフィルタ」が自動適用された場合も対象となる。ただし、既に「iモードフィルタ」を使っている場合は、EMAの基準を反映するには別途申し込む必要がある。
また同社では、ユーザーがアクセス制限対象を選択できる「カスタマイズ機能」を提供する。利用料は無料で、アクセス制限対象となっていても、子供が「このサイトは見たい」と仮登録し、親権者がそれを確認して承認すれば、アクセスできるようになる。最大30サイトまで登録でき、カテゴリー単位でアクセス制限対象から外す場合は、「iモードフィルタ」ユーザーは最大12カテゴリー、「キッズiモードフィルタ」ユーザーは最大5カテゴリーまで登録できる予定。
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ドコモの「カスタマイズ機能」利用イメージ
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カスタマイズ機能の申し込みは、ドコモショップなど販売店の窓口や、ドコモインフォメーションセンターへの郵送で受け付ける。設定内容の変更は携帯電話上で操作し、パソコンからは行えない。
このほか、Webサイトへのアクセス機能を制限し、端末では通話とメールのみ利用できるようにするサービス「Web制限」を1月9日より提供する。こちらの受付はドコモショップなど販売店の窓口や、ドコモインフォメーションセンターへの郵送となる。利用料は無料。
■ au、機能限定のケータイを提供
KDDIと沖縄セルラーでは、18歳未満(2008年2月末時点)の既存ユーザーに対するフィルタリングサービスの原則適用について、10月より意思確認を行う。2009年1月31日まで申し出を受け付けるが、申請がない場合、同年2月中にフィルタリングサービスを自動適用する。ユーザーの名義が小学生以下の場合はホワイトリスト方式の「EZ安心アクセスサービス接続先限定コース」を適用し、中学生以上はブラックリスト方式の「EZ安心アクセスサービス特定カテゴリ制限コース」を適用する。年齢によって自動適用するフィルタリングサービスを変えるのは、auのみとなる。成人名義ながら18歳未満のユーザーが端末を使っているケースに備え、利用者が18歳未満の場合はフィルタリングサービスの利用を推奨していく。
EMA認定サイトについては、2009年2月に反映させる。EMAからはカテゴリー基準についても提言がなされているが、KDDIでは「カテゴリー基準に対する考え方はEMAと同じだった」として、2009年2月にカテゴリー基準を変更する。
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音声通話・GPS機能限定ケータイのメニューイメージ
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アクセスできるサイトをユーザーが選べるサービス「EZ安心アクセスサービス マイフィルタコース」も提供されることが明らかとなった。サービスの詳細は別途発表されるとのことだが、年代別フィルタやカテゴリー単位での設定、URL単位での設定が可能になるという。
また小中学生向けの携帯電話として、メールやWebブラウジングの機能を制限し、音声通話とGPS機能に限定したモデルを2008年10月下旬より提供する。新たな機種ではなく、メニューなどをカスタマイズできるサービス「ナカチェン」と端末固有の機能を用いて実現する。対応機種は「フルチェンケータイ re」で、メールやEZweb、PCサイトビューアー、カメラ、赤外線通信機能、LISMO、EZアプリ(安心ナビ除く)が利用できない設定となる。なお、機能制限の設定を行う際に手数料や利用料はかからない。
■ ソフトバンク、ディズニー・モバイルの施策
ソフトバンクモバイルでは、18歳未満の既存ユーザーに対して、10月より意思確認を開始し、2009年1月末までに申告がなければ、同年2月より順次、ブラックリスト方式の「ウェブ利用制限」を適用していく。18歳以上のユーザーに対しても、名義は親権者で利用者が18歳未満の可能性があるため、ダイレクトメールなどでフィルタリングサービスの利用を推奨する。ドコモやauが提供する、アクセス制限対象をユーザーが選べるサービスについて、同社では「検討中」としている。
また2009年1月末より設定を変更し、EMAが認定したサイトを閲覧できるようにする。
ディズニー・モバイルでは、ソフトバンクモバイルと同じく2009年1月末よりEMA認定サイトを閲覧できるようにする。18歳未満のユーザーについては新規・既存ともにフィルタリングサービス利用の意思確認が行われているため、今回あらためて発表される内容はないという。
ディズニー・モバイル端末を販売するソフトバンク取扱店では、今年1月の段階で、18歳未満の新規ユーザーに対し、フィルタリングサービス利用の意思確認を行う仕組みを取り入れた。ディズニー・モバイルがサービス提供を開始した今年3月時点では、ソフトバンク側の受付体制の準備が整っており、MNP(携帯電話番号ポータビリティ)を利用した場合でも18歳未満のユーザーに意思確認することになっていたため、現在、18歳未満のディズニー・モバイルユーザーは全員フィルタリングサービス利用の意思確認が完了していることになるという。
■ ウィルコム、高速化サービスと併用可能に
ウィルコムでは、18歳未満の既存ユーザーに対して、順次意思確認を進め、フィルタリングサービスの利用を呼びかける。同社では、2009年度中にも原則適用する考え。
またEMAが認定したサイトは2009年1月より順次、閲覧できるようにしていく。EMA提案のカテゴリー基準についても、同時期より反映させていくという。なお、同社のフィルタリングサービスでは、モバイルサイトとパソコン向けサイトの両方がアクセス制限対象リストに含まれており、スマートフォンでも適用できる。
このほか体感速度を向上させる「高速化サービス」については、これまでフィルタリングサービスと併用できなかったが、ユーザーからの要望に応え、9月17日より併用できるようにする。
■ イー・モバイルは18歳未満ユーザーの意志確認済
イー・モバイルでは、18歳未満のユーザーに対して、フィルタリングサービス利用の意思確認が完了しており、今回新たな施策は発表していない。
EMA認定のサイトとEMA提言のカテゴリー基準については、2009年2月までに反映させる考え。またフィルタリング対象サイトをユーザーが選択するような機能については、現在のところ提供の予定はない。
■ URL
ドコモ ニュースリリース
http://www.nttdocomo.co.jp/info/news_release/page/080912_01.html
KDDI ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2008/0912b/
ソフトバンクモバイル プレスリリース
http://www.softbankmobile.co.jp/ja/news/press/2008/20080912_01/
ディズニー・モバイル プレスリリース(PDF形式)
http://disneymobile.jp/news/pdf/20080912_filtering.pdf
ウィルコム プレスリリース
http://www.willcom-inc.com/ja/corporate/press/2008/09/12/index_01.html
イー・モバイル
http://emobile.jp/
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(関口 聖)
2008/09/12 17:28
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