J.D.パワー アジア・パシフィックは、国内市場における携帯電話端末およびキャリアの満足度調査の結果を発表した。調査は8月に行なわれ、有効回答数は7,200人。このうち、携帯電話メーカーの満足度調査は、端末購入から1年以内というユーザー3,504人に限られている。
■ 全ての項目で業界平均を上回った三洋
端末メーカーの調査対象メーカーは、NEC、カシオ、京セラ、三洋、シャープ、ソニー・エリクソン、東芝、パナソニック、日立、富士通、三菱(五十音順)の計11社。評価項目は、「サイズ・デザイン」「故障・バッテリー」「操作性・機能」「メール」「カメラ」「インターネット」の6つとなる。
調査では、満足度の最高値が1,000ポイントとなっており、1位となったのは630ポイントを獲得した三洋電機。同社によれば「2004年の調査開始以来、初めて」としており、項目別の満足度を見ると、「インターネット」では各社の中で最も高く評価されたほか、他の項目でも業界平均を上回った。全ての項目で業界平均を上回ったのは三洋のみとのこと。
2位は624ポイントの日立で、調査レポートでは「2005年の8位、2006年の4位から徐々に順位を上げている」と説明する。項目別で見ると、「故障・バッテリー」「メール」の2項目で他社を上回り、レポートでは「基本品質の良さに高機能というバランスの良さも評価されたと言える」としている。続いて3位は、621ポイントのソニー・エリクソンで、「サイズ・デザイン」が各社中1位の評価を受けた。4位以降は、カシオ、富士通、京セラ、シャープ、三菱、東芝、NEC、パナソニックと続く。
また、J.D.パワーでは「今回の調査で、販売奨励金の廃止後には、買い換え頻度が低下する可能性がある。端末価格の上昇により市場規模の縮小だけではなく、新機能やサービスの浸透が減速する可能性があることも示している」としており、端末メーカー間の差別化競争の激化を予想している。
■ auが2年連続の1位、ソフトバンクが価格面で盛り返す
また、キャリアの満足度は、「電話機」「企業イメージ」「各種費用」「非音声機能・サービス」「顧客対応力」「通信品質・エリア」の6項目で調査された。
調査が行なわれた全国9地域で、auが1位となった。全地域での1位は、昨年に続き、2年連続とのことで、昨年と同じく「通信品質・エリア」が高評価という。また、NTTドコモは全地域で2位となった。「各種費用」以外の項目では、auに次ぐ評価となっており、特に「通信品質・エリア」については、昨年の調査よりも満足度が向上しているという。
全地域で3位となったソフトバンクについては、評価項目のうち「各種費用」は全地域でauに次ぐ評価を受けており、同調査では「ホワイトプランなど料金面での取り組みの結果と言える」と評価している。ソフトバンクモバイルの企業ブランドについては、「新しい」「若々しい」などが多い結果となった。
J.D.パワーではMNP(携帯電話番号ポータビリティ制度)に関する調査も実施。キャリア変更率は、昨年は6.4%だったが、2007年は7.8%に上昇しており、調査では「わずかながら市場の流動性が高まった」としている。またMNP利用者の割合は30代、40代で高く、MNP利用者のうち6割がauへ乗り換えた。さらに今後1年で乗り換えるかどうか、という質問をしたところ、変更する意向がある人は全体の6%と低い水準に留まっており、J.D.パワーでは「MNP導入から1年が経過し、手続きや手数料が知れ渡った。また、2年契約を前提にした割引などに各社が取り組んでおり、一時的に高まったユーザーの関心は収束しつつあると考えるのが妥当」としている。
■ URL
端末メーカー満足度調査結果(PDF形式)
http://www.jdpower.co.jp/press/pdf2007/2007JapanMobileHandset_J.pdf
キャリア満足度調査の結果(PDF形式)
http://www.jdpower.co.jp/press/pdf2007/2007JapanMobilePhoneService_J.pdf
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