16日、都内でau秋冬モデルの発表会が開催された。プレゼンテーションは、まず執行役員取締役常務 コンシューマ事業統轄本部長の高橋 誠氏が、ソニーと協力して行なう「MUSIC PROJECT」について説明を開始した。
■ au×ソニーで多様なスタイルに対応
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KDDI高橋氏(左)と、ソニー吉岡氏(右)
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高橋氏は、着うたフルが1億5,000万ダウンロードを突破して普及する一方、音楽を聴く機器として、携帯電話は11.3%に留まり、ホームオーディオ(58.6%)やデジタル音楽プレーヤー(36.0%)などが中心的な存在であることを示したデータを掲げ、「携帯電話だけでは主な利用シーンをカバーできない。音楽と言えばソニーということで、今回、ソニーと協力してMUSIC PROJECTを立ち上げることにした」と述べる。
両社の協業により、今回の新機種のうち、W56T、W54S、W54SAの3機種は、LISMOの機能拡張に対応する。機能拡張により、EZweb経由で購入した着うたフルをパソコンや、HDD搭載コンポ「ネットジューク」にバックアップできる。また、バックアップした着うたフルをウォークマンに転送して楽しめる。また、音楽配信サービス「mora」などで購入した楽曲を携帯電話側に転送して楽しむこともできる。
続いて、登壇したソニー業務執行役員 シニアバイスプレジデント オーディオ事業本部本部長の吉岡浩氏は「ソニーは、常に音楽があるライフスタイルを提案しており、ウォークマンやホームシアター、ヘッドフォンまでこだわって取り組んでいる。さまざまな機器で音楽を楽しむようになり、音楽の入手経路も多様化しており、多様な製品を提供していきたい」と述べ、ウォークマンやネットジュークに加えて、携帯電話との連携体制を整えることで、「多くのユーザーに、多くの楽曲を良い音質で楽しめるよう提案する」と説明した。
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auとソニーの協業による「MUSIC PROJECT」
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ホームオーディオとデジタル音楽プレーヤーの領域に進出
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■ オープンな形に
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携帯以外の機器でも楽しめるようになるが、ソニー以外の企業も参画する可能性がある
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セカンドライフ内にKDDIデザイニングスタジオを構築
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高橋氏は、「着うたフルによって、携帯電話さえあれば、どこでも音楽が楽しめるようになった。携帯だけで物足りないユーザーには、ウォークマンと組み合わせることで、これまでと違うライフスタイルを提案できるのではないか。そのためには、パソコン向けのソフトウェアをどうにかしなければ。そこで、新たなソフトウェア(LISMO Port)を実現した。パソコンの中で、ケータイとウォークマンの楽曲を一元管理できる。携帯とウォークマンの両方に持ち出せる」とアピール。
パソコンがない環境についても、ネットジュークとの連携によってカバーし、今後、さまざまな拡張に期待できるとした。
会見後、展示会場で同社コンシューマ事業統轄本部 コンシューマ商品企画本部auサービス企画部長の竹之内 剛氏に話を聞いたところ、「携帯とウォークマンの連携のように、画像や映像、書籍などについても同様の検討を行なうだろう。ただし、音楽はさまざまな機器で楽しむという文化が根付いているが、他のコンテンツはまだそこまで達していない。そういった面も含め、ビジネスモデルを検討していく必要がある」と説明していた。
高橋氏は「携帯電話だけで閉じていた世界だったがウォークマンも利用できるようになる。携帯電話側にはBluetoothも搭載しており、カーオーディオなどでも利用できる。あらゆるシーンで、音楽を楽しんで欲しい」と語った。ソニーとの協業となったが、KDDI・ソニーともにオープンな形で進めていくとしており、今後、ウォークマン以外でも他メーカー製音楽プレーヤーがLISMO対応になる可能性がある。プレゼンテーションでは、今回の取り組みを「音楽をもっと、ケータイしよう」というキャッチコピーでアピールしていた。
■ 秋冬モデルも「ライフスタイルに寄り添う」端末に
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W55Tを手にする長島氏
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今回はポイントが3つ掲げられた
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新機種については、コンシューマ事業統轄本部コンシューマ商品企画本部長の長島 孝志氏から説明が行なわれた。同氏は、「夏モデルで“auはライフスタイルに寄り添う”と説明したが、今回の秋冬モデルでもそのコンセプトを貫く。ユーザーが欲しいケータイ=auが作りたいケータイでありたい。便利さや楽しさ、auらしさを加えていく中で、“もっとケータイを”というワードをコンセプトにしている」と説明した。
長島氏は、秋冬モデルのポイントは3つあり、その1つが「薄型」と語る。薄型端末に対しては、女性よりも男性が高く評価しており、新機種群の中では、薄さ9.9mmの「W55T」を30代~40代男性からのニーズに応える、“大人の男性に向けた超薄型ケータイ”とした。ちなみにデザイン端末としては、先に発表していたINFOBAR 2を紹介していた。
続くポイントとして、「ワンセグは質の時代」と述べた長島氏は、INFOBAR 2と今回の秋冬モデルで、ワンセグ対応機種が6機種となり、そのうち、「Woooケータイ W53H」とW53Kは薄型のワンセグ端末と紹介。また、W56T、W54S、W53H、INFOBAR 2は“有機ELディスプレイモデル”というラインナップになるとして、「有機ELは、黒がくっきり、色が鮮やかで見やすい」とそのメリットを紹介した。ただし、今後のワンセグ機種全てが有機ELを採用するかどうか、決まったわけではなく、その都度最適な部材を選択するとした。なお、今回の有機ELは、全てサムスンSDI製品となる。
また、「もっと音楽を、もっと情報を」というワードを紹介した長島氏は、ソニーとの協業によりLISMOの機能拡張や、KCP+の構築完了およびそれに伴う、au one ガジェットやマルチプレイウィンドウなどの採用を紹介した。
これらの新機能は、従来auが取り組んできた、携帯電話の付加価値的機能の延長線上にあるという。同氏が紹介したプレゼンテーション資料によれば、au Shopping Mallの取扱高は1年間で6倍に、EZニュースフラッシュ利用者は500万人以上に、ワンセグ累計契約数は500万台以上に、Googleの月間検索数は2億回以上になるという。
なお、W56T、W54S、W54SAの3機種は、上りの通信速度が高速化されたRev.A方式にも対応しているが、KDDIでは「今回はマルチウィンドウやワンセグの高品質化などに注力した」(コンシューマ商品企画本部 プロダクト企画部部長の重野 卓氏)としており、Rev.A向けコンテンツは今後、ということになると見られる。
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有機ELのメリット
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付加価値的機能、サービスの実績も明らかにされた
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■ URL
ニュースリリース
http://www.kddi.com/corporate/news_release/2007/1016/
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(関口 聖)
2007/10/16 15:02
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