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総務省の谷脇氏
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MVNO協議会は、総務省総合通信基盤局電気通信事業部 料金サービス課 課長の谷脇康彦氏を招いて、「MVNO事業化ガイドラインの見直し等について」と題した講演会を行なった。
総務省は13日、MVNO(仮想移動体通信事業者)の参入を促進するためのガイドラインの改正案を公開した。谷脇氏の今回の講演は、このガイドラインの概要を説明するものとなった。まず、既存の携帯電話事業者(MNO:Mobile Network Operator)が通信サービスにとどまらず、音楽やゲーム配信など垂直統合型のビジネスを展開している背景を説明し、MVNO(Mobile Virtual Network Operator)として他の業態からモバイル事業を展開する企業が現われることで、新たなビジネスモデルの創出に期待ができるとした。
また、ガイドラインの改正案で見直された部分についても言及。今回のガイドラインでは、MNOとMVNOだけでなく、新たにMVNE(Mobile Vitual Network Enabler)についても定義された。ガイドラインではMVNEを、「MVNO事業の構築を支援する事業を営む者」としたが、今後重要な役割を果たすと見られるMVNE自体のビジネスモデルが現時点ではっきりしない点を指摘。MVNOの課金システムの構築や運用、MVNO事業者に変わってMNOとの代行を行なうものなどと現状で複数の形態を想定しているとした。
さらに、今回のガイドラインでは、MVNO事業者がMNO事業者に接続を求めた際に、MNO事業者が接続に応じる必要がない場合の具体例が示された。拒否できる条件は、MVNOの接続に応じることでMNO側のシステムが損傷する、または周波数の不足によりMNOの自らのビジネスに支障が出る場合、接続によってMNOのネットワーク設備の保持が経営困難になる場合、MVNOが負担金を支払わない場合など複数に渡る。
電気通信事業者は法律上、ネットワークへの接続を求められた場合に、技術基準を満たしていればその要請を拒めない。拒否の条件が明確化することで、総務省ではMVNOの参入促進と、MVNOとMNOの双方にとって良い関係の構築を図りたい考えだ。
同省では、ガイドラインの公開に伴い、1月下旬まで意見募集を行なう。これに並行して、1月にも携帯電話の新たなビジネスモデルを構築するための研究会「モバイルビジネス研究会」を設立する。研究会は、東京大学名誉教授の斉藤忠夫氏ら10名で構成され、携帯電話事業者やMVNO協議会がオブザーバーとしてプレゼンテーション行なう。ユビキタスネット社会を構築するための研究が行なわれ携帯電話と固定電話の融合(FMC)サービスなど、市場創出策が検討される。研究会では、2007年7月にも報告書案を作成し、意見募集を受けて9月にも報告書としてまとめるという。
谷脇氏はこのほか、ブロードバンド環境が完全に整備された際の通信端末像などを検討する「IP化時代の通信端末に関する研究会」が12月から会合を重ねていることなどを語った。
しかし、こうした総務省の施策に対し、講演の受講者からは厳しい質問も寄せられた。MVNOの普及にあたって、MNOとの接続料や卸売り回線自体が安くならなければ普及しないのではないか? とする質問に谷脇氏は、「非常に難しい問題」と述べた。同氏は、「接続料なども含めてガイドラインを作れば参入が促進されるかというとそうではないと思う。しかし、現時点でその質問への答えは持ち合わせていない」と語った。
■ URL
総務省
http://www.soumu.go.jp/
■ 関連記事
・ 総務省、MVNO参入関連のガイドライン改正案
(津田 啓夢)
2006/12/15 18:16
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ケータイWatch編集部 k-tai@impress.co.jp
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